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最終章
2.魔王サマと劇団ショーの開幕?
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マドレーヌたちに会うこともなく無事に過ごし、今日はリオ様とクロエ姉さまの卒業式典。式典は二部構成で、午前の部は卒業する試験合格者のみが出席。成績や資格の開示、表彰等が行われ、成績優秀者やスカウト済みの者の発表も同時に行われる。ここで呼ばれない者は後継者教育をすでに始めてるか、就職したい先で座学試験や実技試験等の就職活動がこれから始まる。大体の人は卒業までに行き先が決まっているので、決まっていない人のほとんどはギルド試験を受けてハンターになりたい者しかいない。リオ様は勿論『西の公爵家の後継』に決まっているので、卒業したら西公爵邸に住む。結婚式は私の卒業と同時らしいので、あと二年先。リオ様が執務中に、アリスたちと学生生活満喫する予定!あはは~。
午後の部は、夕方から始まる父兄参加の舞踏会形式。『乙女ゲーム』とか『ラノベ』っぽいよね~。なんせ、卒業するのは貴族子女たちや有望株の平民たち。これから社交界に嫌でも出る機会の増える彼らの、今後の顔つなぎ目的の舞踏会になる。在学生は強制出席ではないので卒業生に婚約者がいなかったり、自身が『四公爵家』もしくは『他国の王侯貴族』でない限り出席しないのが普通。メインが卒業生の顔つなぎなので、邪魔になるからだ。顔つなぎされる側の『四公爵家』の娘であり、卒業生に婚約者がいるレティシアは――当然出席です。私が準備している横で、アリスは「ベルナール様とデートしてくるね!」っていい笑顔で出て行った。羨ましいぜコノヤロー・・・・・・。
現在、父兄たちが待つ会場に卒業生たちが入場し終え、残る特別参加の両陛下を待っている。だって息子さんご卒業ですしね。私は絶賛、その息子さんにガッツリ腰をホールドされていますが。何か? あ、いい笑顔でこっち見ないで!怖い!! 冷や汗が流れる寸前で、耐えて待っているところでゴザイマス。ハイ。
そして。
突然起きる、マドレーヌ劇団ショー。なんで今!? あれ?そう言えば何故、マドレーヌがいるの? 卒業まだでしょ。劇団員はともかく・・・・・・あ、誰かの婚約者になったのかな? というか、そのドレス・・・・・・おおぅ、目がチカチカする。なんか、生地がかわいそうな仕上がりのドレスね・・・・・・。
「レティシア・ロゼ・ペッシャール! 他人を虐めるような人が王子妃なんてもってのほか! よって、リオネル殿下との婚約を破棄します!!」
「「「・・・・・・は?」」」
リオ様にホールドされている私の反対側に立つクロエ姉さまと、いつの間にかクロエと婚約してたアランくんとハモった。いや、本当に何言ってるの? ちなみに『王子妃』ではないと声を大にして言いたい。リオ様が西公爵家に降りてくるんだけど・・・・・・王族籍も昨日正式に抜けちゃったし。今は『西の小公爵』が身分だよ、実は。
久しぶりにスナギツネが現れた私や、意味が分からないと首をかしげるクロエ姉さまとアランくん。会場中「ちょっと待て、なんでお前が言うんだよ」って空気の中、横から冷気が漂ってくる――え!?ちょっと待って!! 魔王サマ降臨!? どうやら、リオ様の堪忍袋の尾が切れた――のは、先日の階段落ちの所為なので、もはや限界突破したようだ。ととっと、と止めないと!! 会場中ブリザードが!! さむっ!!
「・・・・・・誰が何だって?」
「だ、だから! レティシアとリオネル殿下との婚約を破き・・・・・・」
一つだけ褒めよう。よく、ブチ切れているリオ様に油を注げることを。すごいわ・・・・・・。
「何か言いたいことがあるのかな?」
「「「・・・・・・」」」
いい笑顔でゴテゴテ意匠のドレスを纏ったマドレーヌはサラッと視界に入っていないことにされ、その他の劇団員たちに詰め寄るリオ様。無言の圧力にかかり、劇団員たちはやっと状況を理解し始めたのか、顔を青くしている。え、遅くない?
会場が更に温度が下がり、寒さで腕をさすりながら遠い目をしていたら、切れながらも着ていた上着を肩にかけてくれた。あ、火魔法でコーティングまでしてくれるんですね。ありがとうございます、温かいです。そして、器用ですね・・・・・・。
「一つ、教えてやろう。お前たちが『学院を卒業できない』という事実を」
「「「何故ですか!?」」」
「私のレティシアを・・・・・・と言いたいところだが、そもそもだ。ここ半年の授業を疎かにし、卒業試験すら受けていない奴らが普通に卒業できるわけがなかろう」
「「「あ・・・・・・」」」
「ちょっと! 無視しないでよ!!」と喚いてるマドレーヌはもちろん放置され、足から順番に凍り始めてる――本人、全く気づいてないけど。リオ様はそのまま、劇団員にほぼ切れた勢いだけで詰め寄っている。調べによると全く授業に出てないのだから、劇団員が卒業できる訳がないしね。ドン引き男、彼と違って優秀な兄も弟もいるから家を継ぐこともないし、魔法省にいるお父様の下で働くこともできないね・・・・・・かわいそうに。そんな彼の兄は、現在進行形で本物のヒロインとデート中。いいなぁ。今は、そのアツアツが羨ましいわ。
「そんなお前たちに朗報だ。魔力が少なからずともあるお前たちを放逐するわけにもいかず、困っていたのだが――北公爵がお前たちを引き取ってくれると申し出た」
「「「き、た・・・・・・」」」
あ、ルシールさんが教えてくれた『鬼軍曹』ね。私にしたら、お母様のお兄様である伯父様はものすごく姪に優しいんだけどなぁ。そんなに怖いかな? レティシアは存分に西公爵家の対魔物用海兵隊に染まっているので、討伐関係で怖いものがないだけだった――後から知ったわ。
「・・・・・・せめて、にに西ではダメですか?」
「・・・・・・馬鹿なのか? 西が一体誰の家だと思っているのだ」
「「「あ・・・・・・」」」
「ねえ!? わたし放っておいて、何の話してるの!? って、さむ!!」
「じゃっじゃあ、ひがし・・・・・・」
「授業もままならず、人を貶めるしか能のない奴らが、礼儀作法が完璧だとは思わないが?」
「えっと・・・・・・ちなみにですけど、みな、みは・・・・・・」
「実力が伴わないお前たちが南に行けると?」
「「「・・・・・・」」」
「ねえ!? だから、何のはな・・・・・・」
最後まで喚くまでに、見事なマドレーヌ像が出来上がった。口が開いてて、少々見た目はよろしくないけど。マドレーヌはとことん無視なのですね。
「北は沿岸近くにリヴァイアサンの群生地が広がり、空からワイバーンの襲撃が激しい。全ての国民のために、広大な農地を守る手が必要な場所だ。よかったな、お前たちみたいなのを受け入れてくれる場所があって。北公の申し出、ありがたく受けることだな」
諦めたのか、言っても無駄だと気付いたのかわからないが、膝から崩れ落ちる劇団員たち。受け入れたってことで、いいのかな? 仕事できる場所があるだけよかったんじゃないかなぁと思うのは、かつて『乙女ゲームの破滅』を予想していた私だからだったのかもしれない。あ、父兄の方で女性が倒れてる・・・・・・あぁ、彼らのお母様方ね。ご愁傷様としか言えないというか、毎日学院に通っているのにまさか授業に出てないなんて――思わないか。一人だけ凛と立っている女性がいるけど、ドン引き男のお母様か。他の優秀なご兄弟がいるから、いいのかな? あの顔は、良さそうね。後でリオ様に彼らのお家の処遇――やっぱり、聞かないでおこう。なんか、怖いしね。
リオ様は『準備した物』をほぼ使うこともなく、この場を収めてしまった。使わなかった物に関しては北公にお渡しして、彼らが逃げ出した時のお説教に使うそうです・・・・・・何かは聞きません。
私が前世を思い出し覚悟していた破滅は無く、突如始まった『マドレーヌ劇場』はブチ切れたリオ様の勢いだけであっさりと終わった。身構えていた分、あっけなかったけど・・・・・・これで良かったのかもしれない。
劇団員たちは氷漬けのマドレーヌと一緒に、両陛下が入場されるまでに騎士様方に連行されていった。綺麗に片付いた会場は暖を取り戻し、舞踏会は何事もなかったかのように再開された。明日、いろいろと頑張ってくれたリオ様に――お礼のご飯でも作ろうかな。
午後の部は、夕方から始まる父兄参加の舞踏会形式。『乙女ゲーム』とか『ラノベ』っぽいよね~。なんせ、卒業するのは貴族子女たちや有望株の平民たち。これから社交界に嫌でも出る機会の増える彼らの、今後の顔つなぎ目的の舞踏会になる。在学生は強制出席ではないので卒業生に婚約者がいなかったり、自身が『四公爵家』もしくは『他国の王侯貴族』でない限り出席しないのが普通。メインが卒業生の顔つなぎなので、邪魔になるからだ。顔つなぎされる側の『四公爵家』の娘であり、卒業生に婚約者がいるレティシアは――当然出席です。私が準備している横で、アリスは「ベルナール様とデートしてくるね!」っていい笑顔で出て行った。羨ましいぜコノヤロー・・・・・・。
現在、父兄たちが待つ会場に卒業生たちが入場し終え、残る特別参加の両陛下を待っている。だって息子さんご卒業ですしね。私は絶賛、その息子さんにガッツリ腰をホールドされていますが。何か? あ、いい笑顔でこっち見ないで!怖い!! 冷や汗が流れる寸前で、耐えて待っているところでゴザイマス。ハイ。
そして。
突然起きる、マドレーヌ劇団ショー。なんで今!? あれ?そう言えば何故、マドレーヌがいるの? 卒業まだでしょ。劇団員はともかく・・・・・・あ、誰かの婚約者になったのかな? というか、そのドレス・・・・・・おおぅ、目がチカチカする。なんか、生地がかわいそうな仕上がりのドレスね・・・・・・。
「レティシア・ロゼ・ペッシャール! 他人を虐めるような人が王子妃なんてもってのほか! よって、リオネル殿下との婚約を破棄します!!」
「「「・・・・・・は?」」」
リオ様にホールドされている私の反対側に立つクロエ姉さまと、いつの間にかクロエと婚約してたアランくんとハモった。いや、本当に何言ってるの? ちなみに『王子妃』ではないと声を大にして言いたい。リオ様が西公爵家に降りてくるんだけど・・・・・・王族籍も昨日正式に抜けちゃったし。今は『西の小公爵』が身分だよ、実は。
久しぶりにスナギツネが現れた私や、意味が分からないと首をかしげるクロエ姉さまとアランくん。会場中「ちょっと待て、なんでお前が言うんだよ」って空気の中、横から冷気が漂ってくる――え!?ちょっと待って!! 魔王サマ降臨!? どうやら、リオ様の堪忍袋の尾が切れた――のは、先日の階段落ちの所為なので、もはや限界突破したようだ。ととっと、と止めないと!! 会場中ブリザードが!! さむっ!!
「・・・・・・誰が何だって?」
「だ、だから! レティシアとリオネル殿下との婚約を破き・・・・・・」
一つだけ褒めよう。よく、ブチ切れているリオ様に油を注げることを。すごいわ・・・・・・。
「何か言いたいことがあるのかな?」
「「「・・・・・・」」」
いい笑顔でゴテゴテ意匠のドレスを纏ったマドレーヌはサラッと視界に入っていないことにされ、その他の劇団員たちに詰め寄るリオ様。無言の圧力にかかり、劇団員たちはやっと状況を理解し始めたのか、顔を青くしている。え、遅くない?
会場が更に温度が下がり、寒さで腕をさすりながら遠い目をしていたら、切れながらも着ていた上着を肩にかけてくれた。あ、火魔法でコーティングまでしてくれるんですね。ありがとうございます、温かいです。そして、器用ですね・・・・・・。
「一つ、教えてやろう。お前たちが『学院を卒業できない』という事実を」
「「「何故ですか!?」」」
「私のレティシアを・・・・・・と言いたいところだが、そもそもだ。ここ半年の授業を疎かにし、卒業試験すら受けていない奴らが普通に卒業できるわけがなかろう」
「「「あ・・・・・・」」」
「ちょっと! 無視しないでよ!!」と喚いてるマドレーヌはもちろん放置され、足から順番に凍り始めてる――本人、全く気づいてないけど。リオ様はそのまま、劇団員にほぼ切れた勢いだけで詰め寄っている。調べによると全く授業に出てないのだから、劇団員が卒業できる訳がないしね。ドン引き男、彼と違って優秀な兄も弟もいるから家を継ぐこともないし、魔法省にいるお父様の下で働くこともできないね・・・・・・かわいそうに。そんな彼の兄は、現在進行形で本物のヒロインとデート中。いいなぁ。今は、そのアツアツが羨ましいわ。
「そんなお前たちに朗報だ。魔力が少なからずともあるお前たちを放逐するわけにもいかず、困っていたのだが――北公爵がお前たちを引き取ってくれると申し出た」
「「「き、た・・・・・・」」」
あ、ルシールさんが教えてくれた『鬼軍曹』ね。私にしたら、お母様のお兄様である伯父様はものすごく姪に優しいんだけどなぁ。そんなに怖いかな? レティシアは存分に西公爵家の対魔物用海兵隊に染まっているので、討伐関係で怖いものがないだけだった――後から知ったわ。
「・・・・・・せめて、にに西ではダメですか?」
「・・・・・・馬鹿なのか? 西が一体誰の家だと思っているのだ」
「「「あ・・・・・・」」」
「ねえ!? わたし放っておいて、何の話してるの!? って、さむ!!」
「じゃっじゃあ、ひがし・・・・・・」
「授業もままならず、人を貶めるしか能のない奴らが、礼儀作法が完璧だとは思わないが?」
「えっと・・・・・・ちなみにですけど、みな、みは・・・・・・」
「実力が伴わないお前たちが南に行けると?」
「「「・・・・・・」」」
「ねえ!? だから、何のはな・・・・・・」
最後まで喚くまでに、見事なマドレーヌ像が出来上がった。口が開いてて、少々見た目はよろしくないけど。マドレーヌはとことん無視なのですね。
「北は沿岸近くにリヴァイアサンの群生地が広がり、空からワイバーンの襲撃が激しい。全ての国民のために、広大な農地を守る手が必要な場所だ。よかったな、お前たちみたいなのを受け入れてくれる場所があって。北公の申し出、ありがたく受けることだな」
諦めたのか、言っても無駄だと気付いたのかわからないが、膝から崩れ落ちる劇団員たち。受け入れたってことで、いいのかな? 仕事できる場所があるだけよかったんじゃないかなぁと思うのは、かつて『乙女ゲームの破滅』を予想していた私だからだったのかもしれない。あ、父兄の方で女性が倒れてる・・・・・・あぁ、彼らのお母様方ね。ご愁傷様としか言えないというか、毎日学院に通っているのにまさか授業に出てないなんて――思わないか。一人だけ凛と立っている女性がいるけど、ドン引き男のお母様か。他の優秀なご兄弟がいるから、いいのかな? あの顔は、良さそうね。後でリオ様に彼らのお家の処遇――やっぱり、聞かないでおこう。なんか、怖いしね。
リオ様は『準備した物』をほぼ使うこともなく、この場を収めてしまった。使わなかった物に関しては北公にお渡しして、彼らが逃げ出した時のお説教に使うそうです・・・・・・何かは聞きません。
私が前世を思い出し覚悟していた破滅は無く、突如始まった『マドレーヌ劇場』はブチ切れたリオ様の勢いだけであっさりと終わった。身構えていた分、あっけなかったけど・・・・・・これで良かったのかもしれない。
劇団員たちは氷漬けのマドレーヌと一緒に、両陛下が入場されるまでに騎士様方に連行されていった。綺麗に片付いた会場は暖を取り戻し、舞踏会は何事もなかったかのように再開された。明日、いろいろと頑張ってくれたリオ様に――お礼のご飯でも作ろうかな。
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