96 / 490
第十三章 パーティスクール
生中継は難しい
しおりを挟む
午前の授業は全部終了し、昼休憩に入る。
いつもの如く、俺は自分で作った弁当を取り出す。
ミハイルは珍しく弁当を持ってきていた。
可愛らしいネッキーとネニーのプリントが入った弁当袋。
そこからハート型の弁当箱が出てくる。
「珍しいな、ミハイルが弁当を持ってくるとか」
すると彼はどこか自信たっぷりな顔で語り出す。
「今日は朝早く起きて作ったんだぞ☆」
偉いじゃん。
「なら今回は俺の弁当はやらなくてもいいわけだ」
毎度、卵焼きをアーンしてやっていたもんな。
「そ、そのことなんだけど……」
顔を赤くしてモジモジしだす。
「なんだ?」
「オレの弁当とタクトの弁当、交換しない?」
「え?」
「だ、ダメかな?」
潤んだ瞳で見つめるその姿にアンナを重ねてしまう。
思わずドキッとしてしまった。
「まあ構わんけど」
「やった☆」
俺はミハイルの可愛らしい弁当と自分の素っ気ない弁当を交換した。
蓋を開けると、俺はドン引きした。
「こ、これは……」
白飯にでっかいハートで桜でんぷでデコってある。
おかずはタコさんウインナー、ハートの形のニンジン、ポテトサラダ、スパゲティ、ミニトマト、ピーマンの肉詰め。
色どりが良すぎ。
「ミハイルが作ったのか?」
「そだよ☆」
そう言えば、アンナモードも料理上手かったもんね。
忘れてました。
「じゃあいただきます」
「あ、スープもあるぞ☆」
ミハイルは水筒を取り出すと、コップに何かを注ぐ。
渡されると温かみを感じた。
「これは?」
「トマトスープだよ☆ 身体があったまるしリコピンも取れるし」
OLかよ。
「ああ、すまんな。ありがとう」
「これぐらい、なんてこないよ☆ タクトが料理苦手なだけだろ」
いや、あなたが意識高すぎなんでしょ。
俺はスープをふうふうと冷ましながらすする。
ほのかな酸味と甘みが俺の疲れを癒す。
スープが喉に入ると全身が暖まっていく。
「うん、うまいな」
「よかった……」
ミハイルはなぜかまたモジモジしながら恥ずかしがっている。
「じゃあオレもタクトのご飯いただきまーす☆」
俺の弁当は相変わらず卵焼き以外は全部冷食の手抜きなんだけどな。
めっさ嬉しそうに食べるミハイル。
やだ、なんか泣けてきた。
「おいしー☆」
ダメなお母さんでごめんなさい……。
俺は半分涙目でミハイルの弁当を食べだした。
すると左隣りに座っていた北神が話しかける。
「ねぇ、お昼にあすかちゃんの生中継あるんでしょ? 見ようよ」
あ、すっかり忘れてた。
ミハイルの弁当が美味しすぎて、超どうでもいい。
「ああ、そうだったな」
すごく冷めきった声で囁いた。
「あすかってアイドルなんだよね?」
え、ミハイルさん、もう呼び捨ての仲になったの?
「そうそう、福岡で有名なアイドルグループ『もつ鍋水炊きガールズ』のセンターをやっているんだよ」
北神が説明するけど、もう嫌なぐらい覚えているよ。そのダサいユニット。
「ふーん」
ミハイルも聞いといて大して興味なさそう。
「じゃあそんな有名人を生で見てみるか」
俺はスマホを取り出して、横向きにして机に立てる。
テレビモードにしてチャンネルをポチポチと適当に変えていく。
一つの番組が目に入った。
『日曜日の午後は天神野郎! はじまります~!』
やけにテンションが高いローカル芸人が司会をはじめる。
隣りには笑顔の女子アナ。
天神のメインストリート、渡辺通り近くにある公園。
警固公園でロケをしている。
何人かのギャラリーがカメラを見ている。
まあ大半がテレビに映りたいという輩ばかりだが。
『今日はゲストに福岡発のアイドル、もつ鍋水炊きガールズの皆さんに来てもらいました!』
「きたきた!」
興奮する北神。
「ほう、本当にテレビで出演するのか。俺はケーブルテレビとかだと思ってたが」
「この番組、初めて見た」
ミハイルはボーッと画面を見ている。
ていうか、この人本当にテレビ見ないんだな。
『では、自己紹介をどうぞ!』
司会の芸人に振られ、カメラがアイドル達に向けられる。
そこには3人の女の子が立っていた。
ミニ丈のワンピースタイプの衣装を着ていて、もつ鍋のプリントがされている。
頭にはカチューシャをしているんだが、水炊きの装飾があった。
ピアスは左がもつ鍋、右が水炊き。
こいつらのスポンサーは福岡の鍋業界じゃないか?
『あ、あの……もつ鍋、み、水炊きガールズです!』
噛みまくりの幸先悪いスタート。
長浜 あすかは俺と話している時とは違い、かなり緊張しているようで、お得意の自己紹介ができていない。
「なんだ、長浜のやつ。緊張してんのか?」
トップアイドルじゃなかったのかよ。
『もつもつ、グツグツしちゃうぞ! 福岡生まれ福岡育ち、明太子大好き、あすかちゃんでーす!』
額の前で可愛らしくピースしてウインク。
痛々しいな。
『おお、さすがアイドルですねぇ、可愛いですね』
この司会、本当にそう思っているんだろうか?
『あ、よく言われますぅ~』
そこは否定しとけ。
『じゃあ、今日はあすかちゃんたちの新曲を披露してくれるんだよね?』
『はい、今週発売の15thシングル、シメはチャンポンor雑炊です!』
「ブフッ!」
思わず吹き出してしまった。
クソみたいな曲名だ。
『じゃあ、もつ鍋水炊きガールズの皆さんで、シメはチャンポンor雑炊でーす』
司会の芸人は特に突っ込むこともなく、さらっと曲紹介。
すると天神のど真ん中で歌いだす。
スピーカーが用意されていたが、かなり音が悪く割れている。
長浜とその二人が音楽と共にダンスを始めるが、かなりキレが悪い。
歌いだすとこれまた下手くそな歌声、クオリティが全体的に低い。
よくこんなんでデビューしているよな。
何よりも観ていて辛いのは彼女たちの歌っているバックが気になる。
警固公園を何人もの人が長浜を目にとめるわけでもなく、素通りしていく。
たまに足を止めてチラッと数秒ぐらいは見てくれるけど途中で飽きて、どこかへ行ってしまう。
本当にトップアイドルなの?
ファンがいないじゃん。
「いや、なんか見ていて辛いな……」
見ちゃいけないものを見ている気がする。
「ええ、なんで可愛いじゃん。おかずになりそうな子たちじゃん」
お前はそれしか考えてないのかよ。キモいから近寄るな。
「ミハイルはどう思う?」
「ん、オレはアイドルとか詳しくないからわかんないけど、いいんじゃない?」
超適当じゃん。
数分間の地獄のようなパフォーマンスを終えると、息を切らして汗だくの長浜のアップ画面でCMに入った。
放送事故じゃん。
こんなレベルで公共の電波を汚すんじゃないよ。
「すごいねぇ、さっきまで一緒に勉強をしていた子がテレビに出てたんだよ」
ほのかはえらく感動しているようだ。
俺と言えば、黙ってスマホを閉じた。
「どうだった、あすかちゃんのテレビ?」
「どうもこうもないだろ……あれで芸能人なのかよ。シングルを15枚も出しておいてあのレベルじゃ売れないだろ」
というか、事務所が太っ腹すぎだろ、あんな下手くそな地下アイドルにそこまで金を使うとか。
俺が社長なら即契約解除だ。
「ええ、可愛いからいいんだよ」
出たよ、アイドル養護発言。
「だがな、あのレベルならもっと上がいるだろ? ルックスも歌もダンスも……」
「それはそうだけど……ミハイルくんはどう思う?」
「ん? ごめん、聞いてなかった」
酷い、残酷すぎるミハイルさん。
「だいたい長浜の目標ってなんなんだ? 福岡でてっぺん獲るのが夢か?」
「えっと……」
そう言うとほのかはスマホで何やら検索しだす。
「オフィシャルホームページにはあすかちゃんの夢が書いてあるよ」
「ほう」
「んとね、レコード大賞、紅白、月9ドラマ、朝の連ドラ、アカデミー賞、グラミー賞、ゴールデングローブ賞、あと……」
強欲すぎるだろ。
海外にいけるか、あんな奴。
「もういいわ、とりあえず志が高いアイドルだってのはよくわかった」
「タクトの弁当おいしかった~☆」
ミハイルの笑顔の方が一番輝いて見えます。
いつもの如く、俺は自分で作った弁当を取り出す。
ミハイルは珍しく弁当を持ってきていた。
可愛らしいネッキーとネニーのプリントが入った弁当袋。
そこからハート型の弁当箱が出てくる。
「珍しいな、ミハイルが弁当を持ってくるとか」
すると彼はどこか自信たっぷりな顔で語り出す。
「今日は朝早く起きて作ったんだぞ☆」
偉いじゃん。
「なら今回は俺の弁当はやらなくてもいいわけだ」
毎度、卵焼きをアーンしてやっていたもんな。
「そ、そのことなんだけど……」
顔を赤くしてモジモジしだす。
「なんだ?」
「オレの弁当とタクトの弁当、交換しない?」
「え?」
「だ、ダメかな?」
潤んだ瞳で見つめるその姿にアンナを重ねてしまう。
思わずドキッとしてしまった。
「まあ構わんけど」
「やった☆」
俺はミハイルの可愛らしい弁当と自分の素っ気ない弁当を交換した。
蓋を開けると、俺はドン引きした。
「こ、これは……」
白飯にでっかいハートで桜でんぷでデコってある。
おかずはタコさんウインナー、ハートの形のニンジン、ポテトサラダ、スパゲティ、ミニトマト、ピーマンの肉詰め。
色どりが良すぎ。
「ミハイルが作ったのか?」
「そだよ☆」
そう言えば、アンナモードも料理上手かったもんね。
忘れてました。
「じゃあいただきます」
「あ、スープもあるぞ☆」
ミハイルは水筒を取り出すと、コップに何かを注ぐ。
渡されると温かみを感じた。
「これは?」
「トマトスープだよ☆ 身体があったまるしリコピンも取れるし」
OLかよ。
「ああ、すまんな。ありがとう」
「これぐらい、なんてこないよ☆ タクトが料理苦手なだけだろ」
いや、あなたが意識高すぎなんでしょ。
俺はスープをふうふうと冷ましながらすする。
ほのかな酸味と甘みが俺の疲れを癒す。
スープが喉に入ると全身が暖まっていく。
「うん、うまいな」
「よかった……」
ミハイルはなぜかまたモジモジしながら恥ずかしがっている。
「じゃあオレもタクトのご飯いただきまーす☆」
俺の弁当は相変わらず卵焼き以外は全部冷食の手抜きなんだけどな。
めっさ嬉しそうに食べるミハイル。
やだ、なんか泣けてきた。
「おいしー☆」
ダメなお母さんでごめんなさい……。
俺は半分涙目でミハイルの弁当を食べだした。
すると左隣りに座っていた北神が話しかける。
「ねぇ、お昼にあすかちゃんの生中継あるんでしょ? 見ようよ」
あ、すっかり忘れてた。
ミハイルの弁当が美味しすぎて、超どうでもいい。
「ああ、そうだったな」
すごく冷めきった声で囁いた。
「あすかってアイドルなんだよね?」
え、ミハイルさん、もう呼び捨ての仲になったの?
「そうそう、福岡で有名なアイドルグループ『もつ鍋水炊きガールズ』のセンターをやっているんだよ」
北神が説明するけど、もう嫌なぐらい覚えているよ。そのダサいユニット。
「ふーん」
ミハイルも聞いといて大して興味なさそう。
「じゃあそんな有名人を生で見てみるか」
俺はスマホを取り出して、横向きにして机に立てる。
テレビモードにしてチャンネルをポチポチと適当に変えていく。
一つの番組が目に入った。
『日曜日の午後は天神野郎! はじまります~!』
やけにテンションが高いローカル芸人が司会をはじめる。
隣りには笑顔の女子アナ。
天神のメインストリート、渡辺通り近くにある公園。
警固公園でロケをしている。
何人かのギャラリーがカメラを見ている。
まあ大半がテレビに映りたいという輩ばかりだが。
『今日はゲストに福岡発のアイドル、もつ鍋水炊きガールズの皆さんに来てもらいました!』
「きたきた!」
興奮する北神。
「ほう、本当にテレビで出演するのか。俺はケーブルテレビとかだと思ってたが」
「この番組、初めて見た」
ミハイルはボーッと画面を見ている。
ていうか、この人本当にテレビ見ないんだな。
『では、自己紹介をどうぞ!』
司会の芸人に振られ、カメラがアイドル達に向けられる。
そこには3人の女の子が立っていた。
ミニ丈のワンピースタイプの衣装を着ていて、もつ鍋のプリントがされている。
頭にはカチューシャをしているんだが、水炊きの装飾があった。
ピアスは左がもつ鍋、右が水炊き。
こいつらのスポンサーは福岡の鍋業界じゃないか?
『あ、あの……もつ鍋、み、水炊きガールズです!』
噛みまくりの幸先悪いスタート。
長浜 あすかは俺と話している時とは違い、かなり緊張しているようで、お得意の自己紹介ができていない。
「なんだ、長浜のやつ。緊張してんのか?」
トップアイドルじゃなかったのかよ。
『もつもつ、グツグツしちゃうぞ! 福岡生まれ福岡育ち、明太子大好き、あすかちゃんでーす!』
額の前で可愛らしくピースしてウインク。
痛々しいな。
『おお、さすがアイドルですねぇ、可愛いですね』
この司会、本当にそう思っているんだろうか?
『あ、よく言われますぅ~』
そこは否定しとけ。
『じゃあ、今日はあすかちゃんたちの新曲を披露してくれるんだよね?』
『はい、今週発売の15thシングル、シメはチャンポンor雑炊です!』
「ブフッ!」
思わず吹き出してしまった。
クソみたいな曲名だ。
『じゃあ、もつ鍋水炊きガールズの皆さんで、シメはチャンポンor雑炊でーす』
司会の芸人は特に突っ込むこともなく、さらっと曲紹介。
すると天神のど真ん中で歌いだす。
スピーカーが用意されていたが、かなり音が悪く割れている。
長浜とその二人が音楽と共にダンスを始めるが、かなりキレが悪い。
歌いだすとこれまた下手くそな歌声、クオリティが全体的に低い。
よくこんなんでデビューしているよな。
何よりも観ていて辛いのは彼女たちの歌っているバックが気になる。
警固公園を何人もの人が長浜を目にとめるわけでもなく、素通りしていく。
たまに足を止めてチラッと数秒ぐらいは見てくれるけど途中で飽きて、どこかへ行ってしまう。
本当にトップアイドルなの?
ファンがいないじゃん。
「いや、なんか見ていて辛いな……」
見ちゃいけないものを見ている気がする。
「ええ、なんで可愛いじゃん。おかずになりそうな子たちじゃん」
お前はそれしか考えてないのかよ。キモいから近寄るな。
「ミハイルはどう思う?」
「ん、オレはアイドルとか詳しくないからわかんないけど、いいんじゃない?」
超適当じゃん。
数分間の地獄のようなパフォーマンスを終えると、息を切らして汗だくの長浜のアップ画面でCMに入った。
放送事故じゃん。
こんなレベルで公共の電波を汚すんじゃないよ。
「すごいねぇ、さっきまで一緒に勉強をしていた子がテレビに出てたんだよ」
ほのかはえらく感動しているようだ。
俺と言えば、黙ってスマホを閉じた。
「どうだった、あすかちゃんのテレビ?」
「どうもこうもないだろ……あれで芸能人なのかよ。シングルを15枚も出しておいてあのレベルじゃ売れないだろ」
というか、事務所が太っ腹すぎだろ、あんな下手くそな地下アイドルにそこまで金を使うとか。
俺が社長なら即契約解除だ。
「ええ、可愛いからいいんだよ」
出たよ、アイドル養護発言。
「だがな、あのレベルならもっと上がいるだろ? ルックスも歌もダンスも……」
「それはそうだけど……ミハイルくんはどう思う?」
「ん? ごめん、聞いてなかった」
酷い、残酷すぎるミハイルさん。
「だいたい長浜の目標ってなんなんだ? 福岡でてっぺん獲るのが夢か?」
「えっと……」
そう言うとほのかはスマホで何やら検索しだす。
「オフィシャルホームページにはあすかちゃんの夢が書いてあるよ」
「ほう」
「んとね、レコード大賞、紅白、月9ドラマ、朝の連ドラ、アカデミー賞、グラミー賞、ゴールデングローブ賞、あと……」
強欲すぎるだろ。
海外にいけるか、あんな奴。
「もういいわ、とりあえず志が高いアイドルだってのはよくわかった」
「タクトの弁当おいしかった~☆」
ミハイルの笑顔の方が一番輝いて見えます。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
寝込みを襲われて、快楽堕ち♡
すももゆず
BL
R18短編です。
とある夜に目を覚ましたら、寝込みを襲われていた。
2022.10.2 追記
完結の予定でしたが、続きができたので公開しました。たくさん読んでいただいてありがとうございます。
更新頻度は遅めですが、もう少し続けられそうなので連載中のままにさせていただきます。
※pixiv、ムーンライトノベルズ(1話のみ)でも公開中。
魔王(♂)に転生したので魔王(♀)に性転換したら何故か部下に押し倒された
クリーム
恋愛
女学生がファンタジー世界の魔王(♂)に転生(憑依)してしまったので、魔法で性転換したら、部下(♀)まで男体化してついでに唇まで奪われてしまったという話。
ツンデレ一途悪魔(女→男)×天然無表情魔王(女→男→女)
初っぱなで性転換してるのでほぼ普通の男女恋愛ものです。
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
完璧な姉とその親友より劣る私は、出来損ないだと蔑まれた世界に長居し過ぎたようです。運命の人との幸せは、来世に持ち越します
珠宮さくら
恋愛
エウフェシア・メルクーリは誰もが羨む世界で、もっとも人々が羨む国で公爵令嬢として生きていた。そこにいるのは完璧な令嬢と言われる姉とその親友と見知った人たちばかり。
そこでエウフェシアは、ずっと出来損ないと蔑まれながら生きていた。心優しい完璧な姉だけが、唯一の味方だと思っていたが、それも違っていたようだ。
それどころか。その世界が、そもそも現実とは違うことをエウフェシアはすっかり忘れてしまったまま、何度もやり直し続けることになった。
さらに人の歪んだ想いに巻き込まれて、疲れ切ってしまって、運命の人との幸せな人生を満喫するなんて考えられなくなってしまい、先送りにすることを選択する日が来るとは思いもしなかった。
寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!
ユウ
恋愛
エリーゼは、王妃になる予定だった。
故郷を失い後ろ盾を失くし代わりに王妃として選ばれたのは後から妃候補となった侯爵令嬢だった。
聖女の資格を持ち国に貢献した暁に正妃となりエリーゼは側妃となったが夜の渡りもなく周りから冷遇される日々を送っていた。
日陰の日々を送る中、婚約者であり唯一の理解者にも忘れされる中。
長らく魔物の侵略を受けていた東の大陸を取り戻したことでとある騎士に妃を下賜することとなったのだが、選ばれたのはエリーゼだった。
下賜される相手は冷たく人をよせつけず、猛毒を持つ薔薇の貴公子と呼ばれる男だった。
用済みになったエリーゼは殺されるのかと思ったが…
「私は貴女以外に妻を持つ気はない」
愛されることはないと思っていたのに何故か甘い言葉に甘い笑顔を向けられてしまう。
その頃、すべてを手に入れた側妃から正妃となった聖女に不幸が訪れるのだった。
完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!
音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。
頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。
都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。
「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」
断末魔に涙した彼女は……
王妃の鑑
ごろごろみかん。
恋愛
王妃ネアモネは婚姻した夜に夫からお前のことは愛していないと告げられ、失意のうちに命を失った。そして気づけば時間は巻きもどる。
これはネアモネが幸せをつかもうと必死に生きる話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる