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最終章:さようなら、れんごくの国と不幸令嬢

132.太陽の姫君と不幸令嬢

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「ルー!!」

自身の体の中に入り込んだ悪霊によってルーファスが連れ去られた時、レミリアの中に今まで湧いたことがなかったような激しい感情が沸き上がるのが分かった。

それは、激しい熱を持つ確かなもので、今までルーファスに対してレミリアが感じていたものよりずっと熱く情熱的な感じがした。

太陽はあたたかく、全ての生きるものに恵を与えるあたたかな存在であると同時に、全てを焼き尽くすほどの激しさも持ち合わせている。

月の狂気も、海の暴走も恐ろしいが、太陽の灼熱の情熱はそれらすべてを覆いつくすほどの熱源を持つものであり、さらに太陽の神は女神でありこの世界で最も強い力を持つものだった。

だから、『太陽の娘』はほとんど生まれてこなかったのだ、そう、太陽の女神の血と力はその娘にこそ真に宿るものだったのだから。

そして、レミリアの中で、力が目覚めたためかは分からないが、自身の前世であり同じ『太陽の娘』であったレミーナの魂が蘇りつつあった。

そう、レミリアもレミーナも同じことを今考えていた。

「ルーファスを救い、今度こそ約束を果たす」

重なり合った魂は、ルーファスを探し出すために、何の迷いもなく闇に飛び込んだのだった。

本来なら、そこは熟練の魔法使いですら尻込みするような暗い場所だったが、光を自ら放てる太陽の力がその中ですら光を灯し続けた。

「大丈夫よ、何が何でも私は私もルーも救うから。今度は死んだりなんてしないわ」

まるで、自身の中のレミーナの魂に話しかけるようにレミリアが囁く。レミリアには不思議をレミーナの記憶があの瞬間、激しい迸る情熱が生まれた瞬間から蘇っていた。

前世であればもちろん今とは別の人間であるけれど、レミリアとレミーナは今、『』という目標で一致していた。

暗い闇を進んでいく、どこまでも続くそれはまるで何百年もルーファスに執着し続けたあの男の執念にも似ていた。けれど、それも今度こそ終わらせて見せる。

力強い足取りで、進んでいくと、そこにたどり着いた。

まるで、レミーナが前世見た、アイビーの館の部屋に似たそこのベッドの上にルーファスは居た。

「ルー!!」

レミリアはルーファスに駆け寄る。しかし、すぐに異変に気付いた。まるで人形のようにルーファスの瞳は虚ろで何も映し出していないのだ。

「何があったの??ルー!!」

その体を抱きしめるが、とても冷たく感じられる。まるで死体のように。

「ははは、また邪魔をしに来たのか、レミーナ、いや、今はレミリアだったか?」

レミリアが振り返るとそこには、レミリアでははじめて見る男が立っていた。精悍で美しい顔立ちをした男らしく美しい男。少しクリストファーにも似た彼の瞳は既に完全に狂っているのが分かった。

そんな彼をレミリアはまっすぐ見つめた。そして……

「名前は関係ありません。私は私の愛する人を取り返しにきた、ただそれだけです」
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