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51話

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「・・・おーい、起きろ!リリー、大変なんだから起きてくれ!!」

何だか凄く体を揺すられている?まだ寝ていたいのに・・・。

「う~・・・、煩いなぁ!もう少し寝かせて・・・よ?」

目が覚めて見たら庭がグチャグチャになっていた・・・。私が居眠りをした短時間で何があった?

「良かった!起きたー!リリー頼む、ご主人を止めるの手伝ってくれ!」

横を見たら涙目のルイスが敬語も忘れて頼んできた。いや、何があったのよ?!ふと、自分の周りを確認すると庭が荒れていた。

「え、どうしたのよ?なんか庭が荒れてるわよ!?」

「実は・・・ムスカとテレジア嬢が二人して、自分といる時の方がリリーが生き生きしているって言い始めて、それに対抗心を燃やしたご主人が二人纏めて消炭にしようと暴れてる・・・」

消炭って、対抗心を燃やしたからって消炭?!ディアス様、相変わらず中間が無い行動だわ。あと、生き生きしてる?どの辺が?そもそも私、二人に対して躾けてるくらいしか無い様な?

「んー、とりあえずクロムは?」

さっきから見当たらないし、何をしてるのかしら?

「クロムなら・・・あそこで犠牲になって気絶してる」

ルイスが指を差した先を見ると消炭一歩手前な焼き加減のクロムが・・・。

「クロム?!え、ちょっ、なっ!?」

「リリー、落ち着けっ!大丈夫だから、一応回復魔法をかけてある」

「よ、良かった。死んでるのかと思うくらいの酷さよ、アレ」

人って驚くと言葉が出ないのね。こんな体験初めてだわ・・・。

「始まって直ぐにクロムが周りのメイド達を避難させようと行動していたら、メイドの一人が転んでそこに攻撃が当たりそうになって庇ったクロムが消炭一歩手前になった・・・あ、メイドは全員避難させたから無事だ」

「クロム、良くやったわ!怪我人が出たらシャレにならないわ。コレ、止めに入らないと庭が修復不可能になってしまいますわよね?」

私は一呼吸置いて集中する。三人は地上で戦っているから割り込みは可能ね!

太腿に着けた鞭を取り出し、地面にパシリと打ちつける。とりあえずディアス様を止める前に勘違いしてる二人を絞めに行きますか。

あの中に飛び込むの気が引けるわね・・・。私は気づかれない様にスッとテレジアさんに近づいた。

「ねぇ、いつ私が貴女の前で生き生きしていたかしら?言ってみなさいよ、この駄犬!!」

背後から鞭で拘束し耳元で囁き、そのまま膝裏を押し膝をつかせ仰け反らせる。

「ぐっ、我が女王?!申し訳ございません!出過ぎた真似をしましたわ。無防備な姿を龍王様に見せていたのが羨ましくて、ついからかってしまいましたの!」

「言い訳は結構!せっかくの庭がグチャグチャよ!暫くご褒美躾けはおあずけよ!」

「なっ?!そんなぁー・・・」

テレジアさんはこの世の終わりみたいな顔をして崩れ落ち、戦線離脱した。

次、ムスカね。

背後に近づくのは大変そうね。私は近づくのを諦め大声を出した。

「ムスカ!今すぐ戦闘中止して私の前に来なさい!!」

大声を出し、二人の戦闘が止まった。私の声に気づいたムスカが走って来た。

「我が女王!何ようでしょうかっ?」

ズザーっと走って来てひざまずいたが何で呼ばれたか分かっていなそうだった。

「馬鹿犬!何ようでしょうか?じゃ無いわよ!いつ馬鹿犬の前で私が生き生きしていたの?私が生き生き出来る所はディアス様の隣だけよ!」

「はっ!出過ぎた事をして申し訳ございません!!つきましては好きなだけ私を罰して下さい!」

・・・素直過ぎだと思ったら罰が欲しいのか。

「馬鹿犬、この件の罰は庭の修繕よ!テレジアさんと一緒に直しなさい!」

「なっ!?庭の修繕・・・ですか?肉体的な罰では無く?クッ、これは辛い罰ですね!」

私が言い渡すとトボトボと歩いて行った。これで一件落着ね!

「さぁ、ディアス様!私といたしましょうか?」

ニッコリ笑顔で私はディアス様に近づいていく。何かを感じとり後ずさりし始めるディアス様。

「リリー話し合おう!今、手に持ってる鞭を下ろすんだ!」

「言っている意味が分かりませんわ?私、いたしましょうと言っているじゃ無いですか。何故逃げるのですか?」

ダラダラと冷や汗を流し後ずさって行く、流石にこれだけ暴れたのだから説教しないと駄目でしょう。私は心を鬼にし、逃げるディアス様に突撃して行った。

「さぁ、これから二人でしましょうね?」
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