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第三章:恋獄の国と悲しいおとぎ話
48.前世の物語と不幸令嬢(ルーファス視点)20
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剣に貫かれたレミーナに必死に僕は回復の魔法をかける。回復の魔法は状態を戻す魔法なんので反動がかなりかかるがそんなこと関係ない。レミーナが死んでしまったら、僕は生きていけない。
しかし、レミーナは胸を貫かれてしまったので今の魔力不足の状態では思うように傷がふさがらない。
「ああ、駄目だ、君が死ぬなんて、僕は、僕は……」
真っ赤な血液が流れて、レミーナの体温が奪われていく。頭が完全に混乱している。
「ルーファス様……愛しております」
レミーナ体がガクリとなり、完全に意識が失われた。
「レミーナ、今、治すから」
涙が視界を覆う中で、必死にレミーナに魔力をありったけこめた。例え僕が死んだり長く眠ることになってもかまわない。レミーナを失うことより僕に怖いことなどなかった。
「ルー、そんな女ほっといてこっちへおいで。来ないと……」
トリスの声がした、けれどそれどころではない。ここで治療を止めたらレミーナの命がない。だから例え僕が刺されても止めたりできない。
いつの間にか振り上げられた剣が僕の傷ついていない方の足を貫く。
「っあああ」
歯を食いしばる。集中が切れたら激痛に耐えながら魔法をかけつづける。
「綺麗な足から血が出てしまったね。さっき銃でも撃たれたから君は元々歩けない状態だけど、完全に歩けなくなったね。大丈夫、俺がどこへでも連れて行くよ」
焦点の合わない目でトリスは血まみれの剣を振りかざして笑う。夕暮れの真っ赤に染まった空のような血の色。
まるで悪夢みたいだとそう思った。
そうこうしているうちにレミーナの体から血液が失われていく。回復が間に合っていない。
「だから、ルー、もう塔へ帰ろうね」
そう言って、無理やり僕を連れて行こうとトリスがしたその瞬間。
「少し眠ってもらう」
と聞きなれた声とともにトリスがその場に崩れ落ちた。多分これは眠りの魔法だ。そしてヨミが得意な魔法でもある。
「殿下、レミーナ姫様……」
「ヨミ、回復が間に合わない。お願いだ手伝ってくれ」
「……殿下、冷静になってください。もうレミーナ姫様は助かりません」
その言葉に首を振る。そんなわけない。絶対に絶対に彼女は助かる。
「違う、助かる、絶対に……」
「だめです、殿下、これ以上その体で魔法を使えば、貴方もレミーナ姫様も死にます」
「だからヨミが手伝ってくれれば……」
「私は回復魔法だけはつかえません。使えればとうの昔に貴方の足を歩けるようにしています」
血を吐くようにそう言われて、目の前が暗くなる。ならなおさらレミーナを治療を止めるわけにはいかない。しかし、次の瞬間頭の中に靄がかかる様に意識が遠くなる。
「これは?」
「貴方を失う訳にはいかない。貴方は月の国の大切な跡取りでそして……僕の大切な大切な息子なのだから」
薄れゆく意識の中で、ヨミが奇妙なことを言った気がする。しかしそれより僕はレミーナの体を強くただ抱きしめた。
しかし、レミーナは胸を貫かれてしまったので今の魔力不足の状態では思うように傷がふさがらない。
「ああ、駄目だ、君が死ぬなんて、僕は、僕は……」
真っ赤な血液が流れて、レミーナの体温が奪われていく。頭が完全に混乱している。
「ルーファス様……愛しております」
レミーナ体がガクリとなり、完全に意識が失われた。
「レミーナ、今、治すから」
涙が視界を覆う中で、必死にレミーナに魔力をありったけこめた。例え僕が死んだり長く眠ることになってもかまわない。レミーナを失うことより僕に怖いことなどなかった。
「ルー、そんな女ほっといてこっちへおいで。来ないと……」
トリスの声がした、けれどそれどころではない。ここで治療を止めたらレミーナの命がない。だから例え僕が刺されても止めたりできない。
いつの間にか振り上げられた剣が僕の傷ついていない方の足を貫く。
「っあああ」
歯を食いしばる。集中が切れたら激痛に耐えながら魔法をかけつづける。
「綺麗な足から血が出てしまったね。さっき銃でも撃たれたから君は元々歩けない状態だけど、完全に歩けなくなったね。大丈夫、俺がどこへでも連れて行くよ」
焦点の合わない目でトリスは血まみれの剣を振りかざして笑う。夕暮れの真っ赤に染まった空のような血の色。
まるで悪夢みたいだとそう思った。
そうこうしているうちにレミーナの体から血液が失われていく。回復が間に合っていない。
「だから、ルー、もう塔へ帰ろうね」
そう言って、無理やり僕を連れて行こうとトリスがしたその瞬間。
「少し眠ってもらう」
と聞きなれた声とともにトリスがその場に崩れ落ちた。多分これは眠りの魔法だ。そしてヨミが得意な魔法でもある。
「殿下、レミーナ姫様……」
「ヨミ、回復が間に合わない。お願いだ手伝ってくれ」
「……殿下、冷静になってください。もうレミーナ姫様は助かりません」
その言葉に首を振る。そんなわけない。絶対に絶対に彼女は助かる。
「違う、助かる、絶対に……」
「だめです、殿下、これ以上その体で魔法を使えば、貴方もレミーナ姫様も死にます」
「だからヨミが手伝ってくれれば……」
「私は回復魔法だけはつかえません。使えればとうの昔に貴方の足を歩けるようにしています」
血を吐くようにそう言われて、目の前が暗くなる。ならなおさらレミーナを治療を止めるわけにはいかない。しかし、次の瞬間頭の中に靄がかかる様に意識が遠くなる。
「これは?」
「貴方を失う訳にはいかない。貴方は月の国の大切な跡取りでそして……僕の大切な大切な息子なのだから」
薄れゆく意識の中で、ヨミが奇妙なことを言った気がする。しかしそれより僕はレミーナの体を強くただ抱きしめた。
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