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第五章:真実の断片と
95.太陽の国と月の国と不幸令嬢03
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時の止まっているムーンティア王国で過ごしていると忘れかけるが、外では着実に時は進んでいる。そのため、緩やかに行われていた会合の場にその連絡は突然届いた。
「何かの連絡ですか??」
「ああ、先ほど話していた隠れ家の件だが……ギリギリで気づかれたようでレミリアの体と、クリストファー王子の捕縛に失敗した。しかし、計画に関与した我が国の妃と弟は保護されたそうだ。それだけでも少し前進したな」
「……なるほど。第2王子は中々しぶといようだ」
なんとか吐き出すように答えたルーファスは、冷や汗が止まらない。かの王子が彼のトラウマであるトリスとは一応別人だと認識している。けれど、その魂は同じ人間で、今回も逃げおおせたと思うと怖いと思ってしまう。
「ルー、少し休んだ方が良いと思うわ」
真っ青なルーファスに気遣うようにレミリアがハンカチで冷や汗を優しく拭う。
「レミリア……ありがとう。だいじょうぶ、なんとか……」
「殿下、この国は時間が動かない。だから時が貴方をあの痛みから解放してはくれません。どうかご自愛を」
いつになく心配そうにしているヨミに、レミリアは何かが引っかかった。ルーファスはクリストファーの話を聞くとよくこうやって青ざめている。
(どうしてだろう、ふたりに面識は多分ないはずだけど……)
「ああ、ルーファス殿下、無理は禁物だ。それにもしクリストファー王子に思うところがあったり、ルーファス殿下にとって良くないことがあるなら、なんとかこちらでも手助けができれば良いのだが」
あたたかい言葉。しかし、ルーファスは青ざめたまま口もきけなかった。ルーファスにとって前世がある彼等と、今が地続きであるルーファスでは感覚が異なる。それを説明できるかルーファスは躊躇していた。
「……ルーファス殿下にとって、クリストファー王子の魂、正確には前世に因縁があります。そのせいでルーファス殿下はずっと長い間苦しんでおります」
「そうか、こちらで何かできることは……」
「なるべくなら殿下とクリストファー王子の接触を避けて頂きたく」
「承知した」
カールは朗らかに答えた。人のために当たり前に優しくする。太陽のような男、その心に救われながらルーファスの心には重い暗闇が湧きかけていた。
(僕にはできない。どうして比べてしまうのだろう……)
ことあるごとに、カールと自身を比べる卑屈な自身にルーファス嫌気が差す。男らしさのかけらもない。それでもレミリアを、レミリアだけがルーファスの希望だ。
「お心遣い頂き、感謝いたします」
恭しく答えながら、必死に頭に浮かぶ可能性を必死にかなぐり捨てようと思った。
「何かの連絡ですか??」
「ああ、先ほど話していた隠れ家の件だが……ギリギリで気づかれたようでレミリアの体と、クリストファー王子の捕縛に失敗した。しかし、計画に関与した我が国の妃と弟は保護されたそうだ。それだけでも少し前進したな」
「……なるほど。第2王子は中々しぶといようだ」
なんとか吐き出すように答えたルーファスは、冷や汗が止まらない。かの王子が彼のトラウマであるトリスとは一応別人だと認識している。けれど、その魂は同じ人間で、今回も逃げおおせたと思うと怖いと思ってしまう。
「ルー、少し休んだ方が良いと思うわ」
真っ青なルーファスに気遣うようにレミリアがハンカチで冷や汗を優しく拭う。
「レミリア……ありがとう。だいじょうぶ、なんとか……」
「殿下、この国は時間が動かない。だから時が貴方をあの痛みから解放してはくれません。どうかご自愛を」
いつになく心配そうにしているヨミに、レミリアは何かが引っかかった。ルーファスはクリストファーの話を聞くとよくこうやって青ざめている。
(どうしてだろう、ふたりに面識は多分ないはずだけど……)
「ああ、ルーファス殿下、無理は禁物だ。それにもしクリストファー王子に思うところがあったり、ルーファス殿下にとって良くないことがあるなら、なんとかこちらでも手助けができれば良いのだが」
あたたかい言葉。しかし、ルーファスは青ざめたまま口もきけなかった。ルーファスにとって前世がある彼等と、今が地続きであるルーファスでは感覚が異なる。それを説明できるかルーファスは躊躇していた。
「……ルーファス殿下にとって、クリストファー王子の魂、正確には前世に因縁があります。そのせいでルーファス殿下はずっと長い間苦しんでおります」
「そうか、こちらで何かできることは……」
「なるべくなら殿下とクリストファー王子の接触を避けて頂きたく」
「承知した」
カールは朗らかに答えた。人のために当たり前に優しくする。太陽のような男、その心に救われながらルーファスの心には重い暗闇が湧きかけていた。
(僕にはできない。どうして比べてしまうのだろう……)
ことあるごとに、カールと自身を比べる卑屈な自身にルーファス嫌気が差す。男らしさのかけらもない。それでもレミリアを、レミリアだけがルーファスの希望だ。
「お心遣い頂き、感謝いたします」
恭しく答えながら、必死に頭に浮かぶ可能性を必死にかなぐり捨てようと思った。
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