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06:きれいは汚い、汚いはきれい
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「きれいは汚い、汚いはきれい」
夢の中でオフェリアがそう呟いた。僕が彼女に近付くが相変わらず顔がみえない。ただ、顔が見えないのに、赤い髪であることとその瞳の色が緑であることが分かった。
「愛する君の顔が見えない、どうして……」
「罪から出た所業は、ただ罪によってのみ強力になるの、貴方もこの私もとても罪深い」
「待ってくれ、オフェリア!!」
必死に追いすがろうとしたが、ふわりと彼女は消える。そうしてその残り香だけが残る。その香りを胸に吸い込む、慈しむようにその清潔な香りを……。
******************
目覚めた時、また、違う部屋にいた。薄汚れた部屋でも、白い部屋でもない、そこそこ品の良い、そこは貴賓室のような部屋だった。
けれど、相変わらず僕には首輪とハーネスが取り付けられていた。そうして、また、1枚のカードが置かれていた。この間と同じ魔女のシルエットだが、数字が「1」から「2」に変化していた。
そのカードを再び開くと、やはり短い文章が綴られていた。
「不仕合わせな生れつきなのでございましょう。私には心の内を口に出す事が出来ませぬ。確かに父君をお慕い申上げております、それこそ、子としての私の務め、それだけの事にございます」
その文章を読んだ瞬間、また頭の中にある光景が浮かんできた。それは、兄の王太子と第2王子がふたりで父を王座から追い落とす姿だ。そして、それを僕はまるで観客のように手も出せずに見ている。
兄ふたりは父に気に入られていた。そして知恵があり、優れていた。だからこそ父を裏切った。僕は優れていないし気も利かず、父から見放されて辺境へ捨て置かれた。
そこまで思い出して、僕は愕然とした。だとすればオフェリアは、僕の婚約者はどうなった??彼女は、無事だろうか……。
そう考えた時、頭の中でまるでコバエのような低いうなりをあげるような不快な感情が沸き上がる。そして誰かの声が響く。
「ルイス殿下の婚約者は彼を裏切った。可哀そうなルイス殿下」
嘘だ嘘だ嘘だ。
「オフェリアは僕を裏切るものか、裏切ったりなんかしない!!」
また、酷い頭痛に襲われていく。どうして、どうして、何がどうなっているんだ。
「おはよう、ルイス」
マクベスが部屋を訪れた。記憶が蘇る中でそれでもこの男のことが名前以外思い出せない。ただ、状況を整理すると、僕は父王に見放されて放逐された。だから今は第3王子ですらない。
しかし、そんな僕をこの男は拾い上げて「愛を乞うように」といって監禁し続けている。なぜ、こんなことを男がするのか全くわからないが、何もかも努力してやっと人並みでしかない出来損ないの僕はこの男から見捨てられれば文字通り野垂れ死にすることが今ならよくわかる。
だからこそ、記憶を失う前の僕は、この男に捨てられないように必死だったのかもしれない。しかし、その結果オフェリアのことを守れなかったとしたら、僕は愚かで自分本位な最低の男だ。
「記憶は蘇ったか??お前の父親のことを思い出したか」
「父上である、リア王は兄達によって王位を奪われてしまった。そして、その前に僕は父の不興を買い放逐された。経緯は思い出せないけれどマクベス、貴方は僕を拾い守ってくれたのだろう??しかし何故監禁して愛を乞わせる」
記憶と状況を整理して話すとマクベスはただ静かに聞いている。
「それにオフェリアはどこにいる??どこに、僕との婚約が白紙になっただろう彼女は、彼女に迷惑をかけてしまった……」
泣き崩れた僕はマクベスの胸の中に抱きすくめられる。そして、そのまま服を脱がされた。最早抵抗する気は起きない。されるがままの僕にマクベスは優しくキスの雨を降らせる。
そして全て脱がされた体中をマクベスは丹念に舐めた。まるで体の全てを慈しむように。
「どうして……そこまで愛してくれるんだ」
何も持たない、何もない僕を。疑問を口にする。しかしそれに答えずただ、優しくリップ音をさせながらマクベスに体中を愛される。そのあたたかさが怖い。一層、昨日や一昨日のようになにも考えられないほど強引に突き上げてくれた方がよほど気が楽だ。
「怖い……マクベス……僕は君の愛がこわいんだ」
気付けばそう言いながら、また涙を零している。その涙も彼はやさしく舐めとるのが分かっていた。それでも涙が止まらない。
「可哀そうなルイス。恐れなくって良い、ただ受け入れてくれれば……愛して受け入れれば楽になる」
その言葉は甘美だった。もう一層のこと全て投げ出してしまいたい。記憶など蘇らずにこのままただ行為に溺れてマクベスに愛され続けるだけを望んだなら……。
しかし、僅かに残る理性がそれを拒む。そしてオフェリアへの、最愛の少女への愛がそれを許すなという。
「だめだ、僕はオフェリアを……オフェリアだけを……」
チクリ
そう口に出した瞬間、胸の突起に痛みが走った。チリリというような鈍い痛み。マクベスがふたつの突起を摘まんだのだ。
(痛い……でも……)
きもちがいい。
相対するような感情。そして、すぐに突起が慣れたようにぷっくりと先をとがらせるように変化したのに気づいた。まるで女のもののように赤く色づいたそれは、熟れた果実のような色をしていた。
「堕ちてしまえばいい、愛おしいルイス殿下」
夢の中でオフェリアがそう呟いた。僕が彼女に近付くが相変わらず顔がみえない。ただ、顔が見えないのに、赤い髪であることとその瞳の色が緑であることが分かった。
「愛する君の顔が見えない、どうして……」
「罪から出た所業は、ただ罪によってのみ強力になるの、貴方もこの私もとても罪深い」
「待ってくれ、オフェリア!!」
必死に追いすがろうとしたが、ふわりと彼女は消える。そうしてその残り香だけが残る。その香りを胸に吸い込む、慈しむようにその清潔な香りを……。
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目覚めた時、また、違う部屋にいた。薄汚れた部屋でも、白い部屋でもない、そこそこ品の良い、そこは貴賓室のような部屋だった。
けれど、相変わらず僕には首輪とハーネスが取り付けられていた。そうして、また、1枚のカードが置かれていた。この間と同じ魔女のシルエットだが、数字が「1」から「2」に変化していた。
そのカードを再び開くと、やはり短い文章が綴られていた。
「不仕合わせな生れつきなのでございましょう。私には心の内を口に出す事が出来ませぬ。確かに父君をお慕い申上げております、それこそ、子としての私の務め、それだけの事にございます」
その文章を読んだ瞬間、また頭の中にある光景が浮かんできた。それは、兄の王太子と第2王子がふたりで父を王座から追い落とす姿だ。そして、それを僕はまるで観客のように手も出せずに見ている。
兄ふたりは父に気に入られていた。そして知恵があり、優れていた。だからこそ父を裏切った。僕は優れていないし気も利かず、父から見放されて辺境へ捨て置かれた。
そこまで思い出して、僕は愕然とした。だとすればオフェリアは、僕の婚約者はどうなった??彼女は、無事だろうか……。
そう考えた時、頭の中でまるでコバエのような低いうなりをあげるような不快な感情が沸き上がる。そして誰かの声が響く。
「ルイス殿下の婚約者は彼を裏切った。可哀そうなルイス殿下」
嘘だ嘘だ嘘だ。
「オフェリアは僕を裏切るものか、裏切ったりなんかしない!!」
また、酷い頭痛に襲われていく。どうして、どうして、何がどうなっているんだ。
「おはよう、ルイス」
マクベスが部屋を訪れた。記憶が蘇る中でそれでもこの男のことが名前以外思い出せない。ただ、状況を整理すると、僕は父王に見放されて放逐された。だから今は第3王子ですらない。
しかし、そんな僕をこの男は拾い上げて「愛を乞うように」といって監禁し続けている。なぜ、こんなことを男がするのか全くわからないが、何もかも努力してやっと人並みでしかない出来損ないの僕はこの男から見捨てられれば文字通り野垂れ死にすることが今ならよくわかる。
だからこそ、記憶を失う前の僕は、この男に捨てられないように必死だったのかもしれない。しかし、その結果オフェリアのことを守れなかったとしたら、僕は愚かで自分本位な最低の男だ。
「記憶は蘇ったか??お前の父親のことを思い出したか」
「父上である、リア王は兄達によって王位を奪われてしまった。そして、その前に僕は父の不興を買い放逐された。経緯は思い出せないけれどマクベス、貴方は僕を拾い守ってくれたのだろう??しかし何故監禁して愛を乞わせる」
記憶と状況を整理して話すとマクベスはただ静かに聞いている。
「それにオフェリアはどこにいる??どこに、僕との婚約が白紙になっただろう彼女は、彼女に迷惑をかけてしまった……」
泣き崩れた僕はマクベスの胸の中に抱きすくめられる。そして、そのまま服を脱がされた。最早抵抗する気は起きない。されるがままの僕にマクベスは優しくキスの雨を降らせる。
そして全て脱がされた体中をマクベスは丹念に舐めた。まるで体の全てを慈しむように。
「どうして……そこまで愛してくれるんだ」
何も持たない、何もない僕を。疑問を口にする。しかしそれに答えずただ、優しくリップ音をさせながらマクベスに体中を愛される。そのあたたかさが怖い。一層、昨日や一昨日のようになにも考えられないほど強引に突き上げてくれた方がよほど気が楽だ。
「怖い……マクベス……僕は君の愛がこわいんだ」
気付けばそう言いながら、また涙を零している。その涙も彼はやさしく舐めとるのが分かっていた。それでも涙が止まらない。
「可哀そうなルイス。恐れなくって良い、ただ受け入れてくれれば……愛して受け入れれば楽になる」
その言葉は甘美だった。もう一層のこと全て投げ出してしまいたい。記憶など蘇らずにこのままただ行為に溺れてマクベスに愛され続けるだけを望んだなら……。
しかし、僅かに残る理性がそれを拒む。そしてオフェリアへの、最愛の少女への愛がそれを許すなという。
「だめだ、僕はオフェリアを……オフェリアだけを……」
チクリ
そう口に出した瞬間、胸の突起に痛みが走った。チリリというような鈍い痛み。マクベスがふたつの突起を摘まんだのだ。
(痛い……でも……)
きもちがいい。
相対するような感情。そして、すぐに突起が慣れたようにぷっくりと先をとがらせるように変化したのに気づいた。まるで女のもののように赤く色づいたそれは、熟れた果実のような色をしていた。
「堕ちてしまえばいい、愛おしいルイス殿下」
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