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第六章:集う運命

125.海の王子と太陽の皇太子と海の皇太子と不幸令嬢

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「私は、先ほど母より力を受け継ぎました。カール殿下と同じ力を私も使えるようになりました」

太陽の一族が受けている月の姫からの祝福。その力をレミリアが使えるならば、そう考えたがクレメントはルーファスに話した懸念、つまり霊にルーファスの気配に気づかれることの問題について解決できないと考えた。

「こちらに太陽の力を送るにもルーファス殿下ないしヨミ殿の力を借りることになります。そうすると彼に居場所が居場所がバレてしまうでしょう……」

(いいえ、私はもうひとつ魔法が使えるようになりました。母から受け継いだのは太陽の皇室の力だけではなく、太陽の娘であり、祖母である豊穣の家の力、導きの力です)

クレメントは導きの力について、書物で知識を持っていた。

『サンソレイユ帝国のデメテール公爵家。代々女性が継ぐその一族は帝国の比翼の一旦であり、唯一皇族と同列で扱われる存在。それは太陽は生命を与えるが生命を育てることができない。しかし、導きの力はその生命を育む力を持つ。すなわち生命の力と導きの力が双方揃って豊穣の国をサンソレイユ帝国を成す』

「……導きの力とは生命を育む豊穣の力だと思うのですが……それが……」

(つまり『死』と真逆の力です。そしてこの力は太陽と共にあります)

そう言って、レミリアは何か力をこめた。その体は黄金の光を放つ。その瞬間、クレメントの横でなんとか怨霊に立ち向かおうとしていたカールにそれは宿る。

「そうか!!比翼の力。つまりふたつでひとつの力か」

導きの力は生命の力とひとつ。つまり使用することで自然と、太陽の力と共鳴する。結果、この場にいるカールに力が宿り、カールが力を執行できる。その場合、クレメントのように媒介ではないのでその根源を辿ることはできない。

「よくわからないが、これならあの怨霊を打ち滅ぼせそうだ」

カールが自身の力をこめた瞬間、黒い怨霊の闇がみるみる消えていき、ついに闇の一切が払われた。

「う……そだ」

そう驚いて目を見開いたクリストファーだったが、まるで糸が切れたようにその場に倒れてしまった。そして、駆け寄ったふたりにより、レミリアの体が無事に奪還された。

倒れたクリストファーはそのまま、一旦サンソレイユ帝国にて身柄が拘束された。

こうして、レミリアの肉体が戻り、後はその霊体とひとつにすることで全ては解決する。全てが終わろうとしている、はずだった……。
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