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第四章:太陽の国と皇太子

58.太陽の国と月の国と不幸令嬢03

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「分かっております。私達ムーンティア王国としても輿入れ頂くことを考えてレミリア姫様のご意思は尊重させて頂きます。そのために一度こちらの都合で申し訳ございませんが、レミリア姫様のお体と一緒にムーンティア王国へいらして頂けませんでしょうか」

感情の読めない側近の男はそう続けた。昏い紫色の瞳は何か仄暗さをカールには感じさせた。その底知れない闇に対してあまり深入りはしない方が良いとは思うがレミリアを守るために怯むわけにはいかなかった。

「それは、レミリアを元に戻すためという認識で問題ないだろうか」

「はい、このままでは永遠に体と精神が分離したままとなってしまいますので……」

「それは逆に精神をこちらへ連れてきて頂き、体に戻すのでは同じ結果にならないのか?」

「……精神はこの世界ではとても希薄です。そのため危険を伴います」

「危険?」

「……最悪消滅する可能性もあります。しかし体が消滅することはありませんので……」

一応は理にかなっているように思えたが、完全に信頼するには足らないようにカールには思えていた。レミリアの生死にかかわる以上は全ては慎重に行う必要がある。

「確かに、理にかなっていると私も考える。しかし、我々にとって専門分野ではないためそれが最良であるという判断が難しい」

「そうですか、なれば……レミリア姫様と話をいたしますか?」

「可能なのか?」

「はい、あくまで外に出ないでも通信の形でお話しすることは可能でございます。そのために通信石が必要となりますがので、一度こちら取りに戻る必要がございます」

「なるほど。では、一度レミリアを話してからこちらについては判断したい」

「承知いたしました」

(一応の話合いの決着がついた。後は実際にレミリアと会話をして、今後について再度熟考するのが良いだろう)

カールはムーンティア王国のふたりを見てそんなことを考えていた。

一旦、ふたりを送るための馬車を準備するために、何気なく談笑をすることになった。

ムーンティア王国のふたりは魔法で帰れるとのことだったが、客人をもてなさないのはサンソレイユの威信にも関わると一旦引き留めている状態でもあった。

馬車を準備している最中、ルーファスがカールをじっと見つめているのが分かった。

「ルーファス殿下、私の顔に何かついていますかな?」

「いいえ。ただ……」

そこで少し言い淀んだルーファスだったが、しばらくしてから覚悟をしたように続けた。

「カール殿下は生まれ変わりを信じていらっしゃいますか?僕にはそれが魂でわかります。カール殿下の魂を見て確信いたしました。貴方は、あの時、レミリア様の前世であるレミーナ姫様の父君、その当時の太陽の国、いえ、サンソレイユの皇帝陛下と同じ魂を持っていらっしゃると」
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