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第四章:太陽の国と皇太子
62.海の国の焦りと不幸令嬢
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「これは一体どういうことだ!?」
アトラス王国の王城にて大きな怒声が上がる。それはこの城の主でありアトラス王国の国王の叫びだった。
「その、サンソレイユ帝国より承りました親書でございますが……」
「それは分かっている。まず、レミリア公爵令嬢について病気療養先より何者かに連れ去られた。これについて同時に我がアトラス王国の元王族がかかわっていると思われるという内容。これについては現行こちら側では知らぬと言えば良いかもしれない。ただ、秘密裡に調査を行う必要があるだろう。問題はもうひとつだ……」
苦虫を嚙み潰したようような表情の国王が大きくため息をつく。
「何故、我が国の兵士がムーンティア王国を一方的に攻撃している」
「そ、それは、クリストファー殿下の指示がありまして近衛部隊が……」
「ふざけるな!!あのバカ者が。ムーンティア王国と確かにもう数百年外交はしていない。しかしだからと言ってなんの非もないだろうかの国へ勝手に攻撃を行うなど愚の骨頂だ。それに何より、ムーンティア王国と同盟を結んでいるというサンソレイユ帝国からそれについて遺憾であると親書にて通達がされてしまった」
それはとても厄介だった。アトラス王国とムーンティア王国は国交断絶しているが、サンソレイユ帝国は両国とのパイプがあったのだろう。
その上で、両国と同盟関係にあるかの国は、もちろん片方が同盟国を脅かした場合はただで済ますつもりはないと告げるだろう。そして、場合によっては援軍を送るとも言いかねない。
これが、双方に問題があっての戦争ならばサンソレイユ帝国とて仲裁はするが静観すると思うが、今回はアトラス王国が一方的に何もしてこないムーンティア王国を攻撃しているという状況だ。
(クリストファー、なんてことをしてくれた)
「そういえば、クリストファーはどこに行った。この件についても確認しなければいけない」
「その、クリストファー殿下は……」
言いよどむ家臣に、国王は最悪の想定を思浮かべた。
「まさか……」
「そのまさかです。国王陛下」
そう言って、その場にひとりの男が現れた。とても疲れたように見えるがその瞳に狂気を宿した男、バーミリオン公爵だった。
「どういうことだ!?」
「私も、サンソレイユ帝国の王太子より頂きました、娘の病状を親切にお伝えくださった手紙にて知りましたが、どうやらクリストファー殿下が娘に合わせろとかの王族に無礼を働いているようでその苦情も書かれておりました」
その言葉に国王は嘘だと叫びたくなった。確かに息子をクリストファーはかの国へ行かせないようにしていたはずだ、それなのに今の状況になった理由が全く思い当たらなかった。
アトラス王国の王城にて大きな怒声が上がる。それはこの城の主でありアトラス王国の国王の叫びだった。
「その、サンソレイユ帝国より承りました親書でございますが……」
「それは分かっている。まず、レミリア公爵令嬢について病気療養先より何者かに連れ去られた。これについて同時に我がアトラス王国の元王族がかかわっていると思われるという内容。これについては現行こちら側では知らぬと言えば良いかもしれない。ただ、秘密裡に調査を行う必要があるだろう。問題はもうひとつだ……」
苦虫を嚙み潰したようような表情の国王が大きくため息をつく。
「何故、我が国の兵士がムーンティア王国を一方的に攻撃している」
「そ、それは、クリストファー殿下の指示がありまして近衛部隊が……」
「ふざけるな!!あのバカ者が。ムーンティア王国と確かにもう数百年外交はしていない。しかしだからと言ってなんの非もないだろうかの国へ勝手に攻撃を行うなど愚の骨頂だ。それに何より、ムーンティア王国と同盟を結んでいるというサンソレイユ帝国からそれについて遺憾であると親書にて通達がされてしまった」
それはとても厄介だった。アトラス王国とムーンティア王国は国交断絶しているが、サンソレイユ帝国は両国とのパイプがあったのだろう。
その上で、両国と同盟関係にあるかの国は、もちろん片方が同盟国を脅かした場合はただで済ますつもりはないと告げるだろう。そして、場合によっては援軍を送るとも言いかねない。
これが、双方に問題があっての戦争ならばサンソレイユ帝国とて仲裁はするが静観すると思うが、今回はアトラス王国が一方的に何もしてこないムーンティア王国を攻撃しているという状況だ。
(クリストファー、なんてことをしてくれた)
「そういえば、クリストファーはどこに行った。この件についても確認しなければいけない」
「その、クリストファー殿下は……」
言いよどむ家臣に、国王は最悪の想定を思浮かべた。
「まさか……」
「そのまさかです。国王陛下」
そう言って、その場にひとりの男が現れた。とても疲れたように見えるがその瞳に狂気を宿した男、バーミリオン公爵だった。
「どういうことだ!?」
「私も、サンソレイユ帝国の王太子より頂きました、娘の病状を親切にお伝えくださった手紙にて知りましたが、どうやらクリストファー殿下が娘に合わせろとかの王族に無礼を働いているようでその苦情も書かれておりました」
その言葉に国王は嘘だと叫びたくなった。確かに息子をクリストファーはかの国へ行かせないようにしていたはずだ、それなのに今の状況になった理由が全く思い当たらなかった。
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