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第一章
6.欲しくないモノ(2)
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ここ一年のお勉強は、マナー以外に歴史や初歩的な勉強も増えた。おかげで分かったのは、『乙女ゲームの世界』というよりも『乙女ゲームの素になった世界』だと言うこと。
この世界は、主神である女神セラータ様が創った『魔法が使える世界』。人々の発展のために魔法が使えるようにしてあり、西大陸は特に魔法研究が捗った。その中でも魔法を極めた国が我が国。他は魔法を道具として使えるように魔導具を研究開発し発展したフリジア、薬草を発見し医療系魔法を確立したホスタ、西大陸で発展した物を中央大陸との貿易で流通させたネモフィルに、大叔母様が嫁がれた魔法娯楽が盛んなセンパスチル。この五つの国が、西大陸を統べている。
中央大陸も魔法でそれぞれ発展していったそうだが、どの大陸も問題だったのが『食の発展』。魔法が発展し便利な生活が出来るようにはなったが、発展させた人々は如何せん研究肌の者が多く、研究にのめり込みすぎて食が疎かになり『食の発展』はしなかった。人が生きていく中で大切な食事を抜くことが多々あり、栄養失調等の起因で人口がなかなか増えず、困った女神様が人の発展の為にと『招喚術』を各王族たちへ授けた。
様々な制約がある中招喚された他の世界の人々のおかげで食だけではなく、製法や食品加工等の様々な技術や物が発展していく。そんなある日、中央大陸のとある王族が禁忌を犯す。
『招喚者』はアルバの発展の為に他世界から喚ばれる為、アルバで生きていけるよう全ての魔法が使えるように女神様から授かり、招喚される。そう、弱くたって全属性の攻撃防御魔法が使える。そのため、招喚術を行う時は必ず「軍事利用しない」と女神様に誓約しなければいけないのだが・・・・・・誓約はただの口約束だと言い切り、中央大陸にあった某国が『戦道具』として強制召喚を乱発。怒った女神様が『招喚術』を全王族から取り上げ、怒りを買った某国を消滅させた。それが、今からおよそ百年前。おかげで、二度と招喚は出来ないので、今まで根付いた物だけで発展してきた、中途半端に食の発展をした世界が出来上がった。
だからお菓子もあるし、調味料なども一通り手に入るが、伝わり方がイマイチで一部伝わっていないものもあるし、そこからの発展もない。それで琥珀糖が伝え漏れててもおかしくないのか・・・・・・。味噌も味噌汁しか使い道がなかったのは、伝わり損なったんだね。
ちなみに、料理関係ならすぐ頭に入る私のために、勉学の家庭教師ジロー・ロゼ・ルブーフ先生が他の発展も料理の話から導入して教えてくださってます。ルブーフ先生は、我が領内の勉学の講師達を育てる機関を作り、高位貴族から平民まで分け隔てのない教えをする、教育に力を入れているダンディーなおじ様。沢山の生徒をみてきた彼のおかげで、個人に合った歴史の勉強がとても興味深かく、これからまだまだ続くので楽しみです。父も幼少期に教わったらしく、父は魔物関連から入ったそう。先生の引き出し凄いなぁ・・・・・・。
魔法制御も無事始まりましたが、これが中々難しいんです! ラノベ的展開だと、日本人の妄想力でどうにかいけそうな気がするんだけど・・・・・・出来過ぎちゃうんです。威力の弱い生活魔法だけでも強すぎて、制御して弱く使うのが難しい。元々土地を治めるのに魔物と戦う必要があり、魔力量が多い者が貴族になった為、貴族は私のように使えすぎる人が多く、五歳から制御訓練を始めると属性鑑定時に教えていただいた。
属性は遺伝しなくとも魔力内包量は遺伝するようだが、偶に先祖返りや突然変異で内包量が多い平民もいる。私の魔法の先生がこのパターン。対魔物用海兵隊の中でも珍しく『魔法専門』で活躍し、後進育成の為に現役引退されたばかりのマリオン先生。二十代半ばで、バリバリ現役のお姉様です。彼女も平民のごく普通の家庭育ちでしたが、魔法学園入学時の鑑定で魔力量がトップクラスの貴族よりも多かったそう。国立学院に編入し、魔法を極めて我が領対魔物用海兵隊の『魔法専門』になったそうです。
学院卒業時に王宮の魔法省へスカウトされたらしいが、「海の魔物が私を待っている!!」と言って蹴ったらしいです。それを聞いた時は、若干この先生大丈夫かなって心配した。けれど、蓋を開けてみれば一つの視点にとらわれず、多方面で魔法と向き合う方で、教え方が上手な先生でした。
「海の魔物が私を待っている!!」と言ったのも、初めから変人回答をしておけば何度も誘われることもないし、魔法省のトップは頭の固い人ばかりで反りが合わないから断ったと仰り、私も納得してしまった。魔法省が悪いわけではないのだが、マリオン先生と接していると伝統を重んじる魔法省では少し窮屈なのでは・・・・・・と思ってしまったので、伸び伸び狩りしながら研究できる対魔物用海兵隊でよかったんじゃないかなと思う。言葉遣いもちょこっと荒いし。
貴族は五歳の属性鑑定では、魔力量は測りません。魔力量を測るのは、貴族も国立学院入学時です。そう、乙女ゲームのイベントっぽいよね・・・・・・。でも属性が既に違うし、どちらかと言うと『乙女ゲームの素になった世界』で、実際に生きている人たちがいる世界。普通に生きているから、なるようにしかならないよね? はい!放置します!
という感じで魔法制御も始まり、もう少し制御が上達すれば基本の生活魔法の勉強が始まる予定です! 頑張るよ! しっかり学んで、是非厨房で使って料理したいからね! マリオン先生も興味津々なので、確り制御を覚えて厨房で使っていきたい。
***
戻したくない話に戻りますが、第二王子様の婿入り先としては確実に西公爵家がトップ。北公爵家は王妹様が嫁がれ、他国の婚約者を持つ男児二人が既に第一王子様の側近候補で女児がおらず。東公爵家は長女が第一王子様の婚約者になってて、双子の長男と次女は王女様と同じ三歳。南公爵家に至っては、昨年男児がお生まれになったばかり。他は第二王子様と同じ歳か少し上の侯爵家、伯爵家になり、年下でも家格としては私が上になってます。第二王子様が私か西公爵家を拒否しない限り、序列的に確実に婚約者になります――寧ろ、他の誰かに興味持て!!
そんな浅はかな願いは、軽く流されることだろうな・・・・・・。確か妹に軽く聞いた設定では、第二王子は誰一人興味なく周りを見下す俺様王子だったはず・・・・・・じゃあ、家柄だけで私決定な線濃厚では?嘘でしょ――嘘と言って!! 俺様王子なんて、ますます婚約者に欲しくない! いや、待って。既に私の性格違うし、『乙女ゲームの素になった世界』なら王子の方も、もしかしたら性格違う?そういえばお茶会で見た王子は、俺様王子っていうより寧ろ笑顔が胡散臭く見えたような・・・・・・あれ? もしかしなくともお腹が黒そうな感じ?
第二王子とはどういう人かあれこれ思案しながら目をさりげなく逸らした私に、母は確信をついてきた。
「レティ。あなたが行きたくないのは、厨房へ行く時間が減るからでしょう? 生き生きとしているのを見ると、楽しいのはよく伝わってくるけれどね。それにお話ばかりのお茶会が嫌なのでしょう?」
あぁ、やはりバレてましたか・・・・・・。そう、だから行きたくない! 妃教育なんて始まったら、今以上に愛しい厨房に会いに行けないし、お話だけでお茶請けと戯れる時間が少ないのが嫌なんです!
「そんなあなたに、良い事を教えてあげましょう。今回のお茶会はあくまでも第一王女殿下のお披露目のため、多くの子女達が挨拶に来ます。親よりも子達の方が多いお茶会です」
「・・・・・・つまり?」
「顔合わせのお茶会同様、お茶請けがたくさん出るでしょう。王宮の給仕に声をかければ、王宮料理人の方に直接聞きたい事も聞けるわよ?それに・・・・・・」
「それに?」
「王子殿下方の側近候補たちだけではなく、第一王子殿下の婚約者の側近選びもあります。つ・ま・り! その他大勢に紛れる事も可能でしょう」
「――っ!! 行きます!」
公爵令嬢なのにその他大勢に紛れてもいいかは疑問ですが、母の許しが出たのでその他大勢に混じります! 厳しい母でもなんだかんだで私に甘いので、社交をこなしておけば暫く婚約者は居なくてもいいということでしょうか? いや、まさかもう決まって・・・・・・考えない!考えない!!
それよりも! お茶請けが少なく、お話メインのお茶会だと思っていたので、沢山出るならとりあえずでも行きます! お菓子研究のために!! ついでに王宮料理人の方に、この間悩んでた再現出来なかった部分も聞きましょう!!
テンション爆上がりした私は、婚約者云々考えないように頭の片隅に追いやった。だって王子様には申し訳ないけど、中身アラサーでも外見七歳は現金なんです! 花より団子なんだよ!!
この世界は、主神である女神セラータ様が創った『魔法が使える世界』。人々の発展のために魔法が使えるようにしてあり、西大陸は特に魔法研究が捗った。その中でも魔法を極めた国が我が国。他は魔法を道具として使えるように魔導具を研究開発し発展したフリジア、薬草を発見し医療系魔法を確立したホスタ、西大陸で発展した物を中央大陸との貿易で流通させたネモフィルに、大叔母様が嫁がれた魔法娯楽が盛んなセンパスチル。この五つの国が、西大陸を統べている。
中央大陸も魔法でそれぞれ発展していったそうだが、どの大陸も問題だったのが『食の発展』。魔法が発展し便利な生活が出来るようにはなったが、発展させた人々は如何せん研究肌の者が多く、研究にのめり込みすぎて食が疎かになり『食の発展』はしなかった。人が生きていく中で大切な食事を抜くことが多々あり、栄養失調等の起因で人口がなかなか増えず、困った女神様が人の発展の為にと『招喚術』を各王族たちへ授けた。
様々な制約がある中招喚された他の世界の人々のおかげで食だけではなく、製法や食品加工等の様々な技術や物が発展していく。そんなある日、中央大陸のとある王族が禁忌を犯す。
『招喚者』はアルバの発展の為に他世界から喚ばれる為、アルバで生きていけるよう全ての魔法が使えるように女神様から授かり、招喚される。そう、弱くたって全属性の攻撃防御魔法が使える。そのため、招喚術を行う時は必ず「軍事利用しない」と女神様に誓約しなければいけないのだが・・・・・・誓約はただの口約束だと言い切り、中央大陸にあった某国が『戦道具』として強制召喚を乱発。怒った女神様が『招喚術』を全王族から取り上げ、怒りを買った某国を消滅させた。それが、今からおよそ百年前。おかげで、二度と招喚は出来ないので、今まで根付いた物だけで発展してきた、中途半端に食の発展をした世界が出来上がった。
だからお菓子もあるし、調味料なども一通り手に入るが、伝わり方がイマイチで一部伝わっていないものもあるし、そこからの発展もない。それで琥珀糖が伝え漏れててもおかしくないのか・・・・・・。味噌も味噌汁しか使い道がなかったのは、伝わり損なったんだね。
ちなみに、料理関係ならすぐ頭に入る私のために、勉学の家庭教師ジロー・ロゼ・ルブーフ先生が他の発展も料理の話から導入して教えてくださってます。ルブーフ先生は、我が領内の勉学の講師達を育てる機関を作り、高位貴族から平民まで分け隔てのない教えをする、教育に力を入れているダンディーなおじ様。沢山の生徒をみてきた彼のおかげで、個人に合った歴史の勉強がとても興味深かく、これからまだまだ続くので楽しみです。父も幼少期に教わったらしく、父は魔物関連から入ったそう。先生の引き出し凄いなぁ・・・・・・。
魔法制御も無事始まりましたが、これが中々難しいんです! ラノベ的展開だと、日本人の妄想力でどうにかいけそうな気がするんだけど・・・・・・出来過ぎちゃうんです。威力の弱い生活魔法だけでも強すぎて、制御して弱く使うのが難しい。元々土地を治めるのに魔物と戦う必要があり、魔力量が多い者が貴族になった為、貴族は私のように使えすぎる人が多く、五歳から制御訓練を始めると属性鑑定時に教えていただいた。
属性は遺伝しなくとも魔力内包量は遺伝するようだが、偶に先祖返りや突然変異で内包量が多い平民もいる。私の魔法の先生がこのパターン。対魔物用海兵隊の中でも珍しく『魔法専門』で活躍し、後進育成の為に現役引退されたばかりのマリオン先生。二十代半ばで、バリバリ現役のお姉様です。彼女も平民のごく普通の家庭育ちでしたが、魔法学園入学時の鑑定で魔力量がトップクラスの貴族よりも多かったそう。国立学院に編入し、魔法を極めて我が領対魔物用海兵隊の『魔法専門』になったそうです。
学院卒業時に王宮の魔法省へスカウトされたらしいが、「海の魔物が私を待っている!!」と言って蹴ったらしいです。それを聞いた時は、若干この先生大丈夫かなって心配した。けれど、蓋を開けてみれば一つの視点にとらわれず、多方面で魔法と向き合う方で、教え方が上手な先生でした。
「海の魔物が私を待っている!!」と言ったのも、初めから変人回答をしておけば何度も誘われることもないし、魔法省のトップは頭の固い人ばかりで反りが合わないから断ったと仰り、私も納得してしまった。魔法省が悪いわけではないのだが、マリオン先生と接していると伝統を重んじる魔法省では少し窮屈なのでは・・・・・・と思ってしまったので、伸び伸び狩りしながら研究できる対魔物用海兵隊でよかったんじゃないかなと思う。言葉遣いもちょこっと荒いし。
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という感じで魔法制御も始まり、もう少し制御が上達すれば基本の生活魔法の勉強が始まる予定です! 頑張るよ! しっかり学んで、是非厨房で使って料理したいからね! マリオン先生も興味津々なので、確り制御を覚えて厨房で使っていきたい。
***
戻したくない話に戻りますが、第二王子様の婿入り先としては確実に西公爵家がトップ。北公爵家は王妹様が嫁がれ、他国の婚約者を持つ男児二人が既に第一王子様の側近候補で女児がおらず。東公爵家は長女が第一王子様の婚約者になってて、双子の長男と次女は王女様と同じ三歳。南公爵家に至っては、昨年男児がお生まれになったばかり。他は第二王子様と同じ歳か少し上の侯爵家、伯爵家になり、年下でも家格としては私が上になってます。第二王子様が私か西公爵家を拒否しない限り、序列的に確実に婚約者になります――寧ろ、他の誰かに興味持て!!
そんな浅はかな願いは、軽く流されることだろうな・・・・・・。確か妹に軽く聞いた設定では、第二王子は誰一人興味なく周りを見下す俺様王子だったはず・・・・・・じゃあ、家柄だけで私決定な線濃厚では?嘘でしょ――嘘と言って!! 俺様王子なんて、ますます婚約者に欲しくない! いや、待って。既に私の性格違うし、『乙女ゲームの素になった世界』なら王子の方も、もしかしたら性格違う?そういえばお茶会で見た王子は、俺様王子っていうより寧ろ笑顔が胡散臭く見えたような・・・・・・あれ? もしかしなくともお腹が黒そうな感じ?
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「・・・・・・つまり?」
「顔合わせのお茶会同様、お茶請けがたくさん出るでしょう。王宮の給仕に声をかければ、王宮料理人の方に直接聞きたい事も聞けるわよ?それに・・・・・・」
「それに?」
「王子殿下方の側近候補たちだけではなく、第一王子殿下の婚約者の側近選びもあります。つ・ま・り! その他大勢に紛れる事も可能でしょう」
「――っ!! 行きます!」
公爵令嬢なのにその他大勢に紛れてもいいかは疑問ですが、母の許しが出たのでその他大勢に混じります! 厳しい母でもなんだかんだで私に甘いので、社交をこなしておけば暫く婚約者は居なくてもいいということでしょうか? いや、まさかもう決まって・・・・・・考えない!考えない!!
それよりも! お茶請けが少なく、お話メインのお茶会だと思っていたので、沢山出るならとりあえずでも行きます! お菓子研究のために!! ついでに王宮料理人の方に、この間悩んでた再現出来なかった部分も聞きましょう!!
テンション爆上がりした私は、婚約者云々考えないように頭の片隅に追いやった。だって王子様には申し訳ないけど、中身アラサーでも外見七歳は現金なんです! 花より団子なんだよ!!
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