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第三十二章 女装のヤンキーと片想いのヤンキー

娘さんが下着を上下お揃いにしたら、彼氏います

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 どどんどんの大行進は、広い館内を一周したところで、やっとゴール……。
 終える頃には、俺の顔は真っ赤になっていたと思う。
 恥ずかしくて死にそうだった。
 だが、隣りのアンナは
「超楽しかったぁ☆ あ、どどんどんと握手してこよっと☆」
 とまだまだ余裕を見せるほどのアイアンメンタル。

   ※

 もういいだろうと、再度昼ご飯をアンナに提案すると。
「そうだね。たくさん運動したし……そろそろ」
 と言いかけている途中で、ある場所に視線が釘付けになる。
 俺もその方向に目をやる。
 レストランの近くにあった遊具、『虹のすべり台』だ。
 すべり台と言っても、幼児が利用するような緩やかなもの。

 5個のすべり台が連結されていて、各レーンの上には旗が立っている。
 全部色違いで、左から赤いパンパンマン。黄色のキーマパンマン。白の生食パンマン。それから姉妹のパンナちゃん達。
 右の階段から昇って好きな所を決め、優しいお姉さんがしっかり見守る中、幼子が楽しむといったものだ。
 かなり人気で、列ができている。ただし、並んでいるのは幼児だけだが……。

 まさか、と思ったが一応アンナに尋ねる。
「な、なぁ……このすべり台は年齢制限があるんじゃないのか?」
 それを聞いた彼女は緑の瞳をキラキラと輝かせる。
「アンナなら大丈夫! もう15歳だもん☆」
 ジェットコースターじゃないんだよ!
「いや。そういう意味じゃなくて……」
「タッくん。ちょっとすべってくるから、ここで待ってて☆」
 ファッ!?
 この人、もうただの荒らしなのでは?
 小さなお子様に配慮してやれよ。

 子供たちの列に並ぶ大きなお姉さん。
 低身長のアンナとはいえ、やはり幼児と並ぶとデカく見える。
 前後にいた幼児も珍しそうに彼女をじーっと見つめていた。

 その光景に絶句している俺に対し、アンナは余裕たっぷり。
「タッくん! せっかくだからスマホですべっているところを動画で撮ってぇ~」
 なんて叫ばれる始末。
 周囲に立っていた親御さんの冷たい視線が痛すぎる。

 仕方ないので、俺はジーパンのポケットから自身のスマホを取り出し、カメラを起動してスタンバイ。

 アンナの番になり、階段を昇っていく。
 上機嫌ですべり台に向かう彼女の後ろ姿を見て、あることに気がつく。
「はっ!?」
 思わず声に出してしまった。
 下から見上げている俺の目に映ったのは、純白のレースパンティー。
 すかさず、カメラを動画モードで撮影開始。
 レンズは常に彼女の尻を追いかける。

 すべり台にアンナが座り込む。
 後ろにいたお姉さんは介助など必要ないと苦笑いしていたが、
「じゃあ、『いっせーので』ですべろうね~」
 と彼女を誘導する。
 下にお姉さんがもう一人いて、事故がないようにと下りてきたお友達をキャッチしてくれる。
 二人のスタッフは
「どうすんのこれ?」
 みたいな顔で対応に困っていた。

 しかし、そんなことはお構いなしで、アンナはバンザイして自分の番になったことを喜ぶ。
「今からアンナすべるね~ タッくん。見ててよ~☆」
 とこちらに向かって大声で叫ぶ。

 先ほどまでの俺ならば、赤っ恥だが。
 今は違う。
 なぜなら、アンナの興味がパンパンマンとすべり台でいっぱいだからだ。
 つまり防御態勢がゼロに近い。
 おわかりいただけただろうか?

 そう。今のアンナは安全にすべり台を楽しむために、御開脚なされているということだ。
 つまり……パンツが拝み放題! 動画を高画質で撮り放題!

 普段は使わない4Kモードで録画しておいた。
 すべり台から下りるのは一瞬だったが、しっかりとスマホに記録してある。
 誤って消去しないように、大容量のSDカードにも保存しておく。

「はあ~☆ 楽しかったぁ!」
「ああ! アンナの顔、とても楽しそうだったな!」
 やべぇ。パンパンマンミュージアム、撮れ高半端ない。
「タッくん。ちゃんと動画撮れた? アンナにも見せて☆」
「あ、それは……帰ってからで良くないか? ちゃんとパソコンに保存してから、あとでL●NEで送るよ。ははは!」
 笑ってごまかす。
「どうして? なんでパソコンに保存するの?」
 純真無垢なアンナは、俺の思惑に気がつくことはない。
「そ、そうだ! もういい加減レストランに行かないか? あそこで使っているパンパンマンのお皿は帰りに購入できるらしいぞ!」
「ホント!? 行く行く☆」
 フッ……新鮮な動画ゲットだぜ!
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