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第5話 勇気
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その後、ラインで計画を立て、3日後にある文化祭の話し合いで良也と南月がクラスの実行委員になり、心結を強制的に良也と同じシフトに入れることを決めた。
これは、クラスの出し物が喫茶店やお化け屋敷など絶対にシフトを組まないといけない出し物になると2人が考えたからである。
そんなこんなでラインをしていると時間はあっという間に過ぎるもので、もう12時に差し掛かっていた。
『お、そろそろいい時間だね~そろそろ寝に入ろうかな…』
『そうだな…俺も結構眠くなってきた』
『じゃあ今日はここらへんで。また明日ね、仲上くん!』
『うん、おやすみ』
おやすみーとイルカが枕を抱いているスタンプが送られて来たのを確認して良也はスマホの電源を落とす。
「……俺ってそんなに話しかけづらいのかな」
部屋にある姿鏡を向かいに、前髪をちょいちょいといじってみる。少しはねさせてみたり、分けてみたり。
「……やっぱ似合わねー」
結局気に入るものはなく、すぐそばに置いてあったくしを通す。やっぱり俺はくしを通しただけの髪が1番似合ってると思いながらぼすっとベッドに飛び込む。
良也自身、別に話しかけにくいような話し方や態度、表情をしているつもりはなく、なぜ辻原が話しかけに来ないのか、必死に考えていた。さっきの髪の件もその一環だ。
そろそろ寝るかと部屋の電気を消しにベッドから立ち上がり、電気を消す。そのまま良也は寝に入ったのだが、スマホの電源を切っていた良也は知るすべもなかった。
心結に良也のラインアカウントが伝わり、友だち追加されていることに。
3日後の放課後。予定通り教室内では文化祭の話し合いで騒がしくなっていた。
「じゃあまず実行委員決めるか。男女1人ずつで、やりたいやついるかー?」
3日目に決めた通り、良也はゆっくりと手を挙げる。それとほぼ同時に斜め前に座っている南月も手を挙げる。
「……ん、この2人だけでいいか? じゃあこの2人でけ——」
「せ、先生、私も……」
先生が「決定」と言いかけた時、良也の横の席に座っている心結がちょこっと手を挙げ、力のない声を発した。
これには良也も南月も想定外で、目を見開いて心結の方を見ている。
「お、辻原もか。じゃあ女子は中原と辻原で話し合ってどっちがやるか決めてくれー」
「先生、やっぱり私いいです」
「え、ほんとにいいか?」
「はい。全然大丈夫ですよ」
そう言って手を下ろしたのは心結。ではなく、南月だった。
突然のことで混乱している良也は先生の言葉を聞き流して遠くを見つめている。その横では心結と南月がヒソヒソと話している。
「ほんとに良かったの?」
「良いって。てか心結、よく手上げたねーお姉ちゃん感心したよー」
「……だって、南月と良也くんが一緒にやるの考えたらなんか嫌になったんだもん」
「それを私に言っちゃうから心結はいつまで経っても仲上くんと仲良くなれないんだよなー」
「……本人に言えるわけないじゃん。ばか」
「それを本人に言えたら絶対に仲良くなれる、というか付き合うとこまで行けるのにな……」と頭を抱えながら良也の席に近寄る。
「おーい仲上くーん。……ちょっといつまで虚空見てるの」
「うお!」
「やっと帰ってきた……」
「あー中原か。どうした?」
「ちょっと謝っておいた方がいいかなって。前決めたようになってないし。仲上くん、無理してないかなって」
「その件は……まだうまく飲み込めないけど、大丈夫。嫌ってわけじゃないし」
背中の視線が徐々に強まってきたことを感じた南月は良也の答えを聞いた後すぐさま席に戻った。
「なつ……」
心結が何かを言いかけたがその言葉は担任の声によってかき消された。
「よし、仲上も元通りになったところで、委員の2人。前に出て出し物決めてくれ。お前ら2年目だから学祭で出せないものくらいわかるよな?」
良也たちの学校の文化祭は大体のことはできるが、やはり衛生的に生ものの提供はできない。それ以外は学校側が危険と判断したものだが、以前、教室でジェットコースターを作った時も許可が出たらしいのでそのルールはあってないようなものだ。
「じゃあ、やりたいものある人意見出してくださーい」
良也のその声を皮切りに次々と意見が出される。書記は心結に任せていた良也も流石に書記に回った。
「……はい、では出たものの中で多数決をとって最終的に残ったのは、『屋台』『縁日』『メイド喫茶』の3つ。この中から決めていきたいところなんですが、そろそろ時間なので一旦今日はここで終わります。最終決定は明日ということで」
ちょうど喋り終えたところでチャイムが鳴り始める。それを横耳で聞きながら教卓の上を片付けているとちょいちょいと肩を叩かれた。
振り向くとそこには下に俯いた心結の姿が。スカートを握り、何かを言いたそうにしていた心結はやがて顔をあげ、良也から少し目線を外しながら
「……文化祭、一緒に頑張ろうね。仲上くん」
これは、クラスの出し物が喫茶店やお化け屋敷など絶対にシフトを組まないといけない出し物になると2人が考えたからである。
そんなこんなでラインをしていると時間はあっという間に過ぎるもので、もう12時に差し掛かっていた。
『お、そろそろいい時間だね~そろそろ寝に入ろうかな…』
『そうだな…俺も結構眠くなってきた』
『じゃあ今日はここらへんで。また明日ね、仲上くん!』
『うん、おやすみ』
おやすみーとイルカが枕を抱いているスタンプが送られて来たのを確認して良也はスマホの電源を落とす。
「……俺ってそんなに話しかけづらいのかな」
部屋にある姿鏡を向かいに、前髪をちょいちょいといじってみる。少しはねさせてみたり、分けてみたり。
「……やっぱ似合わねー」
結局気に入るものはなく、すぐそばに置いてあったくしを通す。やっぱり俺はくしを通しただけの髪が1番似合ってると思いながらぼすっとベッドに飛び込む。
良也自身、別に話しかけにくいような話し方や態度、表情をしているつもりはなく、なぜ辻原が話しかけに来ないのか、必死に考えていた。さっきの髪の件もその一環だ。
そろそろ寝るかと部屋の電気を消しにベッドから立ち上がり、電気を消す。そのまま良也は寝に入ったのだが、スマホの電源を切っていた良也は知るすべもなかった。
心結に良也のラインアカウントが伝わり、友だち追加されていることに。
3日後の放課後。予定通り教室内では文化祭の話し合いで騒がしくなっていた。
「じゃあまず実行委員決めるか。男女1人ずつで、やりたいやついるかー?」
3日目に決めた通り、良也はゆっくりと手を挙げる。それとほぼ同時に斜め前に座っている南月も手を挙げる。
「……ん、この2人だけでいいか? じゃあこの2人でけ——」
「せ、先生、私も……」
先生が「決定」と言いかけた時、良也の横の席に座っている心結がちょこっと手を挙げ、力のない声を発した。
これには良也も南月も想定外で、目を見開いて心結の方を見ている。
「お、辻原もか。じゃあ女子は中原と辻原で話し合ってどっちがやるか決めてくれー」
「先生、やっぱり私いいです」
「え、ほんとにいいか?」
「はい。全然大丈夫ですよ」
そう言って手を下ろしたのは心結。ではなく、南月だった。
突然のことで混乱している良也は先生の言葉を聞き流して遠くを見つめている。その横では心結と南月がヒソヒソと話している。
「ほんとに良かったの?」
「良いって。てか心結、よく手上げたねーお姉ちゃん感心したよー」
「……だって、南月と良也くんが一緒にやるの考えたらなんか嫌になったんだもん」
「それを私に言っちゃうから心結はいつまで経っても仲上くんと仲良くなれないんだよなー」
「……本人に言えるわけないじゃん。ばか」
「それを本人に言えたら絶対に仲良くなれる、というか付き合うとこまで行けるのにな……」と頭を抱えながら良也の席に近寄る。
「おーい仲上くーん。……ちょっといつまで虚空見てるの」
「うお!」
「やっと帰ってきた……」
「あー中原か。どうした?」
「ちょっと謝っておいた方がいいかなって。前決めたようになってないし。仲上くん、無理してないかなって」
「その件は……まだうまく飲み込めないけど、大丈夫。嫌ってわけじゃないし」
背中の視線が徐々に強まってきたことを感じた南月は良也の答えを聞いた後すぐさま席に戻った。
「なつ……」
心結が何かを言いかけたがその言葉は担任の声によってかき消された。
「よし、仲上も元通りになったところで、委員の2人。前に出て出し物決めてくれ。お前ら2年目だから学祭で出せないものくらいわかるよな?」
良也たちの学校の文化祭は大体のことはできるが、やはり衛生的に生ものの提供はできない。それ以外は学校側が危険と判断したものだが、以前、教室でジェットコースターを作った時も許可が出たらしいのでそのルールはあってないようなものだ。
「じゃあ、やりたいものある人意見出してくださーい」
良也のその声を皮切りに次々と意見が出される。書記は心結に任せていた良也も流石に書記に回った。
「……はい、では出たものの中で多数決をとって最終的に残ったのは、『屋台』『縁日』『メイド喫茶』の3つ。この中から決めていきたいところなんですが、そろそろ時間なので一旦今日はここで終わります。最終決定は明日ということで」
ちょうど喋り終えたところでチャイムが鳴り始める。それを横耳で聞きながら教卓の上を片付けているとちょいちょいと肩を叩かれた。
振り向くとそこには下に俯いた心結の姿が。スカートを握り、何かを言いたそうにしていた心結はやがて顔をあげ、良也から少し目線を外しながら
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