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42話

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何だかフワフワして暖かい・・・。

「んぅ、にゅ?」

だんだん目が覚めてきた。そうだ、ディアス様と一緒にお昼寝してたんだわ。

私はクッションの上から起き上がりキョロキョロと周りをみた。ん?ディアス様が両手で顔を隠してうずくまっているわ。しかも器用に尻尾だけ出してビタンッビタンッと床を叩いてる。あれ、床にヒビが入ってませんか?

「ディアス様?どうしたのですか」

私は首をかしげながら名前を呼んだ。

「・・・リリーの寝起きの声が可愛すぎて直視出来ない!!何でそんなに可愛いんだ!」

さらにビタンッビタンッと叩いて細かい破片が飛んでいる・・・床、大丈夫かしら?

それに何でと言われても分からないし、そこまで可愛いなんて自分では思っていないからなんて答えたら良いの?

「えっと、分かりませんわ?それよりも床が壊れそうですわ!」

ビタンッビタンッビタ・・・。

私が言うとハッとし、後ろを見た。

「あっ、気づかなかった。しまったな、少し抉れてしまったか・・・」

ディアス様が後ろを振り返り手を一振りした。すると抉れた床が元どおりになっていた。

「凄い!床が元どおりになりましたわ!今のはどんな魔法ですか?」

私は近づいて抉れていた床を見たが綺麗に直っていた。これは大工さん要らずですわね!

「ふふ、凄いだろ?今のは土魔法のアースクリエイト改だ!俺がよく壁や床に穴を開けたりしていたから考えたんだ。自分で直せるようになれば穴を開けても大丈夫だと思ってな!」

根本的に間違っている気がするけど気のせいかしら?

「大丈夫じゃ無いから!まったく、下の階まで響いていて苦情が来てたぜ?」

「チッ、もう来たか」

「あ、ルイスやっと来たのね。遅かったじゃない」

部屋の扉を開けてルイスが疲れた顔で入って来た。やっぱり下に響いていたのね・・・床にヒビが入るくらいだったしかなり大きな音だったのかしら?

「やっと来た、じゃ無いですよ!ご主人が結界なんか展開して入れなくしてたんですよ!はぁ、疲れた・・・」

あぁ、だから遅かったのね。ディアス様が尻尾でビタンビタンしていたから分からなかったわ。

「大丈夫?良くディアス様の結界を破れたわね」

「もう一点集中で同じ場所を攻撃して壊しましたよ。ご主人、リリー様との時間を邪魔しないから仕事放置して行かないでくれよ・・・。ハリスにご主人の迎え、丸投げされる身になってくれ!」

ディアス様の結界、一点集中で壊せるのね。ハリスに迎えの丸投げされるって結界の事が分かっていたからルイスに投げたのかしら?

「俺は知らん。それに仕事は放置して無いぞ?少し休憩していただけだ!よし、仕事に戻るか!リリーおいで?」

ディアス様、それは言い訳って言うのですよ?あと、おいでって言いながら私を抱き上げてますわ・・・。

「ディアス様、私ちゃんと歩けますわ?だから降ろしてください」

「俺がこうしていたいんだ。大人しく抱かれていて?」

はぁ、私そのうち運動不足になりそ・・・いや、ならないわね。訓練に参加したりムスカを縛ったりするから大丈夫ね!

「分かりましたわ。じゃぁ、私を落とさないようにして下さいね?」

私がそう言うとディアス様がフッと笑って言った。

「勿論、落とさないさ。リリーはしっかり俺に捕まっているんだぞ?」

「ご主人、いちゃついてないで早く行かないと、ハリスが書類を山にしちまうから急がないとヤバイからな?」

ルイスが横目にディアス様を見て溜息をついた。

「何っ?!粗方、片づけた筈なのにまだあるのか?くそッ、リリー済まないが急ぐぞ!」

「あ、はい!・・・きゃっ!?」

私を抱いたままディアス様が早足で進んで行き、私は少しバランスを崩してディアス様にしがみついた。

ディアス様、急ぐなら転移すれば良いのに・・・。
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