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18.社畜サラリーマンはぽやぽやになる➕後悔と決意 (アヴェル視点(リュカに仕えている騎士))

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その後、ぐちゃぐちゃに汚れた気怠い体は竜帝陛下により甲斐甲斐しく綺麗にされた。

「シヅル、痛いところはない??」

「……ないれふ」

脳みそがぽやぽやと先ほどの余韻を残したままなので舌足らずな自身の気持ち悪さににも気付かずにいれた。

私は、そのまま立派な岩風呂の湯船に竜帝陛下の膝の上に抱えられながら浸かっている。

「シヅル、いつも可愛いけどさっきはさらに全てが可愛かったよ。今後もたくさん甘えてたくさん望みを言っておくれ」

先ほど甘噛みしたあたりにキスを落としながら竜帝陛下は言った。

「らみゅさまぁ……くしゅぐったぃれす」

執拗にそこにキスを落とすのでこそばゆい。

「コレをシヅルに刻んだ者を◯してやりたいな。いや、◯すのは生ぬるい。もっと追い詰めて……」

不穏な空気を背後から感じた時、自分でもなぜかわからないが私は竜帝陛下を振り返り鼻先にキスをしてから。

「メッ」

と小さな子供にするような注意をした。その仕草に竜帝陛下が目を見開いたのが分かる。

その顔が面白いと感じた瞬間、体が急に重くなりそのまま意識が途絶えた。

途絶える意識の中、竜帝陛下が、

「……ルゼル」

と聞き覚えのある誰かの名前を読んだ気がしたが夢か現かはわからなかった。

***

アヴェル視点(リュカに仕えている騎士)

暗い地下牢の中で俺は壁をぼんやりと見つめた。

(まさか、自分がこの中に入る日が来るなんてな……)

その地下牢は奇しくもかつてのいまだに償いきれない自身の大罪を思い出させる場所だった。

この13番地下牢には、かつてで『魂壊こんかい』に処されることになった竜帝陛下の番い様、小公爵様が閉じ込められていた。

そして、私は彼を今は別の兵士が立つ牢の外から監視していた。

あの時、俺には小公爵様は美しいが愚かで嫉妬深い暴君に見えていた。

幼なじみで小公爵様に仕えていた男爵令息のスタガーからは彼に酷い目に遭わされているといつも聞いていたから我々は学園で彼に初めて会った時から、良い印象は抱けなかった。

むしろ、彼に目をつけられる者を減らして牽制する目的のために、リュカ様とふたりで徹底的にやり合っていた。

しかし、真実が詳らかにされた時、それが過ちであり償うことのできない罪を犯したことと、誰にも言えなかったが、俺の初恋相手がアナイス様でなく小公爵様だった事実を知ってしまったのだから。

彼は確かに傲慢だったが、それは高位貴族としては逸脱するものではなかった。むしろ彼の周囲の者達は彼の高潔さを知っていた。

確かに口では身分の低い者を侮蔑するような悪いことを言ったが、その裏では自身が高位貴族である自覚を持ち彼らが困らないように施しや寄付を惜しまない人だったと。

そして、あの悲劇も殺すつもりではなく、腹違いの兄弟へ少しでも喜んでもらうために仲良くなりたくて選んだ珍しいプレゼントが招いた予期せぬ不幸な事故だったのだと……。

(我々は私的な憎しみから捜査を怠り小公爵様は正当な裁判もないままリュカ様の皇族権限で惨たらしく『魂壊こんかい』処刑された…‥竜帝陛下が、隣国に出かけていたあの日に……)

同じ地下牢の中に居ると無実を訴えていた、小公爵様が、幽霊のように背後にいる気がした。

あの時、しっかり話を聞いていればあんなことにはならなかったのだ。

(リュカ様、また俺達は間違えてしまったらしい……)

粗末な地下牢はまともな防音もされていない、だから俺の耳にはずっとずっと、近くの牢に閉じ込められているリュカ様の泣き叫ぶ声が聞こえ続けていた。

一度誰かがやってきて、止まったと思ったが、すぐに復活したその声はさらに酷いものに変わっていた。

咽び泣くその声にしかし、内心では苛立ちを隠しきれなかった。

異世界人を無闇に呼び出した時点で罪があるのは承知していた。

しかし、何故、リュカ様は彼をあのを醜いと罵り暴行を加えたのかと。

いくら好みではなかったとはいえ、一方的に呼び出せば反発されるのは当たり前だ。以前のリュカ様はあんな短絡的なことはしなかったはずだ。

そこで、何かがおかしいと気づいてしまったた。

そもそも、いくら竜帝陛下への償いのためとはいえあのような無茶苦茶な行動をしたのか……。

(リュカ様……そうか、そういうことだったのか!!)

「……これだけは、なんとしても竜帝陛下に伝えなければ」
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