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第五章:真実の断片と

102.呪いの根源と不幸令嬢03

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「その、私は追い詰めたとは思わなのだけれど……」

レミリアが控え目に口を開いた。その言葉にヨミは思わず目を見開く。

「私がもし、オオゲツヒメと同じ立場なら、貴方に感謝すると思う。いくら好きな人だったとしても暴力で支配したりするような人なら絶対に怖くて仕方なくて嫌になるとおもうから」

ヨミの目にはレミリアと姉の姿が重なる。凛とした太陽の女神である姉の姿が。そうして「太陽の娘」とは何か、ずっと分からなかった何かの答えが見えた気がした。

まさに「太陽の娘」とはヨミとスサの姉であるアマテルの、化身とでもいうような輝きを放つ少女を指すのではないか??太陽と聞くと男性が浮かぶ。月と聞けば女性が浮かぶ。けれど、太陽は全てを育む存在でもあるし、月は夜道を照らし人々を導くものでもある。そこに性別はない。ただ先入観がそう見せているのかもしれないと。

そして、だとしたら、レミリアがアマテルのような太陽ならば、ヨミにはひとつ怖いことがあった。

(レミリア姫は最後にルーファスを裏切り、第2王子を愛してしまわないだろうか……)

ヨミの記憶の中、最後に自身を軽蔑し、決別したが、スサを許した姉の姿が浮かび上がる。なにひとつヨミは取りこぼすことを許されなかった。取りこぼしたら誰も自分を見てくれないといつも必死だった。特に両親と姉にもし嫌われたらと考えただけでいつも怖くて怖くて仕方がなかった。

(そして、結局、弟しか愛されなかった。私は姉から嫌われた。「お前のような卑劣な者の顔などみたくない」と言われた時は死にたいと思った)


姉が、好きだった。恋愛感情ではもちろんない。けれどその想いが、アマテルに伝わることは終ぞなかった。

「ありがとうございます。彼女が、オオゲツヒメが少しでも幸せだったなら、私は……」

「ヨミ、お前は僕の心配ばかりするけど、お前自身、すごく辛かっただろう」

悲し気な表情のルーファスに思わずヨミは微笑む。

「ええ。でも今は私は幸せですよ。願いは叶った。もう一度可愛いルーファスに出会えたから。後はこの子が幸せになれたらどんなに……」

レミリアと結ばれてくれたなら、ヨミはもう思い残すことはない。けれどそうするにもレミリアの体を取り戻さないといけない。

(全ては愛する我が子の幸福のために……)

「ヨミ。言っておくけれど、レミリアと結婚したその後も、必ず側にいてほしい」

ルーファスにそう言われた時、とても嬉しいとヨミは思えた。3人はおだやかな気持ちで向き合っていた。しかし、その時予期せぬ事態が発生した。
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