令嬢は鞭を振るが逃げられない

２話

私は王都のハイドガル学園の学生寮に今は住んでいて両親は辺境伯で王都にモンスター達が来ないように人間とモンスターの境界線を守ってる。
お父様は鬼神のような強さで騎士の人から畏れられてて、お母様は薔薇のように綺麗な人なんだけど棘つきの鞭でモンスターを倒す少しアレな人だ。
あと、五つ上のお兄様が一人いて今は次期当主の勉強と訓練を領地でしている。改めて考えるとお兄様以外まともな人がいないわ！？そんな両親の教育のせいで私の学園生活はおかしなことになっている。




「おはようございます、リリー様！さぁ、早くこの卑しい僕の体をその鞭で叩いてください！！」

あぁ、早速来たか・・・SM女王様気質なお母様のせいで私の標準装備は鞭。入学式で色々やらかしたせいかドMな犬が朝から私に叩かれにくるのは私のせいではないと思いたい。

「おはようございますカルロス様・・・はぁ、朝から盛ってるなんてはしたない！私が躾けてあげますわ！！」

私のSスイッチが入りビシッパシッと鞭を叩きつけた。カルロス様は叩かれるたびに恍惚とした表情を浮かべていた。

「あっ、ありがとう、ございますっ！あーー！！」

カルロス様がパタリと倒れたのを確認してよしっ！教室に行こうと前を向いた時私はしまった、またやっちゃった！と周りのまたあいつ調教してるよ的な視線を感じて心の中で叫びたくなった。

子供の頃からお母様に鞭の使い方を教わって領地の騎士達と訓練してたからつい条件反射的に鞭を振るってしまったわ。しかもドMな相手を引き寄せてしまう体質のせいで私の周りはドMだらけ、まともな友達なんかあまりいない。

私は急ぎ足で教室に向かった。早く、早く教室に逃げないと私の精神がすり減る！

「なぁ、鞭を振るう令嬢って聞いたことないんだが俺の護衛いらなかったか？」

包帯越しにルイスが疑問に思ったのか聞いてきた。

「あぁ、護衛はどちらでも良いけど私の領地が特殊なだけよ。条件反射でつい鞭を振るってしまったけれど私みたいな令嬢がたくさんいるわけ無いじゃない」

ほんとこの体質と条件反射は直したい。じゃないとやばい奴認定されてしまうわ！・・・まさか私の運命の相手ってドMじゃないわよね！？それだと私の精神が休まらないわ！！

「ねぇ、ルイス？あなたの主人ってドMではないわよね？」

「え？俺のご主人は・・・SとMに分けるとしたらドSだろうな！部下に対して容赦無く仕事振ってくるし俺をリリーの護衛につけるしな！本当は俺、人間だし」

「え？そんな重大なカミングアウト止めてくれない！？あなた、ただのアザじゃ無かったの？」

「あぁ、ご主人の魔法でチョチョイって感じでリリーの右手に飛ばされたんだよ。人間のままリリーの近くにいるのはご主人的に嫉妬するらしくてな」

ハハッと笑いながらルイスは言ったけどそんな魔法聞いたことないし使える人間がいたら魔王くらいしかいないんじゃ無いかしら？

「かなり嫉妬深い主人なのね・・・？」

ただもし魔王クラスの何かが来たら私逃げられるかしら？さすがに運命の相手だからって素直に受け入れられ無いし最悪倒すしか無いわね！！