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06.アルフレッドの策略
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だれがぼくしに なるのかね?
わたし とからすがいいました
せいしょをもってる
わたしがなろう
◇アルフレッド視点◇
「まさか、殺してしまうことになるとは……なんでよりによってマリアを……」
僕はひとり部屋で泣きながら震えていた。元々はマリアからの提案だった。ビクトリアに狙われって怪我をしてしまう。それをヘンリーに伝えて殺人未遂でビクトリアを王子妃候補から外させるというもの。
僕はそれには賛成だった。下賤の血を引いているビクトリアなどは僕の親友であるアルフレッドの婚約者にふさわしくない。確かにグロスター公爵家はウィンチェスター侯爵家より高位にいる貴族ではあるがその兄であるエドワードとは違いあの女は下位貴族の母親から生まれた。それも叔母様の話ではとても暗愚な女だったと聞いている。
(顔だけで公爵家に取り入った淫らで穢れた女の娘に親友は渡さない)
だから、下働きの女を貶めてグロスター公爵家から魔法式のボウガンを盗むことに成功した。これを使ってマリアを襲うことでビクトリアをあの下賤の女を嵌める算段だった。だから死ぬような危険を犯さないためにボウガンは魔法のボウガンで通常のボウガンと違い殺傷能力は低いものを選んだ。暗愚な女であるビクトリアがそれを知らなかったということにすればいいし、万が一当たった場合も昏倒する程度で済むはずだった。
しかし、何故かマリアの胸をボウガンの弓は貫いて彼女は絶命した。
あまりのことにボウガンでマリアを射るように依頼した男を攻めようとしたが、いつの間にか男は消えていた。多分自身の失敗を察して逃げたのだろう。
僕は男を捕まえることとボウガンを処理する必要が出てきた。しかしボウガンはよく考えればグロスター公爵家のものだ見つかったならそこからかの家を責めればいい。むしろ放置することで罠に嵌めようと考えた。
そして、甘い言葉を囁いたことにより身の程知らずにも僕に恋心を抱いたメイドは何故か最近怯えた様子で遠巻きにしているのが分かった。
(気づかれたか、なら生かしてはおけない)
そこで、僕は普段彼女が家から通っていることを利用して、通り魔にあった様子を装い彼女を兵士に殺させようと画策した。決行当日信じられない事態が起こった。
女を監視させていた人物から連絡が来る。それは女が僕を裏切り、よりにもよって、グロスター公爵家のエドワードの元に逃げたという情報だった。
けれどそれは別に急ぐような事態ではないと最初は考えた。所詮は保護しても下働きのものだ。どうせ警備の薄いところにいるはずだから一層のこと殺してより陥れればいい。
最初はそう考えた。しかし、エドワードを僕は甘く見すぎていた。
隙のないその様子からビクターからは魔王と呼ばれていた。まさにあの男は魔王だった。かの女は警備の固いしかもグロスターの騎士により護衛されているとの情報を得る。
グロスター家の騎士は辺境伯らしく王国最強とうたわれる実力者の集まりで安易に近づくこともできない。なんとか密偵を送ろうとしたが念入りに身元を調べられるのでそもそも計画がとん挫する可能性が高かった。
(何かより作戦はないか……いや、そもそもビクトリアに全ての罪を着せてメイドの表現は虚偽であるとする方がいいのではないか)
その案が浮かんだ時、思わずほくそ笑んだ。
「邪魔な下賤の女はみんな殺してしまおう。それだけがマリアへの罪滅ぼしになるはずだ……」
ひとり殺した時点で僕は狂ってしまったのかもしれない。もう何人殺すのも怖くはないとその時思ってしまったこと、人の道を外してしまったことは今でも後悔しているが最早後の祭りに過ぎない。
わたし とからすがいいました
せいしょをもってる
わたしがなろう
◇アルフレッド視点◇
「まさか、殺してしまうことになるとは……なんでよりによってマリアを……」
僕はひとり部屋で泣きながら震えていた。元々はマリアからの提案だった。ビクトリアに狙われって怪我をしてしまう。それをヘンリーに伝えて殺人未遂でビクトリアを王子妃候補から外させるというもの。
僕はそれには賛成だった。下賤の血を引いているビクトリアなどは僕の親友であるアルフレッドの婚約者にふさわしくない。確かにグロスター公爵家はウィンチェスター侯爵家より高位にいる貴族ではあるがその兄であるエドワードとは違いあの女は下位貴族の母親から生まれた。それも叔母様の話ではとても暗愚な女だったと聞いている。
(顔だけで公爵家に取り入った淫らで穢れた女の娘に親友は渡さない)
だから、下働きの女を貶めてグロスター公爵家から魔法式のボウガンを盗むことに成功した。これを使ってマリアを襲うことでビクトリアをあの下賤の女を嵌める算段だった。だから死ぬような危険を犯さないためにボウガンは魔法のボウガンで通常のボウガンと違い殺傷能力は低いものを選んだ。暗愚な女であるビクトリアがそれを知らなかったということにすればいいし、万が一当たった場合も昏倒する程度で済むはずだった。
しかし、何故かマリアの胸をボウガンの弓は貫いて彼女は絶命した。
あまりのことにボウガンでマリアを射るように依頼した男を攻めようとしたが、いつの間にか男は消えていた。多分自身の失敗を察して逃げたのだろう。
僕は男を捕まえることとボウガンを処理する必要が出てきた。しかしボウガンはよく考えればグロスター公爵家のものだ見つかったならそこからかの家を責めればいい。むしろ放置することで罠に嵌めようと考えた。
そして、甘い言葉を囁いたことにより身の程知らずにも僕に恋心を抱いたメイドは何故か最近怯えた様子で遠巻きにしているのが分かった。
(気づかれたか、なら生かしてはおけない)
そこで、僕は普段彼女が家から通っていることを利用して、通り魔にあった様子を装い彼女を兵士に殺させようと画策した。決行当日信じられない事態が起こった。
女を監視させていた人物から連絡が来る。それは女が僕を裏切り、よりにもよって、グロスター公爵家のエドワードの元に逃げたという情報だった。
けれどそれは別に急ぐような事態ではないと最初は考えた。所詮は保護しても下働きのものだ。どうせ警備の薄いところにいるはずだから一層のこと殺してより陥れればいい。
最初はそう考えた。しかし、エドワードを僕は甘く見すぎていた。
隙のないその様子からビクターからは魔王と呼ばれていた。まさにあの男は魔王だった。かの女は警備の固いしかもグロスターの騎士により護衛されているとの情報を得る。
グロスター家の騎士は辺境伯らしく王国最強とうたわれる実力者の集まりで安易に近づくこともできない。なんとか密偵を送ろうとしたが念入りに身元を調べられるのでそもそも計画がとん挫する可能性が高かった。
(何かより作戦はないか……いや、そもそもビクトリアに全ての罪を着せてメイドの表現は虚偽であるとする方がいいのではないか)
その案が浮かんだ時、思わずほくそ笑んだ。
「邪魔な下賤の女はみんな殺してしまおう。それだけがマリアへの罪滅ぼしになるはずだ……」
ひとり殺した時点で僕は狂ってしまったのかもしれない。もう何人殺すのも怖くはないとその時思ってしまったこと、人の道を外してしまったことは今でも後悔しているが最早後の祭りに過ぎない。
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