13 / 41
12.波乱のお茶会が終わりましたが色々大変です
しおりを挟む
ミゲルが立ち去った後は、イヴァン殿下とジョバンニともエンカウントしないで幸せに過ごしていました。
ひとつ気になったのは、ミゲルが立ち去った後から妙にヴァンさんが僕にそれはもうぴったり文字通りはり付いていたことです。
「ほら、お米だよ」
「あ、ありがとうございます」
色々探して見つからなかったそれをあっさり盛ってきてくれたヴァンさん。なんか甲斐甲斐しい姿はお母さんみがありますね。さらに、
「このカレー??と一緒に食べても美味しいらしいぞ。後は、この茶色いスープ……」
「味噌汁!?えっ、神ですか??ご飯の永遠の相方です!!なんていいますか、竜人とかなら番同士と言っても過言ではない存在です」
味噌汁の登場に興奮が隠せません。そういえば首コロリ10回繰り返してますが、お米はもちろん味噌汁にも出会えてませんでした。
今まではイヴァン殿下の婚約者になるために、立食できていなかったのです。
しかし、今回は転生してからずっと食べたかった彼らに再会しました。
あまりの嬉しさに、心の太陽神も「お米食べろ!!」と歓喜の声をあげています。
「そんなに好きなんだな」
「はい、大好きです」
何故か頬を赤らめるヴァンさん。味噌汁から上がる湯気にあてられたのかもしれません。
なんにせよ、今回、推し活に費やすと決めたそれだけで、僕は長年求めてやまなかったお米と味噌汁と再会を果たせました。
その後は、その懐かしい味わいに舌鼓を打って、ヴァンさんに「シマリスみたいに頬袋にためるな。誰もとらないから」と言われながらもそれを満喫しました。
(また、食べたいな……)
あまりにも、ご飯と味噌との再会が嬉しすぎて僕は忘れてしまったのです。
ミゲルが今晩なんか忠誠の証を持ってくると宣言していたことを……。
お茶会が終わり、家に着いた頃には夕刻を回っていました。この世界は魔法とかありますが、基本的には中世ヨーロッパみのある世界のためそのくらいの時間になると暗いです。
現代日本人だった記憶のある僕には暗くてなんか怖い感じではあります。夜でもこれでもかと明るく照らされた道が、歓楽街が懐かしいです。
しかし、確か日本にも誰彼とか逢魔時とかの言葉は残ってましたし、それを体感しています。
そんなことを考えながら薄暗い館をトイレに向かい歩いていた時でした。
「今夜とか言ってたが、よく考えたら死ぬほど失礼なヤツだな」
「うわぁああああ!?ヴァンさん??」
いきなり暗がりがヌメッと出てきた人影にチビりそうになりました。限界まで我慢をしていなかったから惨事を免れましたが、もし僕の膀胱が破裂しかけた状態なら僕は完全にイッてました、水たまり製造機になってました。つまり、ギルティです。
「いきなりヌメッと出ないでください。僕を水たまり製造機にする気ですか??」
「水たまり製造機とはなんだ??まぁ、それは良いとしてお前例の子爵令息についてどう思う??」
「へっ??子爵令息??」
心底不思議そうな顔をした僕に、ヴァンさんがめちゃくちゃクソでかいため息をつきました。
「ほら、お茶会の最後に声をかけてきたジョバンニの取り巻きだよ」
そう言われて思い出しました。
「あ、マゾル、ちがうハンドル子爵家のミゲル様ですね」
「サドルな。お前に忠誠の証を持ってくるとかほざいていただろう??」
すごい笑顔なのになんか怖いヴァンさんの顔が、暗闇エフェクトも加わり完全に魔王でセカンドチビりそうになりました。
「はい、でもお友達が増えるのは嬉しいことで……」
シャカシャカ
「えっ??物音??」
薄暗い館に何かを引っ掻くような音が響いているのです。
「風ではなさそうだな。今日はほぼ無風だし……」
シャカシャカ
めちゃくちゃ怖いです。いきなりホラー展開はよくありません、しかし、だからといってあまり人のいないこの館では、ほっといて盗人が侵入したら不味いです。
「……いってみましょう」
だから、その元を確認しないといけません。
震える足を必死に進めて、音の出所へ向かいました。
ひとつ気になったのは、ミゲルが立ち去った後から妙にヴァンさんが僕にそれはもうぴったり文字通りはり付いていたことです。
「ほら、お米だよ」
「あ、ありがとうございます」
色々探して見つからなかったそれをあっさり盛ってきてくれたヴァンさん。なんか甲斐甲斐しい姿はお母さんみがありますね。さらに、
「このカレー??と一緒に食べても美味しいらしいぞ。後は、この茶色いスープ……」
「味噌汁!?えっ、神ですか??ご飯の永遠の相方です!!なんていいますか、竜人とかなら番同士と言っても過言ではない存在です」
味噌汁の登場に興奮が隠せません。そういえば首コロリ10回繰り返してますが、お米はもちろん味噌汁にも出会えてませんでした。
今まではイヴァン殿下の婚約者になるために、立食できていなかったのです。
しかし、今回は転生してからずっと食べたかった彼らに再会しました。
あまりの嬉しさに、心の太陽神も「お米食べろ!!」と歓喜の声をあげています。
「そんなに好きなんだな」
「はい、大好きです」
何故か頬を赤らめるヴァンさん。味噌汁から上がる湯気にあてられたのかもしれません。
なんにせよ、今回、推し活に費やすと決めたそれだけで、僕は長年求めてやまなかったお米と味噌汁と再会を果たせました。
その後は、その懐かしい味わいに舌鼓を打って、ヴァンさんに「シマリスみたいに頬袋にためるな。誰もとらないから」と言われながらもそれを満喫しました。
(また、食べたいな……)
あまりにも、ご飯と味噌との再会が嬉しすぎて僕は忘れてしまったのです。
ミゲルが今晩なんか忠誠の証を持ってくると宣言していたことを……。
お茶会が終わり、家に着いた頃には夕刻を回っていました。この世界は魔法とかありますが、基本的には中世ヨーロッパみのある世界のためそのくらいの時間になると暗いです。
現代日本人だった記憶のある僕には暗くてなんか怖い感じではあります。夜でもこれでもかと明るく照らされた道が、歓楽街が懐かしいです。
しかし、確か日本にも誰彼とか逢魔時とかの言葉は残ってましたし、それを体感しています。
そんなことを考えながら薄暗い館をトイレに向かい歩いていた時でした。
「今夜とか言ってたが、よく考えたら死ぬほど失礼なヤツだな」
「うわぁああああ!?ヴァンさん??」
いきなり暗がりがヌメッと出てきた人影にチビりそうになりました。限界まで我慢をしていなかったから惨事を免れましたが、もし僕の膀胱が破裂しかけた状態なら僕は完全にイッてました、水たまり製造機になってました。つまり、ギルティです。
「いきなりヌメッと出ないでください。僕を水たまり製造機にする気ですか??」
「水たまり製造機とはなんだ??まぁ、それは良いとしてお前例の子爵令息についてどう思う??」
「へっ??子爵令息??」
心底不思議そうな顔をした僕に、ヴァンさんがめちゃくちゃクソでかいため息をつきました。
「ほら、お茶会の最後に声をかけてきたジョバンニの取り巻きだよ」
そう言われて思い出しました。
「あ、マゾル、ちがうハンドル子爵家のミゲル様ですね」
「サドルな。お前に忠誠の証を持ってくるとかほざいていただろう??」
すごい笑顔なのになんか怖いヴァンさんの顔が、暗闇エフェクトも加わり完全に魔王でセカンドチビりそうになりました。
「はい、でもお友達が増えるのは嬉しいことで……」
シャカシャカ
「えっ??物音??」
薄暗い館に何かを引っ掻くような音が響いているのです。
「風ではなさそうだな。今日はほぼ無風だし……」
シャカシャカ
めちゃくちゃ怖いです。いきなりホラー展開はよくありません、しかし、だからといってあまり人のいないこの館では、ほっといて盗人が侵入したら不味いです。
「……いってみましょう」
だから、その元を確認しないといけません。
震える足を必死に進めて、音の出所へ向かいました。
21
お気に入りに追加
2,028
あなたにおすすめの小説
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…


夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな?
そして今日も何故かオレの服が脱げそうです?
そんなある日、義弟の親友と出会って…。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる