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第二十九章 女教師観察日記

先生とローション

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 人様の水着を勝手に拝借して、着替え終えるとプールサイドへと向かう。
 アリーナの中はかなり広く、体育館ぐらいの大きさだ。

 だが、それよりも気になるのはこの明るさだ。
 照明が全く点いていない。
 多分、近所の住人や高校の関係者にバレないため、先生が敢えて電源をつけていないのだろう。

 屋根がガラス製だから、どうにか月のあかりで、ぼんやりと辺りを確認できるが。
 正直、プールサイドを歩くのもベトベトしていて、滑りそうになる。
 転げてしまいそうで怖いから、慎重に前へと進む。
 ようやく、スタート台が見えたところで足を止める。

 スタート台に腰を下ろし、宗像先生を待つ。
「なにやってんだろ、俺」
 ついつい独り言を洩らしてしまう。
 夜空に散らばる小さな星々を眺めて、ある人間の顔が思い浮かぶ。
 左の夜空に、ミハイル。右の夜空に、アンナ。
 大丈夫なんだろうか。
 宗像先生があんな風に道端に放り投げて……。
 あいつって結構、ストーカー体質ていうか、俺のことになると、こう真っすぐな奴だから。
 このあとが心配なんだよ。
 深いため息を吐くと、背後からヒタヒタと足音が聞こえてきた。

「よう、新宮。お待たせ~ 風呂入ろうぜ!」
 なんて陽気に話しかけているが、先生の様子がおかしい。
 暗くてよく見えないが、水着を着ていないような……。
 影だが、身体のラインがくっきり確認できる。
「ちょ、先生? まさか裸っすか?」
「おお。だって風呂だろ? スク水着なんて着ていたら、身体が洗えないじゃないか。はーっははは!」
 笑いごとじゃねぇ! 責めてタオルで身体を隠せ!
 俺は思わず視線を反らす。背中を先生に向けて。

「ば、バカじゃないんですか!? 俺、こう見えても男なんですよ? ちゃんと配慮してくださいよ、生徒なんだから!」
 緊張して声が裏返る。
「なんだぁ? 見たいのか? いいぞ、見ても。そしていつの日か、一人でシコシコやっちゃうんだろ? 健康な男子の証拠だ! はーっははは!」
 セクハラだ!
 お前の裸体は誰も望んじゃいないんだよ!

   ※

 とりあえず、俺と宗像先生は少し離れたところで身体を洗うことにした。
 洗い流す水は、もちろん塩素入りだから、健康的だね♪ クソが!
 シャンプーで頭を洗い終わったあと、次にボディシャンプーがないことに気がつく。

「先生。ボディシャンプーありますか?」
 裸は見たくなかったので、視線は床のままだ。
「ああ、あるぞ。こっちに来い」
「ええ……」
「ガタガタ言うな! そんなに私の裸を見て股間が元気になるなら、目を閉じておけばいいだろ!」
「わ、わかりましたよ……」
 仕方なく、俺は瞼を瞑って、先生の元へと近寄る。
 そばに寄ると先生が「このマットの上に横になれ」と促す。

 足先で床を確かめると、確かにビニール制のエアーマットがあった。
 ゆっくりと腰を屈めて、うつ伏せの状態になる。
 偉く柔らかいマットだ。
 こんなの水泳部で使うのだろうか?


「じゃあ今から洗うからな~」
「え、先生が洗ってくれるんですか?」
「もちろんだとも! 可愛い生徒だからな。裸の付き合いってやつだ!」
 お前と裸の付き合いしたら、犯罪だっての。
 下にいる俺からは見えないが、何やら頭上でブチュ~ッと音を立てる宗像先生。
 なんだ? チューブタイプのボディシャンプーか?

 次の瞬間、冷たい液体がびちゃびちゃっと背中に落ちてきた。
「つめてっ!」
「よし、今から伸ばしてやるからな、全身に」
「え?」
 何を思ったのか、宗像先生は俺の腰の上に跨る。
 こ、これは!?
 ぎゃあああ! 先生のダイレクトお股だ! 気持ち悪い!

「なにをするんですか!」
「は? 全身を洗い合いっ子するに決まっているだろ? 動くなよ。今からスベスベのお肌にしてやるから」

 ~10分後~

「ほ~らほ~ら、どうだ? 新宮、気持ちイイだろ?」
「ああ、そうですねぇ……」(棒読み)
 宗像先生が言うボディシャンプーとは、『ポポローション』というものであった。
 多分、色んな使用用途があるのだと思うが、噂では夜の営みやらピンク系のお店で、よく使われると聞く。
 だが、先生は「これが一番肌がツルツルになる」と言い張る。
 確かにスベスベで気持ちが良いのだけど、それよりも先生のぬり方が問題だ。

 手は使わず、自身の肉体で俺の全身にローションを塗りたくる。
 背中とはいえ、先生の全てを肌で感じてしまう。
 デカすぎて気持ち悪い二つのマスクメロン、それに言いたくないが、トップの干しぶどうだ。
 というか、胸を左右に揺らせて俺の身体を洗いやがる。

「気持ちイイだろ? これが大人のオンナしか出来ないお風呂の楽しみ方だぞ♪ ちゃんと小説に書けよ。童貞の読者どもが歓喜して、勉強も疎かになっちゃうよな」
 絶対、今日のことは書かない。書きたくない。
 というか、大人の女性云々の前に、なんでこんなプレイをこいつは知っているのだろうか?
 吐き気を感じ、全身に鳥肌が立つ。

「さ、次は前だ。仰向けになれ」
「ええ……」
「早くやるんだよ! コノヤロー! 恋愛小説に必要だろが!」

 暗がりの中、月の灯りと小さな星々に照らされて、俺と先生の影は一つになっている。
 うっすらと瞼を開いてみると、目の前に謎の生命体が腹の上を踊っている。
「ふん! ふん!」
 宗像先生が声を荒げる度、それは俺の顔面に物凄いスピードで突っ走って来る。
 巨大な肉の塊。
 つまり、デカケツだ。
 暗いことが唯一の救いだった。具が見えないから。
 その後、俺はショックから失神した。
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