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閑話:ある魔力至上主義者の慟哭(???視点)

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物心ついた時、僕は自身が蔑まれていることを理解した。

そして、僕がこの家の実子でないことも。

「お前みたいな血の汚い者を貴族として育ててやってるだけ有難いと思え!!」

そう言いながら義父が僕を怒鳴ったり殴ったりしたのをはっきりと覚えている。義父はいつも不満に満ちていた。何故こんなに不満に満ちているのかと言えば答えは簡単だった。

「ピーター、順調か??」

「もちろんでございます、

我が家に時々やってくる、とても身なりの良い明らかにうちよりも高位貴族だと分かる男。この男が来るとふたつの変化が僕にいつも発生した。

「ところで、はちゃんと元気にしているか??」

「も、もちろんです」

この人がいつも口にする『かの子』というのは、僕のことを指していた。そして、義父はいつも少し焦った様子で何事もないと告げる。

「そうか。ところでの魔力量並びにスキルはしっかり伸ばしているのだろうな??」

「もちろん。です」

いつもは、と罵る口が、その男の前ではいつも誉め言葉を並べた。そうして、その言葉に満足したようにと呼ばれた男は立ち去る。

しかし、この男が立ち去った後に義父は必ず、と罵りながら暴力を振るってきた。

つまり、義父は権力的にに勝てないが、内心で彼を嫌っているため彼から預かったと思われる僕に酷い虐待をしていたのだ。

そんな義父以外に、一応義母も居た。

表向きは特に何かすることもなく、最低限は僕に対して心配したりしている素振りを見せてはいた。

しかし、義母は基本的には王宮に務めていて、しかもその中の離宮で侍女頭の地位まで上り詰めていた。だから、ほとんど屋敷には僕と義父と義父の忠実な使用人達だけに囲まれていた。

ただ、さぇ来なければ基本的には放置と無視だけだったのでまだマシで生きていけた。

魔法の勉強だけはそれはそれは厳しいが優秀でまともな教師をつけられており、その教師からとても優秀で稀有なスキルを持っていると言われて、且つ魔力量もとても多くて優秀だと言われていた。

その家庭教師は次に会った時には魔法師団長にまで就任していたので間違いなく教師としても魔法使いとしても優秀な存在だったのだと確信している。おかげで、僕は稀有な能力を使いこなすことが出来るようになった。

スキルや魔法がある程度使えるようになった時、は僕にある命令をした。

「君の力が必要だ。今度君を陛下に紹介するために王宮へ連れて行く。陛下に君のスキルである『強迫』を使用してほしい」

僕のスキルである『強迫』は元々ある『疑念』『疑心』を強化して信じ込むようにするという能力だ。しかし、それを陛下に使うなんて流石に良くないことだと思った。

「陛下に魔法を使うなど……最悪死罪になりませんか??」

「バレたらそうなるがバレなければ問題はない。それに何よりあのヌルが王太子になることは絶対に避けないといけない。魔力量が0の者など路傍の石より価値がないのだから」

そう憎々し気な顔をした閣下。この人は『魔力』のない人間をとても蔑んでいた。

「……魔力量がない人間や、少ない人間に価値はないのですか??」

「当たり前だ。この国の建国神は魔力を忠臣に与えられた。だから、魔力のない者は見放された者だし、魔力量が少ないものも加護のあまりない者に過ぎない。カルナック公爵を知っているかい??」

その名前には覚えがあった。自信と同世代でもっとも魔力が強いと言われるレイモンド様の父上だ。

「ええ、レイモンド小公爵様のお父上でございますね」

「ああ。カルナック公爵は本来は大公の地位を得る予定だったが、魔力量が少ないため王族を追われて公爵になった。これについて不服だとする者もいるが私は順当もしくはそれでも公爵の地位なのがおかしいとさぇ思っている。ほぼヌルのような魔力量しかない者が私より上の地位など……しかし、レイモンド様は違う、大公いや王にだってなれる……」

そう語るの目は血走っていた。と話した日から、僕は考えた。『魔力量が多い』僕は義父よりずっと優秀なのではないかと。

僕を虐待する義父は、地位はあるが『魔力』は特に多くはない。それなのに僕に対して血筋を理由に虐待をする。けれど血筋など意味がない。魔力こそが全てなら、僕はこんな男に虐待をされる必要はなくなる。

僕は、あることを思い付く。

ー義父から、唯一の誇りである『地位』を奪ってしまおう

(そうすれば、『魔力量』が高い僕の方がずっと優位に立てる)
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