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72.現状確認
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シオン大公が何かいまだにブツブツ言っているがそれは、無視して俺は考えていた。どうすればルカをアクアマリン伯爵家から救い出せるかを……。
(一応レイモンドを偵察に行かせているが……)
そんな時、ゲストハウスに客がやってきた。いや、客というか部下とその家族だった。
「辺境伯様、ルカルカの件、進展がありました」
「今回は、私もお手伝いします」
そのふたりを見つめる。本来なら俺ひとりでどうにかしたいところだが、下手に動くのは得策ではない。なんせ、ルカは自然に逃げて、偶然、今後ろでブツブツ言っているシオン大公に保護されなければならないのだから。
「ああ、サファイア侯爵令息、すまない」
そう答えると、レイモンドが何故かすごい顔をしている。
「えっ、辺境伯様、どうしたっすか??俺に謝るなんて……」
すっかり忘れていたが、レイモンドもサファイア侯爵令息だ。その反応に微妙な顔をすると、伝わったようではぁと大きくため息をついた。
「なんだ、兄上のことっすね。まぁ、そうっすよね。辺境伯様が俺にそんなこと言った日にはこの世界が終わるかもしれないっす」
「……レイモンド、月夜ばかりと思うなよ」
「ひぃ、こわっ。まぁ元気そうでよかったっす。で、俺とベルっちがアクアマリン伯爵家について調べていたっすけど、まぁ現状はあまり良くないっすね。ルカルカの父親ってことになっている伯爵がとにかく商才も領地の運営もうまく出来ていないっすよね、息子で嫡男のアベーレはそこそこ優秀そうっすけど、次男のケビンは最悪っすね、悪い仲間とつるんでろくな事してないようっすよ。その中にジルコニア伯爵令嬢、ミリアやルビー侯爵令息も居たみたいで、今回の婚約も、資産のないアクアマリン伯爵家がお金のためにジルコニア伯爵令嬢と婚約を結んだってことみたいっす。ジルコニア伯爵側もルビー侯爵家がなくなって自身の娘の悪行もバレかけてやむ負えず特に問題のない、一応輝石の一族であるアクアマリン伯爵家の三男、フルー大公国に切れる切り札でもあるルカルカを婿にしたってことみたいっすね」
「ジルコニア伯爵家は裕福だが、ミリアはルビー侯爵令息と悪事を働いていたし、ジルコニア伯爵自身も表向きは鉱山の運営で大きな財を成しているようだけれど、実際は違うみたいだ。どうやら偽の宝石を裏市場で本物の宝石と偽り流しているようだ。これについては、サファイア侯爵家の子飼いの密偵が掴んだ情報です」
ふたりの話を聞いて、俺は腸が煮えくり返りそうだった。つまり、アクアマリン伯爵は今まで散々王家から養育費用として金を得ていたにもかかわらず、自身の無能さが招いた事態を罪もないルカを悪人に売り渡すことでどうにかするつもりでいる。その考え方が気に入らない。
「……なるほど、アクアマリン伯爵家、ジルコニア伯爵家、覚えたよ」
後ろで聞いていたシオン大公がすごく良い笑顔になる。俺はこの顔を知っている。こいつはブチ切れるとこういう顔になる。
「ルカさぇ救えれば好きにしてくれて構わないし、俺も基本的に両方焼きたい」
「ギルフェルが煉獄の魔王なのは理解しているけど、どうせならもっともっと苦しめた方がいいと私は思うよ」
(そうだった、忘れがちだがこいつは変態的な以外にも割とヤバイヤツだった)
(一応レイモンドを偵察に行かせているが……)
そんな時、ゲストハウスに客がやってきた。いや、客というか部下とその家族だった。
「辺境伯様、ルカルカの件、進展がありました」
「今回は、私もお手伝いします」
そのふたりを見つめる。本来なら俺ひとりでどうにかしたいところだが、下手に動くのは得策ではない。なんせ、ルカは自然に逃げて、偶然、今後ろでブツブツ言っているシオン大公に保護されなければならないのだから。
「ああ、サファイア侯爵令息、すまない」
そう答えると、レイモンドが何故かすごい顔をしている。
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すっかり忘れていたが、レイモンドもサファイア侯爵令息だ。その反応に微妙な顔をすると、伝わったようではぁと大きくため息をついた。
「なんだ、兄上のことっすね。まぁ、そうっすよね。辺境伯様が俺にそんなこと言った日にはこの世界が終わるかもしれないっす」
「……レイモンド、月夜ばかりと思うなよ」
「ひぃ、こわっ。まぁ元気そうでよかったっす。で、俺とベルっちがアクアマリン伯爵家について調べていたっすけど、まぁ現状はあまり良くないっすね。ルカルカの父親ってことになっている伯爵がとにかく商才も領地の運営もうまく出来ていないっすよね、息子で嫡男のアベーレはそこそこ優秀そうっすけど、次男のケビンは最悪っすね、悪い仲間とつるんでろくな事してないようっすよ。その中にジルコニア伯爵令嬢、ミリアやルビー侯爵令息も居たみたいで、今回の婚約も、資産のないアクアマリン伯爵家がお金のためにジルコニア伯爵令嬢と婚約を結んだってことみたいっす。ジルコニア伯爵側もルビー侯爵家がなくなって自身の娘の悪行もバレかけてやむ負えず特に問題のない、一応輝石の一族であるアクアマリン伯爵家の三男、フルー大公国に切れる切り札でもあるルカルカを婿にしたってことみたいっすね」
「ジルコニア伯爵家は裕福だが、ミリアはルビー侯爵令息と悪事を働いていたし、ジルコニア伯爵自身も表向きは鉱山の運営で大きな財を成しているようだけれど、実際は違うみたいだ。どうやら偽の宝石を裏市場で本物の宝石と偽り流しているようだ。これについては、サファイア侯爵家の子飼いの密偵が掴んだ情報です」
ふたりの話を聞いて、俺は腸が煮えくり返りそうだった。つまり、アクアマリン伯爵は今まで散々王家から養育費用として金を得ていたにもかかわらず、自身の無能さが招いた事態を罪もないルカを悪人に売り渡すことでどうにかするつもりでいる。その考え方が気に入らない。
「……なるほど、アクアマリン伯爵家、ジルコニア伯爵家、覚えたよ」
後ろで聞いていたシオン大公がすごく良い笑顔になる。俺はこの顔を知っている。こいつはブチ切れるとこういう顔になる。
「ルカさぇ救えれば好きにしてくれて構わないし、俺も基本的に両方焼きたい」
「ギルフェルが煉獄の魔王なのは理解しているけど、どうせならもっともっと苦しめた方がいいと私は思うよ」
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