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第三章 はじめてのがっこう

おっ! 体育の時間ですよ! その1

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 俺とミハイルはぎこちなく更衣室に入る。

 全日制コースの赤坂 ひなたのパンティーが気になって仕方ない。
 正直いって人生で、はじめてのラッキースケベだもんな。
 あ、ギャルの花鶴 ここあはチェンジで。

 対してミハイルと言えば、顔を赤らめたまま、Tシャツを脱ぐ。

「よいしょっと……」

 タンクトップとデニム生地のショートパンツ。
 どうやら、動きやすい服装になったようだ。
 だが、一番気になるのはその白い素肌。
 華奢な肩、動く度に胸元がチラチラと俺を誘惑する。

「タクト? 早く着替えろよ」

 キョトンとした顔でミハイルが俺を見つめている。
 正直、ドキッ! としたぜ。
 こいつが女だったら俺はのぞき魔だな……。
 いかんいかん! 目を覚ませ、琢人!

「ああ……ところで、古賀。お前は体操服を所持してないのか?」
「たいそーふく? オレの中学はいつも私服だったぞ?」
「……そうか」
 あえて突っ込むのはやめておこう。

 俺もせかせかと着替えだす。
 その間、チラチラとミハイルの視線が気になる。
 俺の中学時代の体操服がそんなに珍しいか?
 ブルマではないけどな……。

「じゃ、いくか」
「う、うん……」
 なぜ顔を赤らめる? 床ちゃんと会話するなよ……かわいそうに思っちゃうぜ。


 武道館には俺とミハイル以外、全員揃っていた。
 いや、あの数分でみんなどんだけ瞬間移動できたの?
 まあ女子はともかく、男子は……。

「なるほどな」
 俺は生徒たちを見渡すことで理解できた。
「なにが?」
 ミハイルが上目遣いで尋ねる。
 頼むからそんなに見つめないで……キスしたくなっちゃう。

「いやな……体操服を着ているのは俺と女子ぐらいだな」
 そうミハイルと同じく、男子は体操服に着替えておらず、私服のまま授業に参加しているのだ。
 酷いやつは恐らく上履きも履き替えておらず、土で汚れたスニーカー。
 これで体育を受ける態度と言えるのか……。

「そんなにおかしいことなのか? タクト」
「おかしいに決まっているだろ……体育とは運動しやすい格好しないと危険なんだぞ?」
「へぇ……」
 珍しく俺の高説に耳を傾けてくれるやん、ミハイルさん。

「それにだ。体育館も一見きれいにみえるが、けっこう汚いんだぞ? 私服では汚れが付着し、中々に洗濯しづらいのだ。それからケガのリスクも少しは……」

「やっかましい!」

 また鈍い音が俺の頭上で聞こえる。
 妙に暖かさを感じるんですが、出血してませんかね?

「新宮! さっさと列にならべ!」
 クッ! パワハラ+環境型セクハラ教師の宗像か……。
 教師であるお前がブルマ姿ってどんな罰ゲームだ、バカ野郎!
「うっす……」
 殴られた頭をさする。


「ミーシャ! こっちこっち~」
「おう! ミハイル!」
 そう呼び止めるのは『それいけ! ダイコン号』のお二人じゃないですか。

「あ……」
 ミハイルは俺の顔と、花鶴&千鳥コンビを交互に見つめる。
「この子ぼっちなの……」みたいな顔するな、ミハイルさん。
 なんだよ、俺が可哀そうにみえるだろう?

「俺のことは気にするな。一人でも体育はできるからな」
「ご、ごめん……」
 そう言うとミハイルは寂しげに肩を落とした。
 足早に『それいけ! ダイコン号』へとしゅっぱーつ!

「さて……」
 俺は一人非リア充グループの列に並んだ。
 ぼっち? フッ、俺クラスになればスナック感覚だぜ!
 ぴえん!
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