21 / 68
18.社畜サラリーマンはぽやぽやになる➕後悔と決意 (アヴェル視点(リュカに仕えている騎士))
しおりを挟む
その後、ぐちゃぐちゃに汚れた気怠い体は竜帝陛下により甲斐甲斐しく綺麗にされた。
「シヅル、痛いところはない??」
「……ないれふ」
脳みそがぽやぽやと先ほどの余韻を残したままなので舌足らずな自身の気持ち悪さににも気付かずにいれた。
私は、そのまま立派な岩風呂の湯船に竜帝陛下の膝の上に抱えられながら浸かっている。
「シヅル、いつも可愛いけどさっきはさらに全てが可愛かったよ。今後もたくさん甘えてたくさん望みを言っておくれ」
先ほど甘噛みしたあたりにキスを落としながら竜帝陛下は言った。
「らみゅさまぁ……くしゅぐったぃれす」
執拗にそこにキスを落とすのでこそばゆい。
「コレをシヅルに刻んだ者を◯してやりたいな。いや、◯すのは生ぬるい。もっと追い詰めて……」
不穏な空気を背後から感じた時、自分でもなぜかわからないが私は竜帝陛下を振り返り鼻先にキスをしてから。
「メッ」
と小さな子供にするような注意をした。その仕草に竜帝陛下が目を見開いたのが分かる。
その顔が面白いと感じた瞬間、体が急に重くなりそのまま意識が途絶えた。
途絶える意識の中、竜帝陛下が、
「……ルゼル」
と聞き覚えのある誰かの名前を読んだ気がしたが夢か現かはわからなかった。
***
アヴェル視点(リュカに仕えている騎士)
暗い地下牢の中で俺は壁をぼんやりと見つめた。
(まさか、自分がこの中に入る日が来るなんてな……)
その地下牢は奇しくもかつてのいまだに償いきれない自身の大罪を思い出させる場所だった。
この13番地下牢には、かつて誤った罪状で『魂壊』に処されることになった竜帝陛下の番い様、小公爵様が閉じ込められていた。
そして、私は彼を今は別の兵士が立つ牢の外から監視していた。
あの時、俺には小公爵様は美しいが愚かで嫉妬深い暴君に見えていた。
幼なじみで小公爵様に仕えていた男爵令息のスタガーからは彼に酷い目に遭わされているといつも聞いていたから我々は学園で彼に初めて会った時から、良い印象は抱けなかった。
むしろ、彼に目をつけられる者を減らして牽制する目的のために、リュカ様とふたりで徹底的にやり合っていた。
しかし、真実が詳らかにされた時、それが過ちであり償うことのできない罪を犯したことと、誰にも言えなかったが、俺の初恋相手がアナイス様でなく小公爵様だった事実を知ってしまったのだから。
彼は確かに傲慢だったが、それは高位貴族としては逸脱するものではなかった。むしろ彼の周囲の者達は彼の高潔さを知っていた。
確かに口では身分の低い者を侮蔑するような悪いことを言ったが、その裏では自身が高位貴族である自覚を持ち彼らが困らないように施しや寄付を惜しまない人だったと。
そして、あの悲劇も殺すつもりではなく、腹違いの兄弟へ少しでも喜んでもらうために仲良くなりたくて選んだ珍しいプレゼントが招いた予期せぬ不幸な事故だったのだと……。
(我々は私的な憎しみから捜査を怠り小公爵様は正当な裁判もないままリュカ様の皇族権限で惨たらしく『魂壊』処刑された…‥竜帝陛下が、隣国に出かけていたあの日に……)
同じ地下牢の中に居ると無実を訴えていた、小公爵様が、幽霊のように背後にいる気がした。
あの時、しっかり話を聞いていればあんなことにはならなかったのだ。
(リュカ様、また俺達は間違えてしまったらしい……)
粗末な地下牢はまともな防音もされていない、だから俺の耳にはずっとずっと、近くの牢に閉じ込められているリュカ様の泣き叫ぶ声が聞こえ続けていた。
一度誰かがやってきて、止まったと思ったが、すぐに復活したその声はさらに酷いものに変わっていた。
咽び泣くその声にしかし、内心では苛立ちを隠しきれなかった。
異世界人を無闇に呼び出した時点で罪があるのは承知していた。
しかし、何故、リュカ様は彼をあの美しい異世界人を醜いと罵り暴行を加えたのかと。
いくら好みではなかったとはいえ、一方的に呼び出せば反発されるのは当たり前だ。以前のリュカ様はあんな短絡的なことはしなかったはずだ。
そこで、何かがおかしいと気づいてしまったた。
そもそも、いくら竜帝陛下への償いのためとはいえあのような無茶苦茶な行動をしたのか……。
(リュカ様……そうか、そういうことだったのか!!)
「……これだけは、なんとしても竜帝陛下に伝えなければ」
「シヅル、痛いところはない??」
「……ないれふ」
脳みそがぽやぽやと先ほどの余韻を残したままなので舌足らずな自身の気持ち悪さににも気付かずにいれた。
私は、そのまま立派な岩風呂の湯船に竜帝陛下の膝の上に抱えられながら浸かっている。
「シヅル、いつも可愛いけどさっきはさらに全てが可愛かったよ。今後もたくさん甘えてたくさん望みを言っておくれ」
先ほど甘噛みしたあたりにキスを落としながら竜帝陛下は言った。
「らみゅさまぁ……くしゅぐったぃれす」
執拗にそこにキスを落とすのでこそばゆい。
「コレをシヅルに刻んだ者を◯してやりたいな。いや、◯すのは生ぬるい。もっと追い詰めて……」
不穏な空気を背後から感じた時、自分でもなぜかわからないが私は竜帝陛下を振り返り鼻先にキスをしてから。
「メッ」
と小さな子供にするような注意をした。その仕草に竜帝陛下が目を見開いたのが分かる。
その顔が面白いと感じた瞬間、体が急に重くなりそのまま意識が途絶えた。
途絶える意識の中、竜帝陛下が、
「……ルゼル」
と聞き覚えのある誰かの名前を読んだ気がしたが夢か現かはわからなかった。
***
アヴェル視点(リュカに仕えている騎士)
暗い地下牢の中で俺は壁をぼんやりと見つめた。
(まさか、自分がこの中に入る日が来るなんてな……)
その地下牢は奇しくもかつてのいまだに償いきれない自身の大罪を思い出させる場所だった。
この13番地下牢には、かつて誤った罪状で『魂壊』に処されることになった竜帝陛下の番い様、小公爵様が閉じ込められていた。
そして、私は彼を今は別の兵士が立つ牢の外から監視していた。
あの時、俺には小公爵様は美しいが愚かで嫉妬深い暴君に見えていた。
幼なじみで小公爵様に仕えていた男爵令息のスタガーからは彼に酷い目に遭わされているといつも聞いていたから我々は学園で彼に初めて会った時から、良い印象は抱けなかった。
むしろ、彼に目をつけられる者を減らして牽制する目的のために、リュカ様とふたりで徹底的にやり合っていた。
しかし、真実が詳らかにされた時、それが過ちであり償うことのできない罪を犯したことと、誰にも言えなかったが、俺の初恋相手がアナイス様でなく小公爵様だった事実を知ってしまったのだから。
彼は確かに傲慢だったが、それは高位貴族としては逸脱するものではなかった。むしろ彼の周囲の者達は彼の高潔さを知っていた。
確かに口では身分の低い者を侮蔑するような悪いことを言ったが、その裏では自身が高位貴族である自覚を持ち彼らが困らないように施しや寄付を惜しまない人だったと。
そして、あの悲劇も殺すつもりではなく、腹違いの兄弟へ少しでも喜んでもらうために仲良くなりたくて選んだ珍しいプレゼントが招いた予期せぬ不幸な事故だったのだと……。
(我々は私的な憎しみから捜査を怠り小公爵様は正当な裁判もないままリュカ様の皇族権限で惨たらしく『魂壊』処刑された…‥竜帝陛下が、隣国に出かけていたあの日に……)
同じ地下牢の中に居ると無実を訴えていた、小公爵様が、幽霊のように背後にいる気がした。
あの時、しっかり話を聞いていればあんなことにはならなかったのだ。
(リュカ様、また俺達は間違えてしまったらしい……)
粗末な地下牢はまともな防音もされていない、だから俺の耳にはずっとずっと、近くの牢に閉じ込められているリュカ様の泣き叫ぶ声が聞こえ続けていた。
一度誰かがやってきて、止まったと思ったが、すぐに復活したその声はさらに酷いものに変わっていた。
咽び泣くその声にしかし、内心では苛立ちを隠しきれなかった。
異世界人を無闇に呼び出した時点で罪があるのは承知していた。
しかし、何故、リュカ様は彼をあの美しい異世界人を醜いと罵り暴行を加えたのかと。
いくら好みではなかったとはいえ、一方的に呼び出せば反発されるのは当たり前だ。以前のリュカ様はあんな短絡的なことはしなかったはずだ。
そこで、何かがおかしいと気づいてしまったた。
そもそも、いくら竜帝陛下への償いのためとはいえあのような無茶苦茶な行動をしたのか……。
(リュカ様……そうか、そういうことだったのか!!)
「……これだけは、なんとしても竜帝陛下に伝えなければ」
70
お気に入りに追加
583
あなたにおすすめの小説
童貞処女が闇オークションで公開絶頂したあと石油王に買われて初ハメ☆
はに丸
BL
闇の人身売買オークションで、ノゾムくんは競りにかけられることになった。
ノゾムくん18才は家族と海外旅行中にテロにあい、そのまま誘拐されて離れ離れ。転売の末子供を性商品として売る奴隷商人に買われ、あげくにオークション出品される。
そんなノゾムくんを買ったのは、イケメン石油王だった。
エネマグラ+尿道プラグの強制絶頂
ところてん
挿入中出し
ていどです。
闇BL企画さん参加作品。私の闇は、ぬるい。オークションと石油王、初めて書きました。
ケツで抱くタイプのバブみのある騎士団長様がなぜか僕だけ犯そうとします
ひよこ麺
BL
女性の数が極端に少ない異世界でモテるのをいいことに女性に手を出しまくり、結果、男しかいない辺境地の騎士団に飛ばされた侯爵家の次男ルベルス・フィッセルには物凄く不安なことがあった。
その辺境の騎士団長でムキムキ寡黙な辺境伯子息であるギーレン・ファンデンベルクには有名な裏のふたつ名があった。
『慈しみのケツを持つ魔性の男』
なんでも、かの団長は騎士団員全員をケツで抱いているらしく、さらにその全員を虜にしているらしい。
実際、辺境騎士団は団ケツもとい団結が強く、過去幾度となく国を防衛している。
生粋の女好きで、その容姿と家柄から希少な女性との関係も不自由したことがないルベルスからしたらそんなに恐ろしい世界はない。
「男といちゃつくなんて、ましてやどう見ても筋肉ムキムキで色々デカくてかたそうな団長が姫扱いされているようなヤバイ場所で生きていける訳がない!!」
そう思って初日から逃げ出そうとしたが、さっそく捕まり団長との二者面談という名のふたりきりハッテンタイムになってしまったルベルス。
ベッドにおしおきで押し倒された時、思わず叫んでしまった。
「団長を抱くなんて絶対にいやだ!!」
と……。その言葉にショックを受けるかとおもったが何故か微笑む団長、そして……。
「そうか、つまりお前は俺に抱いてほしいんだな」
あまりの言葉に理解できないルベルス。そこで今まで抱かれる側に回っていた魔性のケツを持つ団長の意外な真実が明らかになって……。
※ショートショート⇒短編へ変更いたしました。
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?
兄上の五番目の花嫁に選ばれたので尻を差し出します
月歌(ツキウタ)
BL
今日は魔王である兄上が、花嫁たちを選ぶ日。魔樹の華鏡に次々と美しい女性が映し出される。選ばれたのは五人。だけど、そのなかに僕の姿があるのだけれど・・何事?
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
【R18】黒曜帝の甘い檻
古森きり
BL
巨大な帝国があった。
そしてヒオリは、その帝国の一部となった小国辺境伯の子息。
本来ならば『人質』としての価値が著しく低いヒオリのもとに、皇帝は毎夜通う。
それはどんな意味なのか。
そして、どうして最後までヒオリを抱いていかないのか。
その檻はどんどん甘く、蕩けるようにヒオリを捕らえて離さなくなっていく。
小説家になろう様【ムーンライトノベルズ(BL)】に先行掲載(ただし読み直しはしてない。アルファポリス版は一応確認と改稿してあります)
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる