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第三十二章 女装のヤンキーと片想いのヤンキー

誘う男の娘

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 L●NEを無事に? 送信したリキは、満足そうにしていた。
 その後、アンナがこれからほのかを攻略する上で大事なポイントを説明し出す。

「リキくん。別府でほのかちゃんに告白した時のこと、覚えている?」
「ああ……忘れられないよ。今でも失敗だったって、毎日へこんでるぜ」
 選んだ相手が、だろ。
「落ち込まなくて大丈夫だよ☆ ほのかちゃんが最後に言ったセリフ、そこにリキくんへのアピールポイントが含まれていたんだよ☆」
「え? あ、たしか……『キャラメル』『しょうた』『おじさん』で忙しいって言っていたような」
 全然、理解できてない!
 しょうたくんじゃなくて、ショタなの!

 それを聞いたアンナは、深いため息を吐き、首を横に振る。
「リキくん。女の子の気持ち、全然わかってないね……」
「わりぃ……アンナちゃんなら分かるんだろ? 頼む、教えてくれ!」
「もちろんだよ☆ じゃあ今からその三つの言葉を説明するね☆ スマホでメモした方がいいよ☆」
「おし! メモの準備できたから、頼むわ!」

 こうして、女装教師アンナによるBLの基礎を教わるリキくんなのでした。
 スマホの画面に写し出された幼い少年が裸体でめちゃくちゃにされるイラスト。
 おじさん同士で、突っつきあう生々しいマンガなどなど。
 彼女がインターネットで検索した画像一覧を、リキは真剣に見つめる。
 時にその画像を自身のスマホでも探してスクショするほど、真面目な態度。


「どう? これがほのかちゃんの趣味、生きる世界なの☆ リキくんがほのかちゃんとラブラブになるには、この世界を理解できないと無理だと思うよ?」
 俺は絶対に理解したくない。
「よく分からないけど……女の子って、みんなこういうのがスキなのか? 男同士でキスしたり、なんか好きなのに、後ろから相手をいじめているように見えるんだけど」
 そういう愛し方なんだよ。
「うん☆ 世の女の子はみ~んな! こーいうのが、だ~い好きなんだよ☆」
 ファッ!?
 一括りにしやがった! アンナのやつ。どこまで暴走する気だ。
「へぇ……じゃあさ。アンナちゃんもこのビーエル? ってやつ、読むの?」
 巨大ブーメランがやってきた。
 言われて、何故か身体をもじもじさせるアンナちゃん。
 頬を赤らめて。
「う、うん……たまに、ね」
 読んでいるのか。
 あれ? ということは、ミハイルが愛読しているということでは!?
 俺の不安は的中する。

 何を思ったのか、スマホでコミックアプリを起動するアンナ。
 それをリキに突き出す。
「今、読んでいるのはこういうのかな……」
 なんて恥ずかしそうに、身体をくねくねさせる。
 気になった俺もリキと一緒に画面を確かめた。

 ハーフぽい中性的なショタッ子が、高校生ぐらいの細身の男子が耳をかぶりつき、ショタの胸元を両手で弄り倒す。股間は二人とも元気元気♪
 受けは一見嫌がっているように見えるが、攻めの押しに負けて快楽に溺れているようだ。

 タイトルは
『好きになったハーフ美少女が男の子でした。でも愛と穴があれば、問題なし』

「……」
 絶句する俺氏。
「なんかさ……このえっと、ショタだっけ? 俺のダチに似ているな。なあ、そう思うだろ? タクオ」
「え……だ、誰の事だ?」
「ミハイルだよ」
「そ、そだね……」

 アンナのやつ、というか、ミハイル。
 ついにBLで勉強しやがったのか。それも熱心に。

「ところでさ。アンナちゃんはコレを読むと、どんな感じ、気持ちになんの? 俺さ、恋愛ものとかよく分からなくてさ。今後ほのかちゃんの趣味を理解するためにも教えてくれないかな?」
「う、うん……なんだか読んでいると、心がポカポカして、ドキドキして……。読みだすと夜も眠れないぐらい、胸がキュンキュンしちゃうの……」
 と恥ずかしそうに性癖を暴露する。
「へぇ、なるほどなぁ。勉強になるよ」
 そこはメモしなくていいって。
「ハァ……思い出したから、またドキドキしちゃった」
 と小さな胸を両手で抑えて吐息を漏らす。
 そして、何故かチラチラと俺の顔を見つめる。
 いつも積極的な彼女にしては、珍しくしおらしい。
 頬を赤くし、緑の瞳は僅かに潤んでいて、どこか色っぽい。

 ハッ!?
 そういうコトを想像しているのか、こいつ!?
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