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44.社畜サラリーマンはリンゴ3個分の重さにたとえられる

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竜帝陛下の言葉に胸が熱くなるのが分かった。幸せになろうという言葉が嬉しくて、この人?とならずっと一緒に居たいと心から思った。

「竜帝陛下……」

「ラム様と呼んで欲しい、いとおしいシヅル」

私と竜帝陛下は見つめ合ってそしていつも通り顔中に竜帝陛下のキスの雨が降った時だった。

「やめろ!!兄さん、どうしてそんな角の生えた化け物がいいんだ!!」

「そうですよ。竜帝陛下みたいな幸せで恵まれている存在は、お兄様の孤独な魂を受け入れきれない。のようにすべてから見放された貴方の気持ちが分かる存在以外、貴方とは一緒になれない……」

新旧ふたりのブラコンから叫ばれたが私の心は揺れることはなかった。むしろ困惑して怖かったので竜帝陛下のしがみついた。

「汝ら、シヅルが怯えている。よしよし大丈夫だ。余がどんなことがあってもシヅルを守る」

竜帝陛下に優しく背中を撫でられて小さくなったりしたせいで甘くなった涙腺が緩んで涙が零れ続ける。

「わぁ……あっ」

「シヅルが泣いちゃった。怖かったか??」

私と竜帝陛下がイチャイチャするのを、見ていたふたりのブラコンのうち、いきなりアナイスが叫んだ。

「やめろ!!ああ、僕のお兄様を返せ!!」

叫び声に呼応するように真っ黒な何かがアナイスの体からあふれ出した。そして、それは黒い触手のようなものとなり、こちらに向かって襲い掛かってきた。

バジィイイ!!!

それは鞭のようにしなりこちらに向かってきたが、竜帝陛下は私をお姫様抱っこすると軽くかわした。しかし、その顔が驚愕に代わる。

「まさか……そんな」

竜帝陛下が何かに気付いて驚いているのが分かった私は急に不安になった。

バシィイイイイイイイン!!

その間も激しい攻撃が黒い触手から放たれるが、それはまるで赤子の手を捻るくらい簡単によけているのにあまりに真剣に考えている竜帝陛下。

「もしかして……何か悪いことがありましたか??」

震える声で涙を零しながら聞いた私に、竜帝陛下は言うか言うまいか悩んだ様子だったが優しく耳元でこうささやいた。

「『異世界人のきもち』によると異世界でもっとも可愛いとされる猫のキャラクターの体重はリンゴ3個分とされているが、シヅルは小さい時はリンゴ半分程度、今抱き上げた体感もリンゴ3個分より軽いと気付いてしまったのだ。ああ、この件が片付いたら美味しいものを食べてちゃんと体に肉をつけねば……」

「いや、待ってください。私はキ〇ィさんより絶対重いですから!!むしろ、りんご3個分より軽い人間は超未熟児の赤さんくらいです」

「いや、シヅルは軽すぎる。リンゴと言わずいちごくらい軽いかもしれない。ああそう言えばシヅルはいちごのように甘酸っぱく……」

竜帝陛下がそのまま優しく唇を食まれたのでいつもの癖で受け入れるように口をあけたその時……。

「ふざけるな!!あああああ、この方を手に入れるために、五千年かけたんだ!!五千年かけてお兄様の魂を堕としたのだからそう簡単にその呪印は解けないよ!!!!魂の奧の奧まで根を張っているんだから!!!!だけのものだ、とお兄様はひとつになるんだぁああああああああ!!!この、欠けたの魂の分をお兄様の魂で埋めるんだ!!」

アナイスが発狂した時、それに連動するように触手が増えて激しく律動しながらこちらに襲い掛かった。しかし、竜帝陛下は全く気にすることもなく軽くかわしているのだがあまりの超絶技巧に自分なら絶対触手に襲われているだろうと確信した。

「その程度か、汝がシヅルを思う気持ちは??そんなものでは余は倒せん!!」

「渡さない、ワタサナイぃいいいいいいいい!!」

バシィイイイイイイイン

最早光の速さではと思うほどに黒い触手がしなりながら襲い掛かった時、急にまた首筋に痛みが走るのが分かった。

「いたっ!!」

あまりの痛みにそう叫んだ私の首筋に竜帝陛下が口づけをした。少し痛みが和らいだが黒い何かが私の体を覆おうとした。

「なっ……に……」

視界があまりの痛みが歪む。そして黒いものが私を竜帝陛下の腕の中から引きずり出した。

「シヅル、シヅル!!……呪印はだいぶ弱まっていたはずだったが……」

竜帝陛下の言葉にアナイスは嬉しそうに狂った笑いを上げた。

「根を張っている、だから簡単にはワタサナイワタサナイ!!!!」
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