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第四十五章 クリスマス前哨戦

股間ハーレム?

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 クリスマス会に参加した生徒たちの顔は、みんな明るかった。
 一足早く、聖夜を楽しんでいるかのように。
 それも朝早くから、ミハイルが一生懸命作ってくれた豪華なオードブルが並んでいるからだろう。
 談笑しながら、何度も紙皿を持って、中央のテーブルにおかわりするほど、彼の料理は人気だった。

 ただ、俺の周囲だけはシーンと静まり返っている。
 左隣のマリアは、黙々と料理を食べ続ける。
 対して、反対側に座っているミハイルは、一切口にすることはなく、ずっと俯いていた。

 俺も紙皿に料理だけは、一応載せているが……。
 この重たい空気に飲まれて、食べる気がしない。

 ~30分後~

 ウイスキーの瓶を片手に、しっかりと出来上がった宗像先生が突如、叫び声をあげる。

「おぉい~ お前らぁ! クリスマスプレゼントは、ほぢぃかぁ~!?」

 また宗像先生の悪ノリが始まったよ……。
 どうせ、用意してないくせに。
 仮に持ってきたとしても、どこからか盗んできた物だろう。
 俺と同じく、会場にいた生徒たちもどこか冷めた目で、宗像先生を眺める。

「なんだぁ!? いらないってか? ゲームに勝ったら……なんでも願いを叶えてやるんだぞぉ!」

「「「……」」」

 誰もその問いに、答えることはなかった。
 だって、同じようなセリフを随分と前に、聞いたからだ。
 運動会の時、MVPはどんな願いでも叶えると……。
 結局、あの時はミハイルが優勝したっけ。
 彼の願いは、宗像先生に耳打ちして終わったから、知らないのだが。

 黙り込む生徒たちを見て、宗像先生は顔を真っ赤にして、怒り出す。

「お前らぁ……この私を信用できないのか!? よし、じゃあプレゼントの内容を詳しく説明してやる。クリスマスと言えば、恋人たちの大イベント。ズッコンバッコンな一日だろう。ラブホの清掃員は大忙しだな!」
 一体、なにを言っているんだ……この人は。
「つまり、お前ら未成年たちも、なんだかんだ言って、ヤリたくて仕方ないわけだな。それでだ、聖夜の権利をかけて、アームレスリング大会を開催したいと思う! 優勝すれば、この会場にいる好きな人間とデート……いや、ホテルにぶち込んでも良いのだ!」

 熱弁する宗像先生とは対照的に、生徒たちは静まり返っていた。
 というか、ドン引きしていた。
 酔っているとはいえ、担任の先生から、ホテルだのヤるだの勧められたから。

 特に真面目な生徒たちは、カチコチに固まり、俯いてしまう。
 完璧なセクハラだな。

 しかし、数人の生徒たちが真に受けて、席から立ち上がる。

「マジかよ!?」
「見学者でも……いいのでしょうか?」

 鼻息を荒くして立ち上がるリキ。それに、頬を赤くして股間を抑える一だ。
 彼は、まだ沈静化できないのか……?
 しかし、立ち上がったのは、男子だけではない。

「私もいいかしら?」

 そう言って、手を挙げたのは、俺の隣りにいたマリア。
 これには、俺も驚きを隠せずにいた。

「なっ!? マリア……宗像先生の言うことを鵜呑みにするなよ。どうせ、ウソだぞ?」
 俺がそう忠告しても、彼女は首を横に振る。
「ウソでもいいのよ。クリスマスは先約しておきたいの。どこかのブリブリ女が出しゃばる前に……ね?」
 そう言って、ミハイルを睨みつける。
 これには、沈黙を貫いていた彼も口を開く。
「ブリブリ……それって、アンナのことかよ!?」
「ええ。よく分かっているじゃない。さすが、いとこね。そうだわ……あなた、アンナにそっくりだから、代理で勝負しない?」
 目の前のこいつが、アンナなんだけどなぁ……。
 煽られて、ミハイルも席を立ちあがる。
「お、お前なんかにタクトを盗られてたまるか! クリスマスはアンナと過ごすんだ!」

 なんか知らないうちに、勝手に俺が賞品にされちゃったよ……。
 でも、イスに座っている俺からしたら、ちょっと嬉しい。

 2人とも上で、距離を詰めてバチバチと睨みあっている。
 つまり、互いの大事な所がぷにゅん、ぷにゅんと当たるわけだ。俺のほっぺたに。
 左はつるぺた。右はちょっとだけ、ふぐりが……。
 すごく気持ちいい……だが。
 どっちだ? 俺は今、どっちに反応しているんだ?
 両手で自身の股間を必死に抑えこむ……そうしないと、チャックが壊れそうだから。
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