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03.お茶会で目立ちたくない僕VSなぜか目立たせたいヴァンさん
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「ヴァンさんと話していて忘れてましたが、今日はイヴァン殿下とのお茶会です。つまり、僕は絶対にイヴァン殿下の婚約者になりたくないので、髪をボサボサにして、瓶底メガネでお茶会に行きます」
「はっ??だめだ。お前をオ……いや殿下の婚約者にしないといけない、だから目一杯綺麗にしていくべきだ」
何故かヴァンさんが破茶滅茶なことを言い出しました。それは良くないです。そう言えばヴァンさんって誰の手先、もといスパイさんなんだろう。
危害を与えないなら聞いても許される気もします。
しかし、今は目下お茶会で無様を晒してイヴァン殿下の婚約者にならないようにするのが先決です。
「ダメです。今日僕がイヴァン殿下に見初められて婚約すると首がコロリと取れちゃいます。だから絶対嫌です」
「いや、首は取れない。むしろコロリとか可愛げに言ってるが全く可愛くない。大体、ベガ公爵家の令息が適当な格好で参加なんかできないぞ」
そう言われてしまうと強く出れない自分がいます。
僕はこの家、ベガ公爵家の次男で、父と兄との関係が微妙だったりします。
その原因は僕を生んで母が亡くなったからなのですが、申し訳ないですが僕だって好きで母を殺してこの世に生まれた訳ではありません。
それなのに、父と兄に疎まれるのはおかしいと思います。
これについては、実に熱くふたりに何度か演説していますが、父は僕から目を逸らし、兄はゴミ虫とか這いよる混沌でも見るみたいな目で僕を見つめていました。
つまり全くと言ってよいほど関係は改善されていません、これについては後ほど心の太陽神の『もっと熱くなれよ!!お米食べろ!!』の精神にのっとり頑張る所存ですが、今は目の前の首コロリ回避が先です。
「でも、僕はそんなに綺麗ではないので……」
「そんなはずあるか!!お前はこの世界で一番美しい。自信を持っていい」
力強く僕を褒めるヴァンさん。なんでしょう、少し気持ち良いです。一応今までも美しいということは言われてきましたが、それは面と向かってではなく影で悪口とセットで聞いていた言葉でした。例として、
『神すら惑わす美貌で婚約者になったが、頭も性格も悪い公爵令息』
『公爵家の令息で神すら惑わす美貌をしているのにそれをいかせない残念なヤツ』
つまり、ハッピーセットではなくアンハッピーセットの状態でしか聞いたことがなかったのです。
しかし、ヴァンさんがアンの部分なしで褒めてくれました。ハッピー単品、ビックマッ○とかですかね?な状態で褒めてくれたのが嬉しいと思ってしまいました。
「ううっ、でも婚約が決まると首コロリしてしまうし推しを救えないので……」
「心配ない。首コロリの運命は俺が変える。だからお前は安心して今日は着飾らせてくれ」
そう言って、ヴァンさんが何か合図した瞬間、見たことない数のスタッフみたいな人達が僕を取り囲みました。これって罠でしょうか。
「えっ、なんです、この人達は!!」
「お前を今日のために着飾らせてくれる選りすぐりのスペシャリスト達だ」
「えっ!!な、なんで……」
今までの記憶ではストロベリー君とその仲間にメイクアップされて出かけていました。ストロベリー君がオススメで絶対イヴァン殿下を落とせるとかいう怪しいちょっと臭い香水をつけたり、体に良いサプリメントと言われてヘンテコな薬を飲まされたりしましたが、出来栄え的には綺麗だけどけばけばしいみたいな、なんか悪役令息みが強い感じになっていたかなと記憶しています。
しかし、今回現れた謎のスペシャリストによって僕は、磨かれて整えられていきました。その結果なんか体からは百合のような至純さのある高貴な香りが漂い、見た目もけばさより儚い感じに仕上がっています。
皆さんに説明してませんでしたが、僕は銀髪に青い瞳の男の子なのでそういう感じが似合うみたいです。
ストロベリー君はなんか妙に僕の目を釣り目っぽくするメイクをさせてましたが、今の僕はつり目でなく程よい感じですし、鏡の中に映し出されている姿は自分とは思えない、なんかこう大天使感があります。
「……」
そんな僕の背後にいつの間にかいたヴァンさんが絶句しています。もしかして何か問題があったのでしょうか。
「何かおかしいですか??」
「……美しすぎる。やっぱりルドルフにあのきついメイクは似合わない。はかなげで凛とした百合のように美しいお前にはそういう清楚な感じが似合う、美しい」
「あ、ありがとうございます。でも……イヴァン殿下の婚約者になったら僕どんなに綺麗でも死んじゃうのでそれは阻止してみせます」
「……ずっと気になっていたのだけれど、ルドルフはオ、もといイヴァン殿下を愛しているんじゃないのか??」
何故か神妙な顔をして聞くヴァンさんに僕は笑顔で答えました。
「愛していました。けれど今回は愛してはいけないので関わらないつもりです」
その言葉を聞いたヴァンさんが何故か見たことないくらい、絶望した顔しているのですが理由がわかりません。
もしかしたらヴァンさんは僕と殿下を婚約させたい系の推しの人から放たれたスパイなのかもしれません。
「はっ??だめだ。お前をオ……いや殿下の婚約者にしないといけない、だから目一杯綺麗にしていくべきだ」
何故かヴァンさんが破茶滅茶なことを言い出しました。それは良くないです。そう言えばヴァンさんって誰の手先、もといスパイさんなんだろう。
危害を与えないなら聞いても許される気もします。
しかし、今は目下お茶会で無様を晒してイヴァン殿下の婚約者にならないようにするのが先決です。
「ダメです。今日僕がイヴァン殿下に見初められて婚約すると首がコロリと取れちゃいます。だから絶対嫌です」
「いや、首は取れない。むしろコロリとか可愛げに言ってるが全く可愛くない。大体、ベガ公爵家の令息が適当な格好で参加なんかできないぞ」
そう言われてしまうと強く出れない自分がいます。
僕はこの家、ベガ公爵家の次男で、父と兄との関係が微妙だったりします。
その原因は僕を生んで母が亡くなったからなのですが、申し訳ないですが僕だって好きで母を殺してこの世に生まれた訳ではありません。
それなのに、父と兄に疎まれるのはおかしいと思います。
これについては、実に熱くふたりに何度か演説していますが、父は僕から目を逸らし、兄はゴミ虫とか這いよる混沌でも見るみたいな目で僕を見つめていました。
つまり全くと言ってよいほど関係は改善されていません、これについては後ほど心の太陽神の『もっと熱くなれよ!!お米食べろ!!』の精神にのっとり頑張る所存ですが、今は目の前の首コロリ回避が先です。
「でも、僕はそんなに綺麗ではないので……」
「そんなはずあるか!!お前はこの世界で一番美しい。自信を持っていい」
力強く僕を褒めるヴァンさん。なんでしょう、少し気持ち良いです。一応今までも美しいということは言われてきましたが、それは面と向かってではなく影で悪口とセットで聞いていた言葉でした。例として、
『神すら惑わす美貌で婚約者になったが、頭も性格も悪い公爵令息』
『公爵家の令息で神すら惑わす美貌をしているのにそれをいかせない残念なヤツ』
つまり、ハッピーセットではなくアンハッピーセットの状態でしか聞いたことがなかったのです。
しかし、ヴァンさんがアンの部分なしで褒めてくれました。ハッピー単品、ビックマッ○とかですかね?な状態で褒めてくれたのが嬉しいと思ってしまいました。
「ううっ、でも婚約が決まると首コロリしてしまうし推しを救えないので……」
「心配ない。首コロリの運命は俺が変える。だからお前は安心して今日は着飾らせてくれ」
そう言って、ヴァンさんが何か合図した瞬間、見たことない数のスタッフみたいな人達が僕を取り囲みました。これって罠でしょうか。
「えっ、なんです、この人達は!!」
「お前を今日のために着飾らせてくれる選りすぐりのスペシャリスト達だ」
「えっ!!な、なんで……」
今までの記憶ではストロベリー君とその仲間にメイクアップされて出かけていました。ストロベリー君がオススメで絶対イヴァン殿下を落とせるとかいう怪しいちょっと臭い香水をつけたり、体に良いサプリメントと言われてヘンテコな薬を飲まされたりしましたが、出来栄え的には綺麗だけどけばけばしいみたいな、なんか悪役令息みが強い感じになっていたかなと記憶しています。
しかし、今回現れた謎のスペシャリストによって僕は、磨かれて整えられていきました。その結果なんか体からは百合のような至純さのある高貴な香りが漂い、見た目もけばさより儚い感じに仕上がっています。
皆さんに説明してませんでしたが、僕は銀髪に青い瞳の男の子なのでそういう感じが似合うみたいです。
ストロベリー君はなんか妙に僕の目を釣り目っぽくするメイクをさせてましたが、今の僕はつり目でなく程よい感じですし、鏡の中に映し出されている姿は自分とは思えない、なんかこう大天使感があります。
「……」
そんな僕の背後にいつの間にかいたヴァンさんが絶句しています。もしかして何か問題があったのでしょうか。
「何かおかしいですか??」
「……美しすぎる。やっぱりルドルフにあのきついメイクは似合わない。はかなげで凛とした百合のように美しいお前にはそういう清楚な感じが似合う、美しい」
「あ、ありがとうございます。でも……イヴァン殿下の婚約者になったら僕どんなに綺麗でも死んじゃうのでそれは阻止してみせます」
「……ずっと気になっていたのだけれど、ルドルフはオ、もといイヴァン殿下を愛しているんじゃないのか??」
何故か神妙な顔をして聞くヴァンさんに僕は笑顔で答えました。
「愛していました。けれど今回は愛してはいけないので関わらないつもりです」
その言葉を聞いたヴァンさんが何故か見たことないくらい、絶望した顔しているのですが理由がわかりません。
もしかしたらヴァンさんは僕と殿下を婚約させたい系の推しの人から放たれたスパイなのかもしれません。
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