211 / 490
第二十六章 真夏の夜の部
ワン・ナイト・ラブ
しおりを挟むチーン! とエレベーターのチャイムが目的地に着いたことをお知らせ。
俺は心臓がバクバク。
だって、これからアンナちゃんの自室へとお邪魔するから。
そんなことを知ってか知らずか。
当の本人は鼻歌交じりに俺の手を掴み、廊下を歩き出す。
「タッくん。アンナの部屋は一番奥だよ☆」
なんて優しく微笑むから、俺は期待しちゃう。
いや、しちゃダメだろ!
しっかりするんだ、俺の理性くん!
相手は男だ、ミハイルだ、ヤンキー野郎……と思いながらも、彼女の横顔を見つめると。
「どうしたの? タッくん。あ、そうだ! 部屋に入ったら、気持ちいいことしてあげよっか?」
「えぇ!? キモチイイことぉ!?」
思わず、声が裏返る。
「うん。とっても気持ちいいこと☆ アンナ、最近色々勉強しててね。タッくんのために☆」
とウインクされてしまった。
その勉強ってまさか……。
生唾ゴックン!
長い廊下を二人で歩いていると、夜も遅いせいか、周りの部屋から宿泊客の声がドアの奥から漏れてきた。
「あぁ! 温泉でもシタくせにぃ~ 元気ぃ~」
「ハァハァ……この日のため一ヶ月は禁欲していたんだ。寝かせないぜ!」
ん? あれ、さっきスパで見かけたカップルか?
生々しい!
と腸が煮えくり返っていると……。
「Yes~! come on~! Ran! You are the best whore!」(いい~! 来てぇ、蘭! 君は最高の娼婦だ!)
英語?
「ハハハッ! この白ブタが! もっと欲しいか!? なら私の名前を呼びな!」
「Ran! Pay for money! Give it to me more!」(蘭! 金なら払うよ! もっと欲しい!)
「なんだとコノヤロ~! だから日本語で話せってんだろが! バカヤロ~!」
気になった客室の前で、立ち止まる。
偶然にも、ドアは少しだけ隙間が開いていた。
俺は好奇心から、覗いてしまう。
部屋の中には、ブラジャーとパンティ姿の娼婦……じゃなかった宗像先生。
なぜかハイヒールでベッドに立っている。
手には男性もののベルト。
ベッドには、白人の外人男性が仰向けに寝かせられている。パンツ一丁で。
なぜか腕と足は荒紐で動けないように縛りあげられていた。
宗像先生がベルトをムチのようにして、彼の腹に振り降ろす。
パーン! と音を立てる。聞いているだけでも、痛そう。
「ハハハッ! これがいいのか? 変態野郎が!」
という先生もなんだか嬉しそうだ。
「I'm a pervert!」(僕は変態です!)
相手も相手で、痛そうにしているけど、めっちゃ笑っている。
ベッドの近くにあったテーブルには、福沢諭吉が三人も並べられていた。
多分、チップなんだろう。
宗像先生って、もうガチのビッチに転職してしまったのか……。
良かった良かった、教師よりこっちの方が向いていると思う。
ドアを覗きながら黙って頷く。
すると、アンナが背後から声をかけてきた。
「なにやってんの、タッくん? 早くアンナの部屋に行こうよ?」
「ああ……そうだったな」
ヤベッ、俺もこのあと、なんかすごく気持ちいいことされるんだったね。
とりあえず、シャワーは浴びておかないと。
あ、パンツ。宗像先生のレースパンティのままだったよ……。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
お兄ちゃんは今日からいもうと!
沼米 さくら
ライト文芸
大倉京介、十八歳、高卒。女子小学生始めました。
親の再婚で新しくできた妹。けれど、彼女のせいで僕は、体はそのまま、他者から「女子小学生」と認識されるようになってしまった。
トイレに行けないからおもらししちゃったり、おむつをさせられたり、友達を作ったり。
身の回りで少しずつ不可思議な出来事が巻き起こっていくなか、僕は少女に染まっていく。
果たして男に戻る日はやってくるのだろうか。
強制女児女装万歳。
毎週木曜と日曜更新です。
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
二十歳の同人女子と十七歳の女装男子
クナリ
恋愛
同人誌でマンガを描いている三織は、二十歳の大学生。
ある日、一人の男子高校生と出会い、危ないところを助けられる。
後日、友人と一緒にある女装コンカフェに行ってみると、そこにはあの男子高校生、壮弥が女装して働いていた。
しかも彼は、三織のマンガのファンだという。
思わぬ出会いをした同人作家と読者だったが、三織を大切にしながら世話を焼いてくれる壮弥に、「女装していても男は男。安全のため、警戒を緩めてはいけません」と忠告されつつも、だんだんと三織は心を惹かれていく。
自己評価の低い三織は、壮弥の迷惑になるからと具体的な行動まではなかなか起こせずにいたが、やがて二人の関係はただの作家と読者のものとは変わっていった。
歩みだした男の娘
かきこき太郎
ライト文芸
男子大学生の君島海人は日々悩んでいた。変わりたい一心で上京してきたにもかかわらず、変わらない生活を送り続けていた。そんなある日、とある動画サイトで見た動画で彼の心に触れるものが生まれる。
それは、女装だった。男である自分が女性のふりをすることに変化ができるとかすかに希望を感じていた。
女装を続けある日、外出女装に出てみた深夜、一人の女子高生と出会う。彼女との出会いは運命なのか、まだわからないが彼女は女装をする人が大好物なのであった。
おじさんとショタと、たまに女装
味噌村 幸太郎
恋愛
キャッチコピー
「もう、男の子(娘)じゃないと興奮できない……」
アラサーで独身男性の黒崎 翔は、エロマンガ原作者で貧乏人。
ある日、住んでいるアパートの隣りに、美人で優しい巨乳の人妻が引っ越してきた。
同い年ということもあって、仲良くなれそうだと思ったら……。
黒猫のような小動物に遮られる。
「母ちゃんを、おかずにすんなよ!」
そう叫ぶのは、その人妻よりもかなり背の低い少女。
肌が小麦色に焼けていて、艶のあるショートヘア。
それよりも象徴的なのは、その大きな瞳。
ピンク色のワンピースを着ているし、てっきり女の子だと思ったら……。
母親である人妻が「こぉら、航太」と注意する。
その名前に衝撃を覚える翔、そして母親を守ろうと敵視する航太。
すれ違いから始まる、日常系ラブコメ。
(女装は少なめかもしれません……)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる