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9 熱
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「……っ」
呼吸が苦しくなって離れる。目をそっと開けると、あっちはずっと見ていたようだ。初めて見る熱っぽい表情に、熱が高まっていく。
一歩遅れて恥ずかしさが襲ってきて、再び顔を埋めた。最初は背中をとんとんと叩いたり、頭を撫でたりしてくれていた。その全部に落ち着かなくて、呼吸が乱れる。
「あっ……ちょ、ちょっとどこ触ってるの!」
「……別に、ちょっと触っただけだろ」
「だって……だって……っ」
腰に伸びた手が、そこから服をめくって入ってきた。
「うわぁ! ちょ、ちょっと……っだめ……待って! 待ってって……う、あ……まっ」
中途半端に脱がされた今の状況が、相手からどう見えているかなんて考えたくない。抵抗するのをやめて、あっちに任せた。
背中をなぞられて、体が硬直する。普段こんなところを触れられることはない。
そのまま首をくすぐられると、少しペットのようだと感じる。お腹に触れた手がだんだんと下に降りてきた。そこはまだ布に包まれているけど、もどかしくて少し擦り付けるようにしてしまったかもしれない。
やけになれたらいいのに、まだ理性的な部分が残っていて、恥ずかしくてたまらなくなる。自分の中にある、いつもとは違う部分がじわじわと選択権を握り始めているみたいだ。
「や……やぁ……っ」
指先がなぞるように布越しに触れる。それだけで、体がびくりと動いた。千真の服がシワになるのも気にせず、肩のところをぎゅっと掴んで、首を振りながら身を任せる。するりとズボンの中に侵入してきた手は自分のじゃなくて、他人という部分を実感すると、体が強張ったけど、すぐに力が抜けた。
「あ……う……そ、それ……っ」
握られて動かされると、すぐに音が鳴った。僕は意地でも顔を上げないようにして、口を閉じる。それでも千真の指が動くたび、体は勝手に動き声が漏れた。しかしそれが唐突に止められる。
「ふ……ぇ、?」
「ねぇ、顔見たいんだけど」
「……っ、やだ……無理!」
「お前なぁ……」
さっきよりも強く抱きついた体はいつの間にか、仰向けにされていた。目の前に千真の顔がある。気が付いた瞬間、ばっと手で隠した。
「やだやだやだ無理無理無理無理っ! ねぇ……っ、や……やだ……っもう」
ひんやりとソファーの感触が背中に伝わる。それを気にしてる間も無く、服が脱がされた。今、目の前に晒されてると思ったらどっちを隠していいか分からなくて、バサバサと腕を上下する。結局顔を隠した。
「……もう、こうなってるけど」
何を見てるのか考えたくない。こんなことになるなら帰れば良かった。恥晒しのメーターが上がりすぎて、とっくにぶっ壊れている。
このままじゃ恥ずかしさが原因で死んでしまう。でもそれも、次の刺激で吹き飛んでしまった。
「……っ!」
さっきのとは比べ物にならない。遮るものがなくなってから触れた指に、呼吸が一瞬止まる。少し強めに動かされて、また口をぎゅっと閉じる。でもすぐ苦しくなって、息を吸い込もうとするたびに聞きたくない声が出てくる。千真の指を上から押さえても、意味がなかった。
お腹の辺りにぽたぽたと熱いのがかかって、僕はやっと少し冷静に戻れた。早かったんだろうとか、声を出しすぎたとか、その瞬間に余裕がなくて顔が隠せなかったとか。後悔すべきことが次々に浮かぶ。
「あ……う、その……っ」
顔を背けていたから避けられなかった。突然口の中に味わったことのない感触が入ってきて、息ができなくなる。あっちに経験があるか分からない。ただぐちゃぐちゃに動かしているようにも思える。
その時お腹の辺りに何か硬いものが当たってるなとは、どこかで思っていた。頭の考える部分がぼーっとしてしまって、うまく状況判断ができない。口の横から零れる唾液も気にせずに見つめると、もう一度熱のこもった目で僕の名前を呼んだ。
「……せん、ま」
改めて声に出してみると、この名前を呼べることが凄く特別なことのような気がした。
熱い熱い熱い。全てが熱くて今すぐ冷ましたいのに、これでいいかとも思う。思考を止めた頭で、服を脱ぐ千真をただ見つめていた。
やっぱり細い、でもガリガリってわけじゃない。それにしても白いな。きっと日焼けもしないし、気をつけてもいるんだろう。
淡々と一つずつ見えるものを確認していくと、目が合った。千真の顔は真っ赤だ。
「……おい」
何か言いたい様子だったけど僕があまりに惚けていたからか、何も言わずに全てを脱ぎ去った。
そして僕のをまた掴むと、自分のとくっつけた。どこか現実味のないこの光景の中で少し逃避をしていた僕は、またそれをただ眺めてしまっていた。この状況に興奮をしているのか、或いは僕を見てこうなってくれているのか分からない。
「鳴……お前も」
「……っ、え?」
「おい、大丈夫か」
ちょっと眉に皺を寄せながら顔を近づけた。だんだんと感覚が蘇ってきて、千真の息が頰に触れたことが分かった。
「せん……ま」
あまりに近い場所に顔がある。体も随分熱を持っていた。瞳の奥まで覗かれているようで、目が逸らせない。
やっぱりカッコいいなとどこかで思ったところで、手のひらが重なった。ぎゅっと握ったそれは恋人繋ぎっていう奴だっけ。反対の手を掴まれて、自分でもあまり慣れていないその箇所へと伸ばした。会話がなかったけれど何を言っていいのかも、何が適切なのかも知らない。
呼吸が苦しくなって離れる。目をそっと開けると、あっちはずっと見ていたようだ。初めて見る熱っぽい表情に、熱が高まっていく。
一歩遅れて恥ずかしさが襲ってきて、再び顔を埋めた。最初は背中をとんとんと叩いたり、頭を撫でたりしてくれていた。その全部に落ち着かなくて、呼吸が乱れる。
「あっ……ちょ、ちょっとどこ触ってるの!」
「……別に、ちょっと触っただけだろ」
「だって……だって……っ」
腰に伸びた手が、そこから服をめくって入ってきた。
「うわぁ! ちょ、ちょっと……っだめ……待って! 待ってって……う、あ……まっ」
中途半端に脱がされた今の状況が、相手からどう見えているかなんて考えたくない。抵抗するのをやめて、あっちに任せた。
背中をなぞられて、体が硬直する。普段こんなところを触れられることはない。
そのまま首をくすぐられると、少しペットのようだと感じる。お腹に触れた手がだんだんと下に降りてきた。そこはまだ布に包まれているけど、もどかしくて少し擦り付けるようにしてしまったかもしれない。
やけになれたらいいのに、まだ理性的な部分が残っていて、恥ずかしくてたまらなくなる。自分の中にある、いつもとは違う部分がじわじわと選択権を握り始めているみたいだ。
「や……やぁ……っ」
指先がなぞるように布越しに触れる。それだけで、体がびくりと動いた。千真の服がシワになるのも気にせず、肩のところをぎゅっと掴んで、首を振りながら身を任せる。するりとズボンの中に侵入してきた手は自分のじゃなくて、他人という部分を実感すると、体が強張ったけど、すぐに力が抜けた。
「あ……う……そ、それ……っ」
握られて動かされると、すぐに音が鳴った。僕は意地でも顔を上げないようにして、口を閉じる。それでも千真の指が動くたび、体は勝手に動き声が漏れた。しかしそれが唐突に止められる。
「ふ……ぇ、?」
「ねぇ、顔見たいんだけど」
「……っ、やだ……無理!」
「お前なぁ……」
さっきよりも強く抱きついた体はいつの間にか、仰向けにされていた。目の前に千真の顔がある。気が付いた瞬間、ばっと手で隠した。
「やだやだやだ無理無理無理無理っ! ねぇ……っ、や……やだ……っもう」
ひんやりとソファーの感触が背中に伝わる。それを気にしてる間も無く、服が脱がされた。今、目の前に晒されてると思ったらどっちを隠していいか分からなくて、バサバサと腕を上下する。結局顔を隠した。
「……もう、こうなってるけど」
何を見てるのか考えたくない。こんなことになるなら帰れば良かった。恥晒しのメーターが上がりすぎて、とっくにぶっ壊れている。
このままじゃ恥ずかしさが原因で死んでしまう。でもそれも、次の刺激で吹き飛んでしまった。
「……っ!」
さっきのとは比べ物にならない。遮るものがなくなってから触れた指に、呼吸が一瞬止まる。少し強めに動かされて、また口をぎゅっと閉じる。でもすぐ苦しくなって、息を吸い込もうとするたびに聞きたくない声が出てくる。千真の指を上から押さえても、意味がなかった。
お腹の辺りにぽたぽたと熱いのがかかって、僕はやっと少し冷静に戻れた。早かったんだろうとか、声を出しすぎたとか、その瞬間に余裕がなくて顔が隠せなかったとか。後悔すべきことが次々に浮かぶ。
「あ……う、その……っ」
顔を背けていたから避けられなかった。突然口の中に味わったことのない感触が入ってきて、息ができなくなる。あっちに経験があるか分からない。ただぐちゃぐちゃに動かしているようにも思える。
その時お腹の辺りに何か硬いものが当たってるなとは、どこかで思っていた。頭の考える部分がぼーっとしてしまって、うまく状況判断ができない。口の横から零れる唾液も気にせずに見つめると、もう一度熱のこもった目で僕の名前を呼んだ。
「……せん、ま」
改めて声に出してみると、この名前を呼べることが凄く特別なことのような気がした。
熱い熱い熱い。全てが熱くて今すぐ冷ましたいのに、これでいいかとも思う。思考を止めた頭で、服を脱ぐ千真をただ見つめていた。
やっぱり細い、でもガリガリってわけじゃない。それにしても白いな。きっと日焼けもしないし、気をつけてもいるんだろう。
淡々と一つずつ見えるものを確認していくと、目が合った。千真の顔は真っ赤だ。
「……おい」
何か言いたい様子だったけど僕があまりに惚けていたからか、何も言わずに全てを脱ぎ去った。
そして僕のをまた掴むと、自分のとくっつけた。どこか現実味のないこの光景の中で少し逃避をしていた僕は、またそれをただ眺めてしまっていた。この状況に興奮をしているのか、或いは僕を見てこうなってくれているのか分からない。
「鳴……お前も」
「……っ、え?」
「おい、大丈夫か」
ちょっと眉に皺を寄せながら顔を近づけた。だんだんと感覚が蘇ってきて、千真の息が頰に触れたことが分かった。
「せん……ま」
あまりに近い場所に顔がある。体も随分熱を持っていた。瞳の奥まで覗かれているようで、目が逸らせない。
やっぱりカッコいいなとどこかで思ったところで、手のひらが重なった。ぎゅっと握ったそれは恋人繋ぎっていう奴だっけ。反対の手を掴まれて、自分でもあまり慣れていないその箇所へと伸ばした。会話がなかったけれど何を言っていいのかも、何が適切なのかも知らない。
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