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8話

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私達は訓練場の真ん中で距離をとって構えた。ディアス様の戦闘スタイルは魔法と体術らしくただ立っているだけなのに隙がみえない。

「リリーの戦闘スタイルは少し変わっているな?なぜその様なぴっちりした服を着てピンヒールなんだ?防御力が低そうだ」

流石に朝練用の服だと戦いにくいから寮に戻って着替えてきた。今の私はモンスター討伐用の服装になっている。ちなみにピンヒールはつま先からナイフが出る特注品だ。

「これが私の戦闘用の服ですので気にしないでくださいませ。では、始めましょうか!」

強い相手との闘いはやっぱり気持ちが滾る。試合の合図はちょちょいと人に戻されたルイスがすることになった。あんなに複雑な魔法を構築するディアス様は素直に凄いと思った。

「試合始めっ!!」

「さぁ来い!リリー!」

先手必勝!私は身体強化をして突撃する。先ずは足に鞭を振ってバランスを崩して蹴りを入れてやるわ!

「速いな、だが・・・狙いが分かりやすすぎるぞ!ハァッ!!」

ディアス様が風魔法でエアカッターを放った。

「これくらいじゃ止まらないわよ!」

鞭を強化してエアカッターを叩き落とし、そのまま距離を縮めてつま先のナイフで蹴りを入れた。

「やあっ!!」

「くっ、鞭で魔法を叩き落とした奴はリリーが初めてだ!はは・・・やるな!」

チッ、服一枚切れただけか。まだスピードが足りないわね。

「次、行きますわよ!」

「俺も本気を出すぞ?当たらないように気をつけろよ・・・!!」

ディアス様が何か魔法陣を展開して発動した。瞬間、空から星が落ちてきた。

「ちょっとご主人?!本気出しすぎだろっ!!」

「当たらないように気をつけろって、こんなに大きかったら避けられないじゃない!!」

訓練場をまるっと潰せるくらい大きい隕石をどうしたら避けられる?いや、訓練場が壊れるから破壊したほうがいいのかしら?!どっちにしろ私には対処できないわね・・・短い人生だったわ。

「・・・ディアス様!降参しますわ!!こんなに大きな隕石、私にはどうにも出来ませんわ!」

悔しいけど力の差があり過ぎて勝てっこないわよ!

「ほう、降参するのか?まあまあ楽しかったな」

ディアス様がパチンと指を鳴らして隕石を消した。あの隕石、指パッチンで消せるなんて降参しといて良かった・・・。

「さあ、俺の勝ちだな?勝者には
褒美が必要だろう。リリー、おいで?」

負けてしまったからしょうがないか。私はディアス様に近づいて行った。

「きゃっ」

「お互いのことがよく分かったし俺の国に連れ帰って良いだろ?」

抱きしめられ耳元で囁かれた・・・このまま連れ帰られたら不味いのは変わらない。でもそれも良いかもと思ってしまうのはディアス様に恋してしまったからなのかしら。

「そうですね、試合をしてディアス様が容赦の無い人で全力を出したら災害級ってことが分かりましたわ。しかし、私を連れて帰るのでしたら私の両親に挨拶くらいはして下さいね?心配されてしまうので」

「もちろん、リリーの両親に挨拶はするさ!挨拶が終わったら国に連れ帰るからな?早速行こう!!」


こうして強引気味に私はディアス様と領地に帰ることになった・・・。

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