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04:ヘンルーダとローズマリー※
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「やめろ!!……僕にさわる……っあ」
咄嗟に、その腕を払いのけようとしたが自身の細腕では、騎士であろう逞しいマクベスに全く歯が立たない。それどころか、そのままベッドに押し倒されて、唇を塞がれる。
まるで獣のような口づけ。唇が切れてしまうのではないかと思うような激しさで、口腔内を蹂躙される。吐き出そうとする吐息すらマクベスは飲み飲んだ。
「んっ……っ」
あまりの苦しさに、生理的な涙が零れた。頭が痛みを失くした代わりにまるで麻酔にでもかかったようにぼんやりとしはじめる。
そうしてすべてが虚ろで意識が遠くなった時、やっと唇が離れた。口の端から無数の透明の糸が引いていた。眼前には言い表せないような表情を浮かべているマクベスの顔だけがある。
「……お前に拒否できる権利はないことを思い出しただろう、それなのになぜ拒んだ」
とても低いその声色に、本能的に体が震える。怖い、怖くて怖くて仕方がない、仕方がないはずなのに……。何故か体の底から仄暗い炎のような熱が燻る。まるでこの状況にすらも快楽を感じるような、その恐ろしい浅ましい事実に必死に首を振る。
何に対して首を振ったのかは分からない。自然とあふれる涙が視界を歪めていく。その涙をマクベスが舐め取った。
「全く、俺がお前の涙に弱いことを知っているのかいないのか……。お前の場合、無意識なのだろうな、いつだってそうだ……」
そう言いながら、流れ落ちる涙をまるで甘露ででもあるように舐めあげられた。ずっと大切そうに腕の中にしまわれながら……。
落ち着いた鼓動、麝香の香り……、それらが何故か酷くあたたかくて体が疼く。オフェリアだけを愛しているはずなのに、なぜかこの男に僕は愛を乞いたくなる。愛していないはずなのに。
(何故、こんな……)
「そう言えば、お前にプレゼントしたカードの中身は見たのか??約束の報酬だ」
その言葉に弾かれたように、先ほど見ていたカードを探す。ベッドの縁にかろうじてそれは落ちていた。僕の目線に気付いたのか、それをマクベスが拾い上げるとニヤっと笑みを浮かべた。
「この言葉を見れば、思い出すことがあるだろう」
「……あれは……、オフェリアが似たことを言っていた。でもそれ以外は……」
マクベスに抱きしめられたままそう答えると、その答えに何か感じるところがないのかマクベスはそのまま再度、組み敷いた。
けれど、今度は酷く優しくゆっくりと体をベッドに倒される。そして、額に口づけを落としてから、どこか自嘲したような笑みを浮かべた。
「なら、また抱かれて記憶の断片を得ればいい」
「……」
無言で見つめ返したが、マクベスは特に何も言わなかった。ただ、底知れない翠の瞳になぜか胸の奧がざわめいた。
************************************
「顔を背けるな」
「いや……だっ」
この男は何が楽しいのか、全裸にされて手足を縛られて股を開かされた痴態を、姿見に映して見るように強要する。
(なぜ、こんな恥辱を味わわなければいけない)
心に沸き立つ怒りの感情と、妙な熱。
「よく見ろ。お前の淫らで美しい姿を……」
すでに開かれた足をさらに開かされれば、剥き出しの自身が先走りで濡れている様を、尻の穴からマクベスに入れて混ぜられた潤滑油が薔薇が濡れていく様を無理やり見る羽目になる。
自身のいやらしい姿に、耐え切れずに目を反らす、けれどそれを許すほどマクベスは優しくはない。あからさまに愉悦に染まった獣の瞳が逃がさないと捉えている。
「いやらしく濡れている、ほら、もうこんなに薔薇が濡れている。ルイス、美しい白い薔薇。けれどお前は誰よりもヘンルーダを愛している」
ヘンルーダその言葉に体が震える。そしてスイッチが入ったように体が熱くなるのが分かる。先ほどまでは羞恥心が勝っていたはずなのに、なぜか体が熱を持つ、まるで媚薬でも盛られたみたいに。
「かゆ……ぃ……なかが……」
「ははは、でも俺はヘンルーダは好きじゃない。ローズマリーが好きだ。けれど、お前は……」
何かを言いかけたがそのまま、マクベスが情欲に濡れた瞳で僕を見る。その瞳を見つめ返して、まるで溺れた人のように助けを乞う。それしか今は頭に浮かばない。
「たす……けてぇ……」
お願いだから、なぜか分からない急に訪れたこの熱から解放して欲しい。自然と浮かぶ涙。そしてなぜかこの男なら助けてくれるはずという確信。
そんな最中で、鏡の中と一瞬目があってしまう。そこには薄紅に頬を上気させた銀髪に碧眼の男とは思えない色香を纏った誰かが居た。
そう、誰かだ。こんな淫らな者が僕であるはずがない。僕じゃない。
「どうやって助けてほしい??」
「いれてぇ……ナカを混ぜて……」
本当はもう自分でかき混ぜてしまいたい。けれど縛られていてそれが許されない。だから「たすけて」と何度も繰り返す。すると、男が笑う。
「駄目だ」
その言葉に激しい熱に犯されながら絶望する、どうすればこの熱は冷めるのか、冷めないままに放置されたなら気が狂ってしまう。
「いやぁ……いれてぇ……」
必死に縋るように泣き叫んでいた。
(狂っている、完全に。こんなのは僕じゃない!!)
「お前は何故愛していない男に挿れてほしいんだ??何故ヘンルーダを好むんだ??何故オフェリアを求めるのか??そうだ、お前の父親の名前を憶えているか??」
矢継ぎ早に告げられた言葉、しかし最後の言葉が熱に浮かされた体に一瞬正気を取り戻させた。
(父上の名前??何故そんなことを……)
しかし、それも一瞬で、再び狂気が体を包む。
「いや……あぃしてるから……たすけて……」
自然と口にしていた言葉、愛していないはずの男に快楽のために股を開いて愛を乞う愚かさ。オフェリア以外を愛することなどないはずなのに……。
「ふっ、愛しているか。では、好きなだけ喰わせてやろう」
そう言って、待ち望んだ剛直を背後から受け入れる。
ぐちゅりと聞くに堪えないいやらしい水音がしたが、それすらも心地よい。
「あっ……きもちぃぃい!!」
軽く腰をすすめられただけで、疼いていた薔薇の肉壁はマクベスを咥えこんでしまう。その快感と熱で浮かされながら、涙が零れて止まらなくなる。だから、鏡に映る淫らで哀れな女のような男など見えていない。全て霞んでいる。
パンパン
肉がぶつかる音と共に、腰を容赦なく打ち付けられる。その衝撃にただ、喘ぎながら涙を流す。
「泣くがいい、悲しみを口に出さずにいると、いつかいっぱいにあふれて胸が張り裂けてしまうからな」
そうして、また最奥を拓かれて脈打つそれが、白濁をたっぷりと吐き出す。腹に熱がたまるのを感じた時、僕は絶頂を迎えた。
「っあああああああああああああ!!」
喉から嬌声を吐き出して、恐ろしいほどの快楽に完全に身を委ねて意識が手放した。その際、小さく呟いたマクベスの声を耳が拾った。
「可哀そうなルイス、どうしてお前は……」
大切なところを聞き取るより先に悦楽の波にのまれて沈んでいった。
咄嗟に、その腕を払いのけようとしたが自身の細腕では、騎士であろう逞しいマクベスに全く歯が立たない。それどころか、そのままベッドに押し倒されて、唇を塞がれる。
まるで獣のような口づけ。唇が切れてしまうのではないかと思うような激しさで、口腔内を蹂躙される。吐き出そうとする吐息すらマクベスは飲み飲んだ。
「んっ……っ」
あまりの苦しさに、生理的な涙が零れた。頭が痛みを失くした代わりにまるで麻酔にでもかかったようにぼんやりとしはじめる。
そうしてすべてが虚ろで意識が遠くなった時、やっと唇が離れた。口の端から無数の透明の糸が引いていた。眼前には言い表せないような表情を浮かべているマクベスの顔だけがある。
「……お前に拒否できる権利はないことを思い出しただろう、それなのになぜ拒んだ」
とても低いその声色に、本能的に体が震える。怖い、怖くて怖くて仕方がない、仕方がないはずなのに……。何故か体の底から仄暗い炎のような熱が燻る。まるでこの状況にすらも快楽を感じるような、その恐ろしい浅ましい事実に必死に首を振る。
何に対して首を振ったのかは分からない。自然とあふれる涙が視界を歪めていく。その涙をマクベスが舐め取った。
「全く、俺がお前の涙に弱いことを知っているのかいないのか……。お前の場合、無意識なのだろうな、いつだってそうだ……」
そう言いながら、流れ落ちる涙をまるで甘露ででもあるように舐めあげられた。ずっと大切そうに腕の中にしまわれながら……。
落ち着いた鼓動、麝香の香り……、それらが何故か酷くあたたかくて体が疼く。オフェリアだけを愛しているはずなのに、なぜかこの男に僕は愛を乞いたくなる。愛していないはずなのに。
(何故、こんな……)
「そう言えば、お前にプレゼントしたカードの中身は見たのか??約束の報酬だ」
その言葉に弾かれたように、先ほど見ていたカードを探す。ベッドの縁にかろうじてそれは落ちていた。僕の目線に気付いたのか、それをマクベスが拾い上げるとニヤっと笑みを浮かべた。
「この言葉を見れば、思い出すことがあるだろう」
「……あれは……、オフェリアが似たことを言っていた。でもそれ以外は……」
マクベスに抱きしめられたままそう答えると、その答えに何か感じるところがないのかマクベスはそのまま再度、組み敷いた。
けれど、今度は酷く優しくゆっくりと体をベッドに倒される。そして、額に口づけを落としてから、どこか自嘲したような笑みを浮かべた。
「なら、また抱かれて記憶の断片を得ればいい」
「……」
無言で見つめ返したが、マクベスは特に何も言わなかった。ただ、底知れない翠の瞳になぜか胸の奧がざわめいた。
************************************
「顔を背けるな」
「いや……だっ」
この男は何が楽しいのか、全裸にされて手足を縛られて股を開かされた痴態を、姿見に映して見るように強要する。
(なぜ、こんな恥辱を味わわなければいけない)
心に沸き立つ怒りの感情と、妙な熱。
「よく見ろ。お前の淫らで美しい姿を……」
すでに開かれた足をさらに開かされれば、剥き出しの自身が先走りで濡れている様を、尻の穴からマクベスに入れて混ぜられた潤滑油が薔薇が濡れていく様を無理やり見る羽目になる。
自身のいやらしい姿に、耐え切れずに目を反らす、けれどそれを許すほどマクベスは優しくはない。あからさまに愉悦に染まった獣の瞳が逃がさないと捉えている。
「いやらしく濡れている、ほら、もうこんなに薔薇が濡れている。ルイス、美しい白い薔薇。けれどお前は誰よりもヘンルーダを愛している」
ヘンルーダその言葉に体が震える。そしてスイッチが入ったように体が熱くなるのが分かる。先ほどまでは羞恥心が勝っていたはずなのに、なぜか体が熱を持つ、まるで媚薬でも盛られたみたいに。
「かゆ……ぃ……なかが……」
「ははは、でも俺はヘンルーダは好きじゃない。ローズマリーが好きだ。けれど、お前は……」
何かを言いかけたがそのまま、マクベスが情欲に濡れた瞳で僕を見る。その瞳を見つめ返して、まるで溺れた人のように助けを乞う。それしか今は頭に浮かばない。
「たす……けてぇ……」
お願いだから、なぜか分からない急に訪れたこの熱から解放して欲しい。自然と浮かぶ涙。そしてなぜかこの男なら助けてくれるはずという確信。
そんな最中で、鏡の中と一瞬目があってしまう。そこには薄紅に頬を上気させた銀髪に碧眼の男とは思えない色香を纏った誰かが居た。
そう、誰かだ。こんな淫らな者が僕であるはずがない。僕じゃない。
「どうやって助けてほしい??」
「いれてぇ……ナカを混ぜて……」
本当はもう自分でかき混ぜてしまいたい。けれど縛られていてそれが許されない。だから「たすけて」と何度も繰り返す。すると、男が笑う。
「駄目だ」
その言葉に激しい熱に犯されながら絶望する、どうすればこの熱は冷めるのか、冷めないままに放置されたなら気が狂ってしまう。
「いやぁ……いれてぇ……」
必死に縋るように泣き叫んでいた。
(狂っている、完全に。こんなのは僕じゃない!!)
「お前は何故愛していない男に挿れてほしいんだ??何故ヘンルーダを好むんだ??何故オフェリアを求めるのか??そうだ、お前の父親の名前を憶えているか??」
矢継ぎ早に告げられた言葉、しかし最後の言葉が熱に浮かされた体に一瞬正気を取り戻させた。
(父上の名前??何故そんなことを……)
しかし、それも一瞬で、再び狂気が体を包む。
「いや……あぃしてるから……たすけて……」
自然と口にしていた言葉、愛していないはずの男に快楽のために股を開いて愛を乞う愚かさ。オフェリア以外を愛することなどないはずなのに……。
「ふっ、愛しているか。では、好きなだけ喰わせてやろう」
そう言って、待ち望んだ剛直を背後から受け入れる。
ぐちゅりと聞くに堪えないいやらしい水音がしたが、それすらも心地よい。
「あっ……きもちぃぃい!!」
軽く腰をすすめられただけで、疼いていた薔薇の肉壁はマクベスを咥えこんでしまう。その快感と熱で浮かされながら、涙が零れて止まらなくなる。だから、鏡に映る淫らで哀れな女のような男など見えていない。全て霞んでいる。
パンパン
肉がぶつかる音と共に、腰を容赦なく打ち付けられる。その衝撃にただ、喘ぎながら涙を流す。
「泣くがいい、悲しみを口に出さずにいると、いつかいっぱいにあふれて胸が張り裂けてしまうからな」
そうして、また最奥を拓かれて脈打つそれが、白濁をたっぷりと吐き出す。腹に熱がたまるのを感じた時、僕は絶頂を迎えた。
「っあああああああああああああ!!」
喉から嬌声を吐き出して、恐ろしいほどの快楽に完全に身を委ねて意識が手放した。その際、小さく呟いたマクベスの声を耳が拾った。
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