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第四十二章 腐ってもサブヒロイン
受け入れてしまったタクト
しおりを挟むミハイルから一通りのストレッチを見せてもらった後。
流れで、俺も彼から習ったストレッチを挑戦することになった。
自慢じゃないが、俺の身体は硬い方だから、ミハイルに無理だと断りを入れようとしたが。
「大丈夫☆ オレがちゃんとついているから。出来るようになるよ☆」
と半ば強制的に、マットへ座らせられる。
股関節を左右に開こうとするが、ミハイルのようには上手く出来ない。
それを見た彼は、ニコッと笑ってこう言った。
「仕方ないよ☆ タクトは初めてだもんね。ちょっとオレがほぐしてあげるよ☆」
「え……? ほぐす?」
嫌な予感しかない。
~10分後~
「う~ん……タクトって本当に硬いね。ガチコチだよぉ」
ミハイルの小さな口から、吐息が漏れた。
そして、俺の耳元に当たる。
くすぐったいような、気持ち良いような……。
現在の状態といえば。
俺の背中を一生懸命ミハイルが小さな手を使い、押してくれている。
後ろから抱きしめるように……。
彼が言うには、普段からデスクワークが多いから、俺の腰と股関節も硬いらしく。
今後の活動のためにも、しっかりと筋肉などを伸ばした方が良いとのこと。
股関節を奇麗に開脚はできなかったが。
責めて腰ぐらいは伸ばした方が良い、とミハイルに強く注意を受けた。
まあ、俺の執筆活動を心配してくれているからだと思うが……。
大きく息を吐いて、両手をマットの上に乗せて、前へと突き出す。
「ふぅ……」
俺としては、だいぶ伸ばせたような気がするが、ミハイル先生は納得してくれなかった。
「あ~ ダメダメ。硬すぎるよぉ。タクトってさ。なんで、そんなにカチコチなの? 普段からやらないから、柔らかくなれないんだよ!」
「す、すみません……」
怒られちゃったよ。
ていうか、さっきから誤解を生むような表現ばかりしている気がする。
カチコチとか、硬いとか……。
見兼ねた彼が再度、補助に入る。
「いい、タクト。力をいれたらダメだよ。オレの呼吸に合わせて、ゆっくり前に腰を入れようね☆」
「お、おう……」
言われた通り、彼の吐息に合わせて、ゆっくりと身体を前へ突き出す。
ミハイルは優しく俺の腰を両手で押してくれた。
超がつくぐらいの密着で。
背中越しとは言え、彼の心音が伝わってくるほどだ。
当たり前だが、女装していないので、ノーブラと思うと、興奮してしまう。
ストレッチに熱中するミハイルは、恥じらいがないように感じた。
頬と頬がくっついてしまうほどの至近距離で、俺に囁く。
「ほらぁ。ちゃんと入ったよ☆ タクト、すごいね☆」
「あ、ありがとう……」
どことなく、ミハイルから甘い香りを感じた。
きっと普段から使っているシャンプーだと思うが、その香りが更に俺をドキドキさせる。
気がつけば、俺の股間もマットレスへ直進してしまった……。
今の状態を隠したいがために、腰をどんどん前へと突き出す。
「すごいすごい☆ ちゃんと、マットに身体をつけられるぐらい、前に腰を入れられたねぇ☆」
「おお……ミハイルのおかげだよ」
本当は股間が暴走したから、逃げただけなんだけど。
「気持ちいいでしょ? もうちょっと、押してあげたらいいかな☆」
そう言って、彼は俺の身体に覆いかぶさる。
もちろん、やましい気持ちなんて、全然ない。
ただ、俺の身体を柔らかくしてあげたい、という一心で、伸ばしているだけだ。
しかし、ミハイルの思惑とは裏腹に、傍から見れば、ヤバい男たちに見えるだろう……。
「よいっしょと。これで、う~ん……」
ただ、背中を押しているだけなのだが、ついでに彼のブルマもお尻辺りに擦りつけられる。
ミハイルが身体を前後に動かす度、俺の尻がペチペチと音を立てる。
別に痛くはないが、彼の可愛らしい、ふぐりを思い出すと、なんか快感を覚えてしまいそうだ……。
「ふん。よいっしょ☆ どう? タクト☆ 気持ちいい? 痛くない?」
「ああ……すごく腰が楽になれた気がするよ」
「そっか☆ なら、良かった☆」
「……」
そんな事を二人で仲良くやっていると、離れた場所から熱い視線を感じた。
眼鏡をキランと光らせた女がこちらを見つめている。
北神 ほのかだ。
「フッ。落ちたな」
口角を上げて、そう呟く。
クソがっ。
誰も落ちてねーわ!
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