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第二十四章 夏だ! プールだ! 男の娘の水着だ!
更衣室は着替える行為のみ許されています。
しおりを挟むアインアインプールの大きな門をくぐり抜けると、そこには広大な敷地に様々な形のプールがたくさんあった。
流れるプール、水面に建てられたアスレチック、スライダープール、その他にもいろんな遊べる場所が揃っていた。
「うわぁ☆ 楽しそ~☆」
横からアンナの瞳を覗くと、真夏の太陽に照らされてか、いつも以上にキラキラと輝いて見える。
「……」
俺はプールよりもアンナに見とれていた。
それに気がついたのか、彼女が俺の左腕を引っ張る。
「ねぇ、早く水着に着替えよ☆」
「おぉ……そうだったな……って、え?」
ちょっと待てよ。
アンナは今女装しているよな。
正体は男なんだから、俺と同じ男性の更衣室で着替える気か?
しかし、そうなると……股間のアンナちゃんじゃなくて、ミハイルくんが丸見えになってしまう。
一体、どうしたらいいんだ!?
考えろ、琢人!
必死に思考を巡らせるが、一向に解決策が浮かばない。
「タッくん? なにやってんの? 早く入るよ!」
「え……一緒に入るのか?」
思わず、本音が出てしまう。
「はぁ? タッくんは男の子だから、一緒には入れないよ! バカなこと言わないで。まさか、他の女の子の裸とか見たいの!? タッくんのエッチ!」
ええ……。
そこまで設定を貫くんすか?
でも、それはさすがに犯罪なのでは。
「いや……アンナ。断じてそんな意味ではない。その、あれだ。アンナが他の女性と着替えるのに、ためらいはないのか?」
俺がそう問うと、彼女は真顔で答える。
「当たり前じゃん。アンナは女の子だもん」
ぷくーっと頬を膨らませて見せる。
いや、可愛いのはわかるよ。
けどさ、限度ってもんがあるじゃない。
「だがしかし……」
「もう! タッくんがそんなエッチな人だと思わなかった! アンナ、タッくんが喜ぶと思って、新しい水着を用意してたのに……フン!」
そう言って、アンナはスタスタと更衣室に入ってしまった。
もちろん、女性専用のだ。
女装男子専用は、今のところないからね。
一人残された俺は、とりあえず、男性の更衣室に入っていったが、アンナの正体が他の女性にバレるのではないか? と不安で頭がいっぱいだった。
「まあ、股間さえ隠せば、大丈夫……か」
そう自分に言い聞かせて、水着に着替える。
中学生時代に学校から支給された水着。
『3-1 新宮 琢人』
と名前がつけられているので、迷子になっても無問題。
ロッカーから財布を取り出し、現金を防水用の首かけポーチに移す。
そして、防水ケースに入れたスマホと自撮り棒を持って、いざ出陣。
これはあれだ。
グラビアアイドルの水着撮影会に参加するガチオタの姿と酷似している。
だが、それでいい!
アンナの可愛い水着姿を、脳裏に焼きつけるだけでは足りん!
しかと、デジタルフォトとして記録しておかねば。
「よし!」
覚悟を決めて、更衣室から出ると、既にプールサイドには、一人の天使が立っていた。
白のビーチサンダルを履いていて、スラッと伸びた白くて細い脚。
太ももに深く食い込むピンクのボトムス。フリル付きで、彼女らしい。
トップスも同様にフリルで覆われており、胸元は控えめなサイズ。
黄金色の長髪は、頭の真ん中でお団子状に纏められていた。
その子は、俺に気がつくと、笑顔で手を振る。
「タッく~ん☆ こっちこっち!」
俺は唇を噛みしめて、今まで死ななくて良かったと、心の底からそう思えた。
母さん、産んでくれてありがとう。教育に関してはクソ親だけど。
この時のために、俺は生き残ってきたんだな……。
グッと拳を作って、ガッツポーズ。
やったぜ!
「ねぇ、タッくん? どうしたの?」
気がつくと、その水辺の天使は距離を縮め、俺の顔を覗き込む。
無防備なことに、腰をかがめて、手はお尻の後ろにやる。
こ、これは……世に聞く伝説のグラビアアイドル『ヒナ』が編み出した『ヒナポーズ』では!?
だが、ヒナとは違い、胸がぺったんこだ。
谷間なんて皆無。
だが、それがいい!
「タッくんってば! 熱でもあるの?」
人が余韻に浸っていると、更にグイグイと俺に身を寄せる。
グリーンアイズの瞳が、なんとも綺麗だ。
小さな唇も、ピンク色の口紅がぬられていて、プルンと柔らかそう。
いかんいかん!
首を強く左右に振る。
このままでは、自然の流れでキッスをしてしまいそうだった。
取材だ、取材。
これはラブコメに必要なことだ。
初心を忘れちゃいけない。
「待たせたか? アンナ」
「ううん☆ タッくんこそ、急がなかった? アンナは前もって家で水着を着てきたから、すぐに出れたけど」
なるほど。
だから、他の女性にバレなかったのか。
「さっきのバナナも持ってきたから、あとでプールで遊ぼ☆」
「おおう」
先ほど、俺が死ぬ思いで膨らませたバナナの浮き輪が地面に置いてあった。
ん? そう言えば、女装しているから忘れていたが、彼女のバナナが見当たらない。
ジッとアンナのビキニラインを眺める。
ちゃんと、おてんおてんのもっこり具合を確かめないと。
「ん~」
ない。
以前、ミハイルがブルマを着用していた時は、確かに矮小なふぐりを見ることができた。
アンナにはそれがない。
なぜだ?
確かラブホでスク水のコスプレしてた時も、つるんとした股間だった。
黙って、彼女の股間を凝視していたら、アンナがボンッと音を立てて、顔を真っ赤にさせる。
「ちょ、ちょっと! タッくんってば、どこ見てんの!」
ポカポカと、俺の胸板を叩く。
あ~、彼女の小さな手が当たって、気持ちが良い~
「す、すまん……その水着が似合っていて、ついな……」
こういう時は褒めて逃げよう。
「え……この色、好き?」
頬を赤らめて身体をくねくねとする。
照れているようだ。
「ああ、すごく好きだ。可愛いと思う」
「そ、そっか……良かったぁ☆」
「なあ、一枚写真撮ってもいいか?」
「うん……いい、よ」
上目遣いで、俺の目を真っすぐ見つめる。
※
その後、アンナを近くのヤシの木に立たせて、写真大会の始まり。
一枚なんてわけない。
連写で数千枚は撮った。
「アンナ、次は座って片脚を伸ばしてみてくれ。それから、視線はこちらに」
「えぇ、まだ撮るの? もう、これで30回目じゃない?」
呆れながらも、しっかり俺のリクエストに応えてくれる。
「いや、これはれっきとした取材なんだ」
ウソだけど。
「なら仕方ないよね☆」
「うん、仕方ない」(棒読み)
俺たちは、小一時間、プールサイドで撮影を繰り返した。
周りの客たちは、俺とアンナのことを芸能人とカメラマンの間柄と錯覚するほどに。
「ねぇねぇ、ママ。あのお姉ちゃん、げいのーじん?」
「しっ! 見ちゃダメよ! あのお姉ちゃんはきっと卑猥な本の撮影しているんだから!」
「パパはあの子のグラビア出たら、買うけどな……」
売らねーから!
この撮影は俺専用なの!
「ねぇ、タッくん。そろそろもう良いかな? 暑いし、まだサンオイルも塗ってないし……」
「すまん、そろそろやめよう」
ん? 今、サンオイルって単語が出たような。
「背中だけぬってくれる?」
気がつくと、アンナはビニールシートを広げ、うつ伏せに寝ていた。
自ずと、桃のような小さなお尻が、目に入る。
ごくり……生唾を飲み込む。
「俺がぬってもいいのか?」
「うん。だって背中とお尻は自分じゃ無理だから」
つまり、背中とお尻は俺の手で直接触って良いと、捉えていいですね。
サンオイルの蓋を開け、ブジュッと音を立ててたっぷり白濁液を、彼女の白い背中に流し落とす。
冷たかったせいか、アンナは「キャッ」と可愛らしい声をあげた。
そして、俺はゆっくりゆっくりと、彼女の身体にオイルを伸ばしてあげる。
特にお尻を重点的に。
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