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第四十五章 クリスマス前哨戦
女装男子のスカートの中が、気になって眠れない。
しおりを挟む「よし、ついに完成したぞ……ここまで来るのに、苦労したな」
自室で一人、学習デスクの上に置いたあるモノを、下から覗き込む。
前回のデートにて、手に入れたアンナのホカホカなパンスト。
伝線こそ、しているものの。
完全に破れた訳ではない……。
ならば、このアーティファクトをこのまま封印するのは勿体ない。
そう思った俺は、様々な商品をショッピングサイトで、注文しまくった。
まず、レディース向けのマネキン。
ランジェリーショップなどで使われる下半身のマネキンだ。太ももまでのやつ。
しかも、リアルな肌色。
そこに以前、別府温泉でアンナがくれたピンクのおパンティーを履かせる。
まあ、アンナはヒップが小桃サイズだから、マネキンでもギチギチだが……。
しかし……そこがまた興奮する。
お次は、今回の純白ストッキングを装着。
仕上げだが……これには、天才の俺でも頭を悩ませたぜ。
だって、アンナが普段、着ているミニ丈のスカートなんて、ブランドも知らないからな。
なるだけ、彼女のファッションに近い女性ものの、スカートを検索しまくって、どうにか入手することに成功。
チェックのプリーツが入ったミニスカートだ。
そのマネキンを学習デスクの上に飾って、俺は床に腰を下ろす。
あら不思議、アンナちゃんたら、パンツが丸見えだよ☆
ローアングルで、スカートの中をガン見できるこの喜びよ……。
生きていて良かった。
おまけに、12月だというのに、うちわなんか持ち出しちゃって。
下からパタパタと扇いでみる。
すると、ふわりとめくれるスカート。
白いパンストに覆われたピンクのパンティーが、露わになる。
「キャー! タクトさんのエッチ~☆」
と、どこからか、アンナの声が聞こえてきそうだ。
ふっ……我ながら、何という最終兵器を開発してしまったのやら。
これを世に放てば、俺はノーベル化学賞を獲得してしまうな。
そんなことを毎日やっていると、次のスクリーングが近づいてきた。
もう、今年のスクリーングは、明日で最後らしい。
ふと、カレンダーを眺めていると、机の棚から何がポトッと床に落ちた。
拾ってみると、小さなフェルト生地のキーホルダーだ。
少し埃かぶっている。
「これは……」
ちょうど今から一年前、クリスマスイブの日に、白金から呼び出しを食らい。
俺が天神の渡辺通りを歩いていたら、中学生たちが募金をしていた。
その際、俺が担任教師と揉め、嫌味のつもりで1万円を中学生に渡したら、お返しにとくれたサンタクロースの人形。
あの時これを渡してくれた女子中学生は、確かこう言っていた。
『きっと、あなたにもいつか……クリスマスを一緒に過ごせるひとが現れると思います』
思い出して、急に頬が熱くなる。
アンナの笑顔が、頭に浮かんだから。
そして、同時に頬を赤くしたミハイルも……。
「もうあれから、一年か……」
ずっと、机の上で埃かぶるまで、放置していて、なんだか悪い気がする。
今からでも、リュックサックにつけてみるか。
そしていつか……俺が誰かと、イブを一緒に過ごせる時が来れば……。
これをあの子に返したいな。
リュックサックにキーホルダーをつけていると、自室のドアが開く音が聞こえた。
妹のかなでだ。
「あ、おにーさま……」
「おう。かなで、受験勉強ははかどってるか?」
「いや……その前に、なんですの? 可愛らしいスカートなんか飾って。女装でも始めるんですの?」
「え?」
忘れていた。
人工パンチラ発生器を、机の上に置いたままだったことを。
このあと、かなでの誤解を解くのに、1時間を要した。
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