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第三十章 おっしょい! 百万人のショタ祭り!

リキに課せられた使命

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 ほのかの異性、同性に対する趣味、性癖は把握できた。
 理解はできないけど。
 要は可愛ければ、ショタだろうが、ロリだろうが手を出す。
 顔さえ良ければ、イケメンだろうが、美人だろうが受け入れる。
 なんだ……飛びっきりのドがつく変態さんだったのか。
 よし、ミハイルは俺が守る!


「なあ……ほのか。逆にこういう男、女。まあ、人間で嫌いなタイプはあるか?」
 これもダチであるリキのためだ。
「あぁ、それなら割と簡単かな? イケメンでもカワイイ子でも……なんていうかな。オレ感とかワタシ感出してる人は苦手だね」
「ん、つまり自己主張が激しい人間ということか? 自分のルックスや能力を自慢げにしている奴とか?」
「そうそう! 正にその通り、なんかねぇ。男でも女でも、それをステータスに感じている時点で、終わりじゃない? 常に貪欲に生きる人。ルックスも人生もまだまだ満たされないっていう、性格の方が好きかな。だって、今の自分で満足しているってことは、劣化すること間違いなしだよね♪」
 隣りで話を聞いていたミハイルが、何やら胸に突き刺さったようで、心臓あたりを手で抑えている。

「そ、そうだよな……ハーフって年を取るとブサイクになるって、よく聞くもん。この前、ガーリーファッション雑誌にも特集で載ってた。ひっぐ……」
 おいおい、泣き出しちゃったよ。
 しかも、アンナちゃんの愛読書をバラすな。
「ミハイル、そんな噂に流されるな。お前もアンナも、いい年の取り方をするさ。ほのかの言う通り、自分に満足しなきゃいいのさ」
 なんて肩をポンポンと優しく叩く。
「う、うん! オレも頑張る! アンナにも伝えておくね☆」
 いや、今目の前で口頭にて伝えたじゃん。


 しかし、今の感じでは、リキと比較してみても、嫌いになる要素が抽象的な表現でよくわからない。
 もっと具体的なことを知りたい。

「ほのか。人柄とかで嫌いな奴はなんとなく理解できた。そうじゃなくて、もっとなんていうか……例えば、俺だったら巨乳の女性が苦手だ。こういうのはないか?」
 しれっと『ほのかを嫌い』だと宣告してしまう。
 だが、彼女は別に気にしない様子で、答えてくれる。
「ああ~ そういう感じね。これやる人嫌いってことだよね? なら、簡単だよ。一番はタバコを吸う人。あれ、臭いがきついし、目にしみるから大嫌い。吸って吐いて、なにが楽しいの? お酒ならまだ許せるんだけどね。だって酔っぱらうと、ノンケでもワンチャンありそうじゃん♪」
 要らない情報を追加するな!
 しかも、それ犯罪だって!

「なるほど……意外だな。その意見は俺も一緒だ。タバコは百害あって一利なしと言うからな。ハハハッ、思わぬ所で一致しておかしいな。やっぱあれだな。なんだかんだ言っても、俺たちはヤンキーと違って、根は真面目だな」
 そう言って、ほのかと笑い合う。
 ていうか、初めて共感できたところかも。


 だが、一人喜べない人が、隣りに。
 元喫煙者であるミハイルだ。
 俯いて、太ももの上に拳を作り、プルプルと震えている。
 頬を紅潮させ、涙目。
 自分だけ、仲間外れにされた気分なのだろう。

「ミハイル。お前はもうタバコはやめたんだろ? なら、俺たちと同じ非喫煙者の仲間じゃないか」
「そうよ、ミハイル君もズル剥けしたってことよ♪」
 表現方法を間違えるな!
「そ、そうだよな……って、ああっ!」
 急に何かを思い出したようで、席から立ち上がるミハイル。
 小さな口をポカーンと開き、言葉を失う。

「どうした? ミハイル……」
「ヤバいよ……リキのやつ、まだ吸っているよ……」
 俺もそこでようやく気がついた。
 ほのかに惚れているリキが喫煙者であることを。
「あっ!」
 そこからの俺とミハイルの行動は速かった。
 互いにスマホを取り出し、メッセージを打ち込む。

『リキへ。早くタバコを捨てろ。服の臭いをファ●リーズで消せ。そうしないと、ほのかに嫌われる』
 と俺は送信。
 これでよし。
 辞められるかは、あいつ次第。いや、ほのかに対する想いの強さか……。

 隣りのミハイルに送信したことを伝えると、彼はかなり焦っていた様子で、未だにスマホとにらめっこ。
 高速でスワイプしまくっていた。
 隣りからチラッと画面を覗き見すると。

『リキのバカ! 早くタバコをやめろ! やめないとダチじゃない。人間じゃない。お前なんか大嫌いだ! 好きな女の子のためなら、タバコなんてやめれるだろ! 最低の人間、クズ、バカ、アホ、役立たず、うんち、このハゲ……』

 なんて罵詈雑言を延々とメッセージに打ち込んでいた。

 リキ、この困難を必ず乗り越えよう。
 応援しているぜ。
 正直どうでもいいけど、ダチも惚れた女も全部失うぜ……。
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