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プロローグ:悪夢と記憶喪失
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「僕は、何故こんなに薄汚い場所にいるんだ??」
目を覚ました時、明らかに貴族牢というような部屋に閉じ込められていた。最低限、揃えられた調度品はあまりに質素で、王族である僕の部屋では絶対にない。
ここに来るまでの記憶を探ろうとしたが、頭がズキリと痛むだけで思考が真っ白になり何も浮かばなかった。
それに、生臭い嫌な臭いがどこからともなくする。僕は今、ベッドの上で布団をかけた状態で寝そべっている。その嫌な臭いは明らかにその布団の中からしている。
原因を探ろうと、布団から出ようとしたところ、体がバラバラになる様な倦怠感と、異常なまでの下腹部の痛みに「ぐっ」と情けない声をあげてしまった。
(なんだ、どうして……)
異変に驚き、布団から上半身が出ていたのでその体を見て思わず絶句する。
「な、なんだ、なんだこれは!?」
思わず叫ぶ。まず、首輪を嵌められていた。それもまるで大型の犬に着けるようなタイプだ。これだけでも異様であるのに、更に異常なのが、ハーネスで体を固定されているという事実だ。適当に体を捻るとどうやらこの部屋の一定の距離までしか動けないようされていることが分かった。
どうやら、自身が幽閉または監禁されて拘束もされているらしい。
ただ、幽閉や監禁にも種類がある。今の自分の状況は精神異常をきたしたものを拘束しているのが近い気もする。
しかし、よく見直して絶望的な事実に気付いてしまう。
精神異常の病院であれば服は着ているはずだ。それなのに、僕は全裸にされていた。その上、全裸だから剥き出しになっていた自身の乳首。それが紅く大きくなっていた、まるで女の乳房のように、明らかに誰かになされた所業にショックで頭がクラクラしてきた。
(悪い夢だろうか?だとしても色々最低だけれど……)
諸々の事実に気付いた時、未だに異臭を放つ布団のさらに下、自身の下腹部の辺りがとても気になった。けれど、それを見るのがとてつもなく恐ろしい。出来ればこのまま目を背けていたい。
だから、その場で助けを呼ぶように叫んでみた。
「誰か、誰か助けてくれ!!」
しばらく、その場で叫んだが、誰もこない。
必死に叫んだため、無意識に軋む体を動かし、布団が足元に落ちてしまった。そして……先程の臭いの原因を知る。
それはあり得ない場所から溢れて太ももにドロリと滴る白濁。そして、下腹部は本来、平らなはずが何故か明らかに膨れている。
震えながら腹を押すと、吐き気と共にドロリとしたものが太ももを伝う。
「ああ、う、嘘だ、こんな、こんな!?」
それは明らかに男の精液だった。それもこの膨らみを考えれば、腹の中に大量に吐き出されている。つまり、相当執拗に犯されたといういうことだ。その結論に考えただけで恐ろしくなる。
「何故、僕は誰にこんな目に遭わされた??」
ぼんやりとした頭で記憶を必死にたぐい寄せるが何もわからない、ただ、僕は王子でありながら何者かに捕まり、拘束されて、犯されたという状況だけがはっきりと浮かび上がり背筋が冷たくなる。
「なぜ、僕は王子なのにこんなところに幽閉されているんだ??」
***
とりあえず覚えている記憶を呼び覚ます。僕はこの国の第3王子として何不自由なく育った。王太子でも、そのスペアでもない僕は、父とも母ともあまり会えなかったが義務を果たすべく努力はしていた。
けれど、優秀な兄達に比べてどんなに努力しても平凡な僕は、顔だけ王子と揶揄されて、臣下降下も決まっていた。だから、せめてもの情けか、ミスカトリック公爵家の令嬢オフェリアと婚約していた。
オフェリアとの出会いは12歳だったが、あの日初めてであったオフェリアは美しい金髪に碧眼の少女で僕は彼女に一目惚れしたはずだ。そう、最愛の女性だった。
(オフェリア、僕の最愛の女性、婚約者。誰よりも愛していた、彼女は……)
そこまで回想して、激しい頭痛に見舞われた、何故かオフェリアの笑顔が思い出せない。オフェリアが思い出せない。誰よりも愛していた少女が、僕の婚約者が分からない。
「どうして??どうして、こんな……」
激しい痛みと共に涙が零れる。
「なぜ、最愛の人が思い出せないんだ!!」
そう慟哭した時、ガチャリと重い音を立てて扉が開く。頭痛のせいで、チカチカする視界がその男をとらえた、真っ赤な髪に翠の瞳の精悍な顔をした長身の男。
「ああ、また記憶がなくなったか。可哀想なルイス。しかし、これはまた俺が苦労するのか。まぁ、 楽しんでやる苦労は、苦痛を癒すものだがな」
目を覚ました時、明らかに貴族牢というような部屋に閉じ込められていた。最低限、揃えられた調度品はあまりに質素で、王族である僕の部屋では絶対にない。
ここに来るまでの記憶を探ろうとしたが、頭がズキリと痛むだけで思考が真っ白になり何も浮かばなかった。
それに、生臭い嫌な臭いがどこからともなくする。僕は今、ベッドの上で布団をかけた状態で寝そべっている。その嫌な臭いは明らかにその布団の中からしている。
原因を探ろうと、布団から出ようとしたところ、体がバラバラになる様な倦怠感と、異常なまでの下腹部の痛みに「ぐっ」と情けない声をあげてしまった。
(なんだ、どうして……)
異変に驚き、布団から上半身が出ていたのでその体を見て思わず絶句する。
「な、なんだ、なんだこれは!?」
思わず叫ぶ。まず、首輪を嵌められていた。それもまるで大型の犬に着けるようなタイプだ。これだけでも異様であるのに、更に異常なのが、ハーネスで体を固定されているという事実だ。適当に体を捻るとどうやらこの部屋の一定の距離までしか動けないようされていることが分かった。
どうやら、自身が幽閉または監禁されて拘束もされているらしい。
ただ、幽閉や監禁にも種類がある。今の自分の状況は精神異常をきたしたものを拘束しているのが近い気もする。
しかし、よく見直して絶望的な事実に気付いてしまう。
精神異常の病院であれば服は着ているはずだ。それなのに、僕は全裸にされていた。その上、全裸だから剥き出しになっていた自身の乳首。それが紅く大きくなっていた、まるで女の乳房のように、明らかに誰かになされた所業にショックで頭がクラクラしてきた。
(悪い夢だろうか?だとしても色々最低だけれど……)
諸々の事実に気付いた時、未だに異臭を放つ布団のさらに下、自身の下腹部の辺りがとても気になった。けれど、それを見るのがとてつもなく恐ろしい。出来ればこのまま目を背けていたい。
だから、その場で助けを呼ぶように叫んでみた。
「誰か、誰か助けてくれ!!」
しばらく、その場で叫んだが、誰もこない。
必死に叫んだため、無意識に軋む体を動かし、布団が足元に落ちてしまった。そして……先程の臭いの原因を知る。
それはあり得ない場所から溢れて太ももにドロリと滴る白濁。そして、下腹部は本来、平らなはずが何故か明らかに膨れている。
震えながら腹を押すと、吐き気と共にドロリとしたものが太ももを伝う。
「ああ、う、嘘だ、こんな、こんな!?」
それは明らかに男の精液だった。それもこの膨らみを考えれば、腹の中に大量に吐き出されている。つまり、相当執拗に犯されたといういうことだ。その結論に考えただけで恐ろしくなる。
「何故、僕は誰にこんな目に遭わされた??」
ぼんやりとした頭で記憶を必死にたぐい寄せるが何もわからない、ただ、僕は王子でありながら何者かに捕まり、拘束されて、犯されたという状況だけがはっきりと浮かび上がり背筋が冷たくなる。
「なぜ、僕は王子なのにこんなところに幽閉されているんだ??」
***
とりあえず覚えている記憶を呼び覚ます。僕はこの国の第3王子として何不自由なく育った。王太子でも、そのスペアでもない僕は、父とも母ともあまり会えなかったが義務を果たすべく努力はしていた。
けれど、優秀な兄達に比べてどんなに努力しても平凡な僕は、顔だけ王子と揶揄されて、臣下降下も決まっていた。だから、せめてもの情けか、ミスカトリック公爵家の令嬢オフェリアと婚約していた。
オフェリアとの出会いは12歳だったが、あの日初めてであったオフェリアは美しい金髪に碧眼の少女で僕は彼女に一目惚れしたはずだ。そう、最愛の女性だった。
(オフェリア、僕の最愛の女性、婚約者。誰よりも愛していた、彼女は……)
そこまで回想して、激しい頭痛に見舞われた、何故かオフェリアの笑顔が思い出せない。オフェリアが思い出せない。誰よりも愛していた少女が、僕の婚約者が分からない。
「どうして??どうして、こんな……」
激しい痛みと共に涙が零れる。
「なぜ、最愛の人が思い出せないんだ!!」
そう慟哭した時、ガチャリと重い音を立てて扉が開く。頭痛のせいで、チカチカする視界がその男をとらえた、真っ赤な髪に翠の瞳の精悍な顔をした長身の男。
「ああ、また記憶がなくなったか。可哀想なルイス。しかし、これはまた俺が苦労するのか。まぁ、 楽しんでやる苦労は、苦痛を癒すものだがな」
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