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42:監禁されかけてあせる天使(笑)

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少し、近親愛かつBLっぽい表現があります、苦手な方はご注意を

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「なるほど、つまり『予言の書』の原本を見ることができればルキヤンを救う手立てとなる可能性が高いようだね」

そう言って、マクシム様は納得したようにうなずいた。ここまで話を聞きながら私はひとつ大きな疑問があった。

「でも、どうしてあの予言からルキヤンが忌子認定されてしまったのかしら……、それにその話を陛下が信じるなんて……」

番である正妃を愛しているはずの陛下。それなのに、何故自身と正妃との間に生まれたルキヤンを忌子にしたのだろうと。

「それはね……」

「陛下は、あくまで番だから正妃を愛しているということにしているだけだ。そして、ルキヤンが忌子だから閉じこめている。あの人は伝承に逆らえないのだよ」

マクシム様の瞳は、まるで軽蔑するように冷たい色をしていた。

私は陛下をよく知らない。ただ、私にとって私に冤罪を着せたヤンデル殿下の父親であり、最終的な処刑を主導した人だと思うと反吐しかでない。

「伝承ってそこまで大切なことなのでしょうか??」

疑問を口にする。

正直な話、古からの話はきっと誇張も多いだろうし、特に我が国が竜神の血を引いているというのも私たちみたいに神様を見ていなければ信じられないだろう。

今となっては竜神の血を引いている証も、皇族でも、番が分かるとかその程度なのだから。

「……この国はね、今割れているんだよ。竜神の血を引く皇族に従う派と、皇族を排除して国を作り直したいと考えている派でね。後者は表立っては活動できていないが、このままの状況が続けば、僕もそちら側に行くだろう。そうならないために、求められるのが皇族の正当性だ。つまり偉大なる竜王の末裔か否かというね……」

「陛下はその正当性を不動にするべく、正妃様は番だから愛して、ルキヤンは『予言の書』に記載された忌子として処理したと……」

なんて冷たくひどい話だろう。

「……陛下にとっては、金色か銀色の髪に青い瞳の子供こそが跡を継ぐべきだと思っているんだよ。でも、そんなの何の意味もないし、むしろ黒髪に赤い瞳のルキヤンの方がずっと優れた皇子かもしれないのにね。そうなった原因は側妃にあるけれど……、その前にもうひとつお伝えしたいことがあります」

いいところで、リアムが話しを切ってしまった。恨めし気にリアムを睨むがすごく幸せそうにされて逆にどうでも良くなった。

「ここを訪れたもうひとつの理由、側妃の弱みです。彼女は正妃様に子供が流れやすくなるお茶を、自身の息のかかった侍女を動かして飲ませているので、即刻辞めさせるべきかと」

「なんだって……」

その言葉を聞いた、マクシム様が、何故かすごく悲し気にリアムをまた抱きしめました。二度目だからかなんかリアムも慣れたみたいで笑顔(ただしキラキラが失われている)を浮かべています。

「そうか、あの女がリアムを天使にしてしまったのか。やはりキレイキレイしないとだ」

「あ、えっとおじたん落ち着いてください。あの、えっとですね確かにその僕が死ぬ原因になって……」

「大丈夫だよ、リアムは心配しないでいい。ルキヤンもリアムも僕の大事な甥っ子だ。両方ちゃんと助けるからね」

すごく良い笑顔なのだけれど、なんだかとても怖いし、もっというと先ほどからマクシム様の腕の中で、キラキラがとれて、笑顔も取れかけて死んだ魚みたいな目をし始めているリアムが見えている。

(まさか、憧れていたマクシム様が、こんなオイコン??だなんて……)

甥コンプレックスとは割と斬新だなと思いつつ、リアムが珍しく死んでいる。

「あの、その、おじたん。でも血を見るような解決方法はだめですよ??あ、えっとちゃんとクーデターとかでなく法に則るならいいですが」

「リアムは優しい子だね。君をこんな風に……」

言葉を紡ごうとして、マクシム様がついに泣いてしまった。相当、リアムが涙腺に来るらしい。

「ああ、えっと泣き止んでください。えっと。ほら、痛いの痛いの飛んでいけーっ」

「すまない。なんにせよふたりの天使からの伝言は受け取ったよ」

とてもさわやかな笑顔だった。あるオプションがついていなければ私の胸が高鳴っただろうけれど、残念なことにずっと小脇にリアムが抱えられたままなので全くなにも入ってこない。

「あの、そろそろ帰ろうかと……」

「少し聞きたいのだけれど、リアム、君はこのまま天界から下りて僕の元で幸せに暮らさないかい??しばらくは隠す必要があるから監禁することに……」

「お断りします!!」

そう叫んで珍しく慌てているリアム。しかし、英雄が強過ぎて腕から出れないらしい。

(さようなら、リアム)

ひとりで帰ろうとした矢先に、マクシム様の時もリアムは止めた。

「マイ・クイーン、目的は果たした、早く帰ろう、急いで帰ろう」

「……チッ」

思わず舌打ちが出た。もっとリアムが困る姿が見たかったなんてそんなことはあるが……。

「ええ、な、なにまさかマイ・クイーンはビーで」

「違うわ、貴方が珍しい顔してて面白かっただけよ」

「さすが、マイ・クイーン。なるほど。これもある種のプレ……」

「帰らないと、マクシム様に監禁されるかもしれないわよ」

その言葉に、リアムが急にバイブレーションしているみたいに震え出した。

「さっさと帰ろう!!」
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