48 / 68
44.社畜サラリーマンはリンゴ3個分の重さにたとえられる
しおりを挟む
竜帝陛下の言葉に胸が熱くなるのが分かった。幸せになろうという言葉が嬉しくて、この人?とならずっと一緒に居たいと心から思った。
「竜帝陛下……」
「ラム様と呼んで欲しい、いとおしいシヅル」
私と竜帝陛下は見つめ合ってそしていつも通り顔中に竜帝陛下のキスの雨が降った時だった。
「やめろ!!兄さん、どうしてそんな角の生えた化け物がいいんだ!!」
「そうですよ。竜帝陛下みたいな幸せで恵まれている存在は、お兄様の孤独な魂を受け入れきれない。僕のようにすべてから見放された貴方の気持ちが分かる存在以外、貴方とは一緒になれない……」
新旧ふたりのブラコンから叫ばれたが私の心は揺れることはなかった。むしろ困惑して怖かったので竜帝陛下のしがみついた。
「汝ら、シヅルが怯えている。よしよし大丈夫だ。余がどんなことがあってもシヅルを守る」
竜帝陛下に優しく背中を撫でられて小さくなったりしたせいで甘くなった涙腺が緩んで涙が零れ続ける。
「わぁ……あっ」
「シヅルが泣いちゃった。怖かったか??」
私と竜帝陛下がイチャイチャするのを、見ていたふたりのブラコンのうち、いきなりアナイスが叫んだ。
「やめろ!!ああ、僕のお兄様を返せ!!」
叫び声に呼応するように真っ黒な何かがアナイスの体からあふれ出した。そして、それは黒い触手のようなものとなり、こちらに向かって襲い掛かってきた。
バジィイイ!!!
それは鞭のようにしなりこちらに向かってきたが、竜帝陛下は私をお姫様抱っこすると軽くかわした。しかし、その顔が驚愕に代わる。
「まさか……そんな」
竜帝陛下が何かに気付いて驚いているのが分かった私は急に不安になった。
バシィイイイイイイイン!!
その間も激しい攻撃が黒い触手から放たれるが、それはまるで赤子の手を捻るくらい簡単によけているのにあまりに真剣に考えている竜帝陛下。
「もしかして……何か悪いことがありましたか??」
震える声で涙を零しながら聞いた私に、竜帝陛下は言うか言うまいか悩んだ様子だったが優しく耳元でこうささやいた。
「『異世界人のきもち』によると異世界でもっとも可愛いとされる猫のキャラクターの体重はリンゴ3個分とされているが、シヅルは小さい時はリンゴ半分程度、今抱き上げた体感もリンゴ3個分より軽いと気付いてしまったのだ。ああ、この件が片付いたら美味しいものを食べてちゃんと体に肉をつけねば……」
「いや、待ってください。私はキ〇ィさんより絶対重いですから!!むしろ、りんご3個分より軽い人間は超未熟児の赤さんくらいです」
「いや、シヅルは軽すぎる。リンゴと言わずいちごくらい軽いかもしれない。ああそう言えばシヅルはいちごのように甘酸っぱく……」
竜帝陛下がそのまま優しく唇を食まれたのでいつもの癖で受け入れるように口をあけたその時……。
「ふざけるな!!あああああ、この方を手に入れるために、五千年かけたんだ!!五千年かけてお兄様の魂を堕としたのだからそう簡単にその呪印は解けないよ!!!!魂の奧の奧まで根を張っているんだから!!!!僕だけのものだ、僕とお兄様はひとつになるんだぁああああああああ!!!この、欠けた僕の魂の分をお兄様の魂で埋めるんだ!!」
アナイスが発狂した時、それに連動するように触手が増えて激しく律動しながらこちらに襲い掛かった。しかし、竜帝陛下は全く気にすることもなく軽くかわしているのだがあまりの超絶技巧に自分なら絶対触手に襲われているだろうと確信した。
「その程度か、汝がシヅルを思う気持ちは??そんなものでは余は倒せん!!」
「渡さない、ワタサナイぃいいいいいいいい!!」
バシィイイイイイイイン
最早光の速さではと思うほどに黒い触手がしなりながら襲い掛かった時、急にまた首筋に痛みが走るのが分かった。
「いたっ!!」
あまりの痛みにそう叫んだ私の首筋に竜帝陛下が口づけをした。少し痛みが和らいだが黒い何かが私の体を覆おうとした。
「なっ……に……」
視界があまりの痛みが歪む。そして黒いものが私を竜帝陛下の腕の中から引きずり出した。
「シヅル、シヅル!!……呪印はだいぶ弱まっていたはずだったが……」
竜帝陛下の言葉にアナイスは嬉しそうに狂った笑いを上げた。
「根を張っている、だから簡単にはワタサナイワタサナイ!!!!」
「竜帝陛下……」
「ラム様と呼んで欲しい、いとおしいシヅル」
私と竜帝陛下は見つめ合ってそしていつも通り顔中に竜帝陛下のキスの雨が降った時だった。
「やめろ!!兄さん、どうしてそんな角の生えた化け物がいいんだ!!」
「そうですよ。竜帝陛下みたいな幸せで恵まれている存在は、お兄様の孤独な魂を受け入れきれない。僕のようにすべてから見放された貴方の気持ちが分かる存在以外、貴方とは一緒になれない……」
新旧ふたりのブラコンから叫ばれたが私の心は揺れることはなかった。むしろ困惑して怖かったので竜帝陛下のしがみついた。
「汝ら、シヅルが怯えている。よしよし大丈夫だ。余がどんなことがあってもシヅルを守る」
竜帝陛下に優しく背中を撫でられて小さくなったりしたせいで甘くなった涙腺が緩んで涙が零れ続ける。
「わぁ……あっ」
「シヅルが泣いちゃった。怖かったか??」
私と竜帝陛下がイチャイチャするのを、見ていたふたりのブラコンのうち、いきなりアナイスが叫んだ。
「やめろ!!ああ、僕のお兄様を返せ!!」
叫び声に呼応するように真っ黒な何かがアナイスの体からあふれ出した。そして、それは黒い触手のようなものとなり、こちらに向かって襲い掛かってきた。
バジィイイ!!!
それは鞭のようにしなりこちらに向かってきたが、竜帝陛下は私をお姫様抱っこすると軽くかわした。しかし、その顔が驚愕に代わる。
「まさか……そんな」
竜帝陛下が何かに気付いて驚いているのが分かった私は急に不安になった。
バシィイイイイイイイン!!
その間も激しい攻撃が黒い触手から放たれるが、それはまるで赤子の手を捻るくらい簡単によけているのにあまりに真剣に考えている竜帝陛下。
「もしかして……何か悪いことがありましたか??」
震える声で涙を零しながら聞いた私に、竜帝陛下は言うか言うまいか悩んだ様子だったが優しく耳元でこうささやいた。
「『異世界人のきもち』によると異世界でもっとも可愛いとされる猫のキャラクターの体重はリンゴ3個分とされているが、シヅルは小さい時はリンゴ半分程度、今抱き上げた体感もリンゴ3個分より軽いと気付いてしまったのだ。ああ、この件が片付いたら美味しいものを食べてちゃんと体に肉をつけねば……」
「いや、待ってください。私はキ〇ィさんより絶対重いですから!!むしろ、りんご3個分より軽い人間は超未熟児の赤さんくらいです」
「いや、シヅルは軽すぎる。リンゴと言わずいちごくらい軽いかもしれない。ああそう言えばシヅルはいちごのように甘酸っぱく……」
竜帝陛下がそのまま優しく唇を食まれたのでいつもの癖で受け入れるように口をあけたその時……。
「ふざけるな!!あああああ、この方を手に入れるために、五千年かけたんだ!!五千年かけてお兄様の魂を堕としたのだからそう簡単にその呪印は解けないよ!!!!魂の奧の奧まで根を張っているんだから!!!!僕だけのものだ、僕とお兄様はひとつになるんだぁああああああああ!!!この、欠けた僕の魂の分をお兄様の魂で埋めるんだ!!」
アナイスが発狂した時、それに連動するように触手が増えて激しく律動しながらこちらに襲い掛かった。しかし、竜帝陛下は全く気にすることもなく軽くかわしているのだがあまりの超絶技巧に自分なら絶対触手に襲われているだろうと確信した。
「その程度か、汝がシヅルを思う気持ちは??そんなものでは余は倒せん!!」
「渡さない、ワタサナイぃいいいいいいいい!!」
バシィイイイイイイイン
最早光の速さではと思うほどに黒い触手がしなりながら襲い掛かった時、急にまた首筋に痛みが走るのが分かった。
「いたっ!!」
あまりの痛みにそう叫んだ私の首筋に竜帝陛下が口づけをした。少し痛みが和らいだが黒い何かが私の体を覆おうとした。
「なっ……に……」
視界があまりの痛みが歪む。そして黒いものが私を竜帝陛下の腕の中から引きずり出した。
「シヅル、シヅル!!……呪印はだいぶ弱まっていたはずだったが……」
竜帝陛下の言葉にアナイスは嬉しそうに狂った笑いを上げた。
「根を張っている、だから簡単にはワタサナイワタサナイ!!!!」
58
お気に入りに追加
583
あなたにおすすめの小説
病弱な悪役令息兄様のバッドエンドは僕が全力で回避します!
松原硝子
BL
三枝貴人は総合病院で働くゲーム大好きの医者。
ある日貴人は乙女ゲームの制作会社で働いている同居中の妹から依頼されて開発中のBLゲーム『シークレット・ラバー』をプレイする。
ゲームは「レイ・ヴァイオレット」という公爵令息をさまざまなキャラクターが攻略するというもので、攻略対象が1人だけという斬新なゲームだった。
プレイヤーは複数のキャラクターから気に入った主人公を選んでプレイし、レイを攻略する。
一緒に渡された設定資料には、主人公のライバル役として登場し、最後には断罪されるレイの婚約者「アシュリー・クロフォード」についての裏設定も書かれていた。
ゲームでは主人公をいじめ倒すアシュリー。だが実は体が弱く、さらに顔と手足を除く体のあちこちに謎の湿疹ができており、常に体調が悪かった。
両親やごく親しい周囲の人間以外には病弱であることを隠していたため、レイの目にはいつも不機嫌でわがままな婚約者としてしか映っていなかったのだ。
設定資料を読んだ三枝は「アシュリーが可哀想すぎる!」とアシュリー推しになる。
「もしも俺がアシュリーの兄弟や親友だったらこんな結末にさせないのに!」
そんな中、通勤途中の事故で死んだ三枝は名前しか出てこないアシュリーの義弟、「ルイス・クロフォードに転生する。前世の記憶を取り戻したルイスは推しであり兄のアシュリーを幸せにする為、全力でバッドエンド回避計画を実行するのだが――!?
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
寝不足貴族は、翡翠の奴隷に癒される。
うさぎ
BL
市場の片隅で奴隷として売られるゾイは、やつれた貴族風の男に買われる。その日から、ゾイは貴族の使用人として広大な館で働くことに。平凡で何の特技もない自分を買った貴族を訝しむゾイだったが、彼には何か事情があるようで……。
スパダリ訳あり貴族×平凡奴隷の純愛です。作中に暴力の描写があります!該当話数には*をつけてますので、ご確認ください。
R15は保険です…。エロが書けないんだァ…。練習したいです。
書いてる間中、ん?これ面白いんか?と自分で分からなくなってしまいましたが、書き終えたので出します!書き終えることに意味がある!!!!
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません
柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。
父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。
あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない?
前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。
そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。
「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」
今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。
「おはようミーシャ、今日も元気だね」
あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない?
義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け
9/2以降不定期更新
悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました!
スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。
ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる