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12.ふたりっきりの馬車の中と初めての風景
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離宮から外へほぼ出たことがなかったので、馬車の窓から見える車窓は全てが新鮮だった。
王都には、確かに足を運んだ場所もあったが、孤児院や教会のような慈善事業に参加したことがわずかにあるだけでそれ以外の市民が暮らしている場所を目にしたことはなかった。
「何か面白いものがありましたか??」
息がかかるほど側で声を掛けられて思わずヒッと声が漏れてしまった。馬車には僕とレフのふたりっきりしかいない。そして、乗り込んですぐに何故かレフの膝の上に乗せられていた。
「レフ、確かに道は揺れるが別々に座った方が良いのではないか??」
「駄目です、ルティア殿下は馬車に乗りなれていないのでお怪我をされます」
そう言って、レフは背後から抱きしめている。身動きが取れないので出来ればもう少し力を緩めてほしい。そして、もうひとつ大変気になるところもある。
「レフ……」
「どうされましたか??そんなに物欲しそうな顔をして」
思わずレフをキッと睨みつけたが、熱の篭ったあの眼差しを返されるだけだ。そもそもそんなことを言いながら先ほどからレフの勃起したソレが当たっているのが気になっているのだ。
「……僕はこんなところではしたくない」
今までは、レフに抱かれる場所はほぼ自分の寝室かレフが滞在している部屋の中だったので問題なかったが今後、『暗黒の森』まで行く場合、途中で泊まると聞いている宿屋またはそれ以外でレフが求めて来る可能性があることを実感した。
だからといって、例えふたりきりでも馬車の中でそう言うことをするのは気が引けるしそもそも僕はそこまで肉体的快楽を優先するタイプではない。
それは、レフも同じはずだが王宮を出てからずっとレフは僕を後ろから抱きしめて首筋に顔を埋めている状態だ。
「わかっております。殿下は気高い方だ。こんなところで護衛に犯されるなど耐え切れないことは分かっております」
口ではそう答えているのに、先ほどからずっとレフの手が服の上からだけれど下腹部を撫でている。そして丁度臍の下あたりを慈しむように撫でながら、
「……殿下、俺のを奧まで入れたら大体この辺りまで挿入できます。今度試させてください」
と生々しいことを言われて思わず顔が赤くなる。
挿れられている時、確かに腹の中がいっぱいになる感触があるがそれがどこまで挿っているかなど考えたこともなかった。
「……嫌だと言ってもお前はどうせするだろう??」
拗ねるような口調で答えると、フッと笑った気配がした。
「殿下は本当に、俺を煽るのがお上手だ」
「僕はそんなつもりはない」
この男と話していると、そのペースに乗せられて良くないことをすることになりそうなので、顔をレフから背けて、再び車窓を眺めることにした。
(あれはなんだ??)
馬車が通る先に、沢山の人々の賑やかな声がする一角があった。そこには色とりどりの野菜や、それ以外の物も並んでいた。
「市が出ているようですね。懐かしい。俺も小さな頃はよく行きましたよ」
「……市とはなんだ??」
それが何か分からないから質問したのだが、先ほどまで僕の体をいやらしく触っていたレフの手が止まる。
「レフ??」
急なことに様子を見ようと振り返ると、何故かレフが泣いていた。
「どうした??何故泣いている??」
「いえ、あまりにもいたたまれなくて。そうだ、『暗黒の森』へ行く前に一度、市に寄りませんか??ここの市は小さいですが、途中の町に大きな市が出るのです」
涙を拭って、とても良い笑顔を浮かべてレフに首を傾げる。先ほどまでの淫猥な空気はなくなり少し安心すると同時に、窓から見える市というものがとても楽しそうで羨ましい気持ちになる。
「そうだな、一度行ってみたい」
どうせなら、その空気を体験してみたいと思い答えると、レフが髪を優しく撫でる。
「『暗黒の森』までに殿下が興味のあることがあったらやりながら行きましょう。大丈夫、今からでもやり直せますから」
「やり直す??」
その意味は分からなかったが、レフはまるで子供を慈しむように先ほどとは違う優しい手つきで僕を抱きしめた。
「ええ、子供時代にできなかった楽しいことを沢山しながら、そうして悔いのない心で『暗黒の森』へふたりで行きましょう」
王都には、確かに足を運んだ場所もあったが、孤児院や教会のような慈善事業に参加したことがわずかにあるだけでそれ以外の市民が暮らしている場所を目にしたことはなかった。
「何か面白いものがありましたか??」
息がかかるほど側で声を掛けられて思わずヒッと声が漏れてしまった。馬車には僕とレフのふたりっきりしかいない。そして、乗り込んですぐに何故かレフの膝の上に乗せられていた。
「レフ、確かに道は揺れるが別々に座った方が良いのではないか??」
「駄目です、ルティア殿下は馬車に乗りなれていないのでお怪我をされます」
そう言って、レフは背後から抱きしめている。身動きが取れないので出来ればもう少し力を緩めてほしい。そして、もうひとつ大変気になるところもある。
「レフ……」
「どうされましたか??そんなに物欲しそうな顔をして」
思わずレフをキッと睨みつけたが、熱の篭ったあの眼差しを返されるだけだ。そもそもそんなことを言いながら先ほどからレフの勃起したソレが当たっているのが気になっているのだ。
「……僕はこんなところではしたくない」
今までは、レフに抱かれる場所はほぼ自分の寝室かレフが滞在している部屋の中だったので問題なかったが今後、『暗黒の森』まで行く場合、途中で泊まると聞いている宿屋またはそれ以外でレフが求めて来る可能性があることを実感した。
だからといって、例えふたりきりでも馬車の中でそう言うことをするのは気が引けるしそもそも僕はそこまで肉体的快楽を優先するタイプではない。
それは、レフも同じはずだが王宮を出てからずっとレフは僕を後ろから抱きしめて首筋に顔を埋めている状態だ。
「わかっております。殿下は気高い方だ。こんなところで護衛に犯されるなど耐え切れないことは分かっております」
口ではそう答えているのに、先ほどからずっとレフの手が服の上からだけれど下腹部を撫でている。そして丁度臍の下あたりを慈しむように撫でながら、
「……殿下、俺のを奧まで入れたら大体この辺りまで挿入できます。今度試させてください」
と生々しいことを言われて思わず顔が赤くなる。
挿れられている時、確かに腹の中がいっぱいになる感触があるがそれがどこまで挿っているかなど考えたこともなかった。
「……嫌だと言ってもお前はどうせするだろう??」
拗ねるような口調で答えると、フッと笑った気配がした。
「殿下は本当に、俺を煽るのがお上手だ」
「僕はそんなつもりはない」
この男と話していると、そのペースに乗せられて良くないことをすることになりそうなので、顔をレフから背けて、再び車窓を眺めることにした。
(あれはなんだ??)
馬車が通る先に、沢山の人々の賑やかな声がする一角があった。そこには色とりどりの野菜や、それ以外の物も並んでいた。
「市が出ているようですね。懐かしい。俺も小さな頃はよく行きましたよ」
「……市とはなんだ??」
それが何か分からないから質問したのだが、先ほどまで僕の体をいやらしく触っていたレフの手が止まる。
「レフ??」
急なことに様子を見ようと振り返ると、何故かレフが泣いていた。
「どうした??何故泣いている??」
「いえ、あまりにもいたたまれなくて。そうだ、『暗黒の森』へ行く前に一度、市に寄りませんか??ここの市は小さいですが、途中の町に大きな市が出るのです」
涙を拭って、とても良い笑顔を浮かべてレフに首を傾げる。先ほどまでの淫猥な空気はなくなり少し安心すると同時に、窓から見える市というものがとても楽しそうで羨ましい気持ちになる。
「そうだな、一度行ってみたい」
どうせなら、その空気を体験してみたいと思い答えると、レフが髪を優しく撫でる。
「『暗黒の森』までに殿下が興味のあることがあったらやりながら行きましょう。大丈夫、今からでもやり直せますから」
「やり直す??」
その意味は分からなかったが、レフはまるで子供を慈しむように先ほどとは違う優しい手つきで僕を抱きしめた。
「ええ、子供時代にできなかった楽しいことを沢山しながら、そうして悔いのない心で『暗黒の森』へふたりで行きましょう」
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