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第三十二章 女装のヤンキーと片想いのヤンキー

ショタは違法、おじ様なら合法

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 博多社を後にした俺は、帰りの電車の中で方針状態だった。
 一体、これからどうやって、友達の恋愛に協力すべきか。
 とりあえず、リキとアンナに電話してみよう。
 自宅に着くと、すぐにスマホをタップする。


 倉石さんから頂いた悪魔のような提案を、俺は試しにリキへと報告してみた。
 どんな劇場かは伏せて、しれっと
「ほのかが好きそうな映画があるんだが、どうする?」
 なんてスマホの向こう側にいる彼を誘惑。
 無知なリキくんは、
『もちろん、行くぜ! サンキューな、タクオ!』
 と意気込んでしまった。
「だが、今回はほのかは誘えないぞ? あくまであいつの創作……つまりマンガの取材ということだ。男同士の恋愛作品、それでもお前はほのかのために、危険を顧みず、単独で現地へ赴くのだぞ?」
 一応、念を押しておかないと。
 あとで恨まれたら嫌だからね。
『あったりめーよ! 俺のほのかちゃんへの想いは、地球……いや宇宙のように広くてデッカイんだぜ! あの子ためなら、どんな危険もこの俺がブチ破ってやるぜ!』
 うーん……君がブチ破られるかもしれないが……。
 でも、俺って前にリキに事故とはいえ、処女を奪われたしな。
 ま、いっか。
「リキ。お前の想い、確かに俺の予想を上回るデカさのようだ。よし、じゃあ来週の日曜日、博多駅で集合だ」
『おう! 案内は任せたぜ、マブダチのタクオ』
 あの……マジでダチと思っているなら、そろそろ琢人って呼びませんか?


 次は協力者。いや、リキを陥れようとする小悪魔のアンナちゃんに電話をかける。
 ベルの音が一回ぐらいの素早さで通話状態になる。
 可愛らしい声が受話器から流れてきた。
『タッくん? 久しぶり~☆ どうしたの? また取材かな☆』
「ああ。久しぶりだな……実は今回、俺たちの取材ではなく。別府で出会ったリキのことを覚えているか?」
 まあ一応、設定なので。
『もちろんだよ☆ 頭がツルピカのリキくんだよね? あ、ひょっとして、ほのかちゃんをデートに誘うとか?』
 何気にマブダチをディスってんじゃん。
「違うよ。まだその段階じゃない。実はリキからアンナにも恋愛の相談を受けて欲しいと以前、頼まれてな。それで、今回、彼一人をとある映画館に案内するから、道中に話でも聞いてくれないかと思ってな」
『恋バナだね☆ アンナ、そういうの大好き~☆ ほのかちゃんが喜ぶことをするんでしょ? 男の子同士の恋愛作品に使えるような素材集め☆』
 察しが良すぎる。
「ま、まあ。そういうことだ……」
 なんだろう。急に罪悪感で胸が痛み出してきた。
『絶対にリキくんとほのかちゃんをくっつけようね☆ どんなことをしても二人がラブラブになれるようにしないとダメだよ。二人の恋路を邪魔する子は、アンナが許さないもん! そんな意地悪な子がいたら、ポコポコしてあげる!』
 表現方法、間違えているだろう。
 顔面をボコボコにしてやる、という脅しだろ?

 こうして、腐女子ほのか攻略班が結成されたのであった。
 我々、取材班は未知の領域に踏み込む。
 ただし、持っていく切符は一枚のみだ。(リキだけ行かせる)
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