上 下
31 / 85

31話

しおりを挟む
「はぁっ!!!」

砂埃を巻き上げ視界が悪い中走り鞭をルイスへ叩き込む。

「甘いっ!脇が留守です、よっ!!」

鞭をスルリと避け私の脇に剣を入れて来た!すかさず飛び上がってバク転をし、ルイスに向かって行く。

「ルイス!そろそろ魔法も使ったらどうっ?剣だけじゃ私を攻めきれないでしょ!」

ルイスも剣を構え向かって来た。

「そうですね、リリー様の戦い方は把握してましたが・・・予測し辛いです、ね!!」



私とルイスは15分ほど前から戦っている。兵士達が隅に散らばり見学準備が整ったのでディアス様が開始の合図を出したのだ。

「あー、まだまだ足りないわ!もっと、もっと私を滾らせて!!」

ルイスがエアカッターを放ち、私は突風を出し相殺させる。

私は足に魔力を纏わせ加速しルイスに近づきその勢いで蹴り飛ばした。まともに蹴りが入ったルイスが訓練場の壁に激突した。

「ぐはっ!?・・・チッ、俺じゃなかったら死んでるわ、この蹴り」

壁にめり込み文句を言っているがまだ元気そうだ。お互いまだ全力では無い、ルイスは体勢を立て直す。

「あら?まだ大丈夫そうね。早く構えなさい、続きやるわよ!」

私も細かな傷が出来てきた。でも、まだ大きな傷は無い。

「はぁ、あんまり長引かせたく無いんで本気で潰しに行きますよ!一応、近衛騎士の団長なんでねっ!!」

そう言った瞬間ルイスから魔力が溢れ、ルイスの身体を包み込んだ!

「・・・ルイスの龍化って部分変化なのね。やっぱりハーフだからかしら?」

普段は人間と変わらない見た目だったのが今は角や尻尾が生え、皮膚は鱗が少しみえている。

「そうですね、俺は半分龍人だから変化も半分だけなんですよ。まぁ、半分だけでも俺は強いですけど・・・まだやりますか?」

ちょっと挑発気味に指をクイっとされた。

イラッと来るわね。立ち上がれないくらい叩きのめすっ!!

「当たり前よっ!!ルイス、あんたを叩きのめすわ!!」

私は周りに無数の火の玉を浮かべそのままルイスに突撃した。

「おー、恐っ!?それ火傷じゃ済まない量だぜ?まぁ、当たればだけどなー!」

ルイスは剣を構えた。私の火の玉を切るか打つかするのかしら?

「残念だわ!私、焼き加減はレアよりもミディアムの方が良いのよね。だから当たりなさい!!」

私は火の玉をルイスに放った!放たれた火の玉をルイスが剣の腹を使い軌道をそらそうとした。

「ふっ、甘いわ!爆ぜろっ!」

バチンッ。ドドドドッーーカーン!!!

私が鞭を鳴らした瞬間ルイスの近くにきた火の玉が爆発していく。

「くそっ、爆発するなんて聞いてねぇよっ!?うわっ、あちぃっ!!」

見事に爆発に巻き込まれたルイスは魔法でバリアを展開したが少し焦げていた。生身の人間だったら良い焼き加減になっていたのに流石ね。

「お馬鹿ねー。私が素直に火の玉を投げると思ったの?ふふ、どんどん行くわよ!」

私は休む暇なく火の玉を爆発させその隙間を鞭で攻撃しバリアの破壊をしていった。

「くそっ、防戦一方かよ・・・。どうにかしてこの火の玉コンボから抜けねぇとヤバイな!」

「あら?ルイス、ハーフ龍化したのに活かせて無いわよ!・・・ほら、ここがお留守になってる」

私は爆煙の中ルイスの真上に飛び、鞭をパシリと入れ首に巻きつけた。

「ぐっ、かはっ!!?」

ルイスの首に鞭を巻きつけ腕も拘束する。体勢を崩したルイスが地面に倒れた!

「はい、私の勝ちね!」

「ぐっ、爆煙で目くらましして来るとは捨て身過ぎだ!一歩間違えばリリーも爆発に巻き込まれただろ?」

「いえ、大丈夫ですわ。爆発は慣れてますから当たっても死にません。それに慣れると気持ちいいですわよ?」

ルイスが心配してくれたがこの爆発は慣れると快感になるから特に問題は無いのだ。

「それやばい奴の発言だからな?あー、くそっ・・・負けたの悔しいな。次は負けねー!!」

私は鞭を解きルイスに手を出した。

「楽しかったですわ!またやりましょうね?」

ルイスが手を取り立ち上がった。

「チッ、次は勝つからな!」

そのままお互い握手をし、再戦を誓った。そして、周りから歓声が上がり午前の訓練は終わった!

しおりを挟む

処理中です...