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第四章 横恋慕する人

【20】

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 「現代英文学の坂田教授の授業、面白いんだって。すみれ、絶対取った方がいいよ。私も文学部に行けばよかった」
(そうか、もうすぐ受講登録の時期か)

 大学の入学式まであと三日、学内の掲示板はサークルの勧誘ビラで埋め尽くされていた。
 すみれと美咲は、その間隙を縫うように、せっせとチラシを貼り付けていく。
「美咲のとこは必修が多いもんね」
「そう。おまけに二年からもうプチ実習なんてあるし。でも、文学部だって、近代西洋思想のレポート、全部英文なんでしょ。あれ、落とす人多いんだって。小岩井教授は鬼だって有名だよ」
 急に日常のキャンパスライフが戻ってきた。ここ数日の出来事があまりに現実離れしていて、すっかり頭の中から抜け落ちていたのだ。
 今日も朝九時に呼び出された。
 股間にはローターが埋め込まれ、貞操帯でガードされている。
(これを外してもらうためなんだから、仕方ないのよ)
 言い訳するように自分に言い聞かせても、いざ店の前に立つと、悔恨の念に苛まれた。

 卑猥なオモチャで責められ、いやらしい言葉を口にさせられると、蕩けるような快感が身体を駆け巡る。巨根でグイグイ貫かれると、頭が真っ白になって、淫らな涕泣が止まらなくなる。一度オルガスムスに達してしまうと、もっともっと快楽を貪りたくなってしまう。
 長門の手練手管の前に、すみれには抗う術がなかった。
 自分でも信じられなかった。たった二日間なのに、肉体はいとも簡単に長門好みに塗り替えられてしまっている。
(でも、もう引き返せない……)

 今朝はフェラチオをねっちり仕込まれた。
「そうだ、先っぽの膨らんでる付け根に沿って舌を巻き付けるように舐めるんだ」
 右手はサオを優しくしごくんだ、左手はタマをさするんだぞ、と長門は口うるさい。
 テラテラと光ったピンクの毒キノコは口に含むだけでアゴが外れそうだ。
 鼻につく淫臭をグッとこらえ、カリ首に歯が当たらないよう唇をかぶせながらすっぽり包むと、必死で首を動かした。
「あぁ、そうだ……気持ちいいぞ。だいぶ上手くなってきたじゃないか」
 頭を優しく撫でられた。
 褒められたことで、ジュポッ、ジュポッという音が一段と大きくなる。
「チンポを咥えてると、アソコがまた疼いてしょうがないだろ」
 イヤイヤと小さく横に首を振るが、陰部からジュンと淫液が垂れてくるのが分かった。
 恥ずかしい反応を振り払うように、一心不乱に陰茎にしゃぶりつく。
 すみれは完全に長門のペースに嵌められていた。

「おぉぉぉ、イキそうだッ。イクぞ、すみれ」
 長門は頭を両手で掴むと、腰を激しくピストンする。
 ペニスをすみれの喉奥に突き刺した。
 ドク、ドク、ドク、ドク。
 熱いマグマが襲いかかってくる。口の中に出されるのは初めてだ。
「うぉえぇぇぇぇぇ」
 吐き出そうとしてところを、長門に頭を押さえつけられた。
「ンンン、ンン、ンンン」
「飲め、全部飲み込んだッ」
 首を振って逃れようとしても、太い腕でガッチリ固定されて動けない。
 息が出来ない苦しさに、思わず喉を鳴らしてしまうと、ドロッとした苦いものが喉に粘りついてきた。
(イヤぁぁぁぁぁ)
「こぼすなよ。一滴残らず飲むんだぞ」
 おぞましさをこらえ、口からあふれそうな白濁液を死ぬ気で飲み込む。
 ゴクン。
 最後の一滴まで吸い上げるよう命じられ、ようやく解放されると、我慢していたものが一気に込み上げてきた。
「うぅぅぅぅ」
 喉の奥にはまだ不快感が残っている。声をあげて泣きじゃくるすみれを、長門は両手で抱きしめた。
「ザーメン飲むの、初めてか?」
(ザーメン? あの白い液、ザーメンって言うんだ……)
 小さな顔がコクンと頷いた。
「俺のは量が多いから大変だっただろ。すみれがあんまり可愛いから我慢できなかったよ。よく頑張ったね」
 優しい言葉をかけられて、すみれはまたコクンと頷く。
 長門は頭をなでながら、ククク、と笑いをかみ殺していた。これから毎日飲ませてあげるよ、すみれ。

 長門はバイト中も客の目を盗んでは、ちょっかいを出してきた。
 後ろから尻肉をギュッとつかんだり、スカートを捲り上げて秘穴を指で掻き回したり、シャツの下の剥き出しの乳首をわざとお盆で突いたり。
 昼の営業を何とかやり過ごすと、すみれは逃げるようにキャンパスに戻ろうとした。
 その背中に長門が声をかける。
「今日は泊まっていけよ」
「そんな……」
「晩飯は用意してあるから」
 返事をする前に、店の扉は閉められた。

 二百枚のノルマをあらかた貼り終わると、もう夜営業の時間が迫っていた。
「じゃあ、私、バイト行くね」
 別れ際、すみれは切羽詰まった表情で切り出した。
「美咲、ちょっとお願いがあるんだけど……」
「なに?」
「あのさ、今日、美咲んちに泊まったことにしてくれないかな」
「なによ、純平くんと?」
「え、うん……まあね」
「おとといもデートだったんでしょ。ちょっとぉ、回数多すぎるんじゃない?」
 羨むような、冷やかすような、そしてちょっと咎めるような響きが、すみれには痛かった。

「お願い、美咲。こんなこと頼めるの、美咲しかいなんだ」
「ま、他ならぬすみれの頼みなら仕方ないか。でも、純平くんと上手くいってるの? この前は何だか暗かったけど」
 返事に詰まっていると、すみれのスマホが鳴った。純平からだった。
「ほら、おみやげだって」
 ゆるキャラのぬいぐるみの写真にメッセージが添えられている。
「すみれにこれ買ったよ。これから東京に戻るね」
 画面を見た美咲は、ホッとしたようにすみれの顔に視線を戻す。
「なーんだ、心配して損しちゃった。純平くん、どっか行ってるの?」
「読み聞かせ会の打ち合わせだって」
「一人で?」
「ううん、部長と純平の二人って聞いたけど」
「部長? 木之下さんと?」
 美咲が驚いたように聞き返してくる。
「すみれ、二人っきりはマズいよ。昨日も言ったけど、木之下さん、純平くんのこと本気で狙ってるって噂だから」
「狙ってるなんて、そんな……。それに純平のこと、信用してるもん」
「まあ、純平くんはすみれを泣かすようなことはしないと思うけど」
 美咲は励ますように言うと、ニヤッと意味深な笑いを浮かべながら続けた。
「とにかく、泊まりの件は了解。せっかくなら思いっきり楽しんできなよ」
「え、うん……。ありがとね、美咲」
(純平を裏切って、美咲にも嘘ついて)
 すみれの胸に苦いものが沈んでいく。

 美咲と別れ、純平にメッセージを返すと、重い足取りでクミンに向かった。
 歩き出すと、バイト中から穿かされているTバックのビーズ球が、また秘部を刺激してくる。
(はあぁぁぁ)
 すみれは手で口を押さえ、漏れそうになる媚声を何とか堪えた。
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