旦那様は転生者！

６８話

「嫉妬？私に？」

「……そうだよ。俺はマイラが居なくなって、何十年も君を……君だけを求めていたのに。あの男は……」
とハヤトはそっぽを向いたまま、そう口を尖らせた。

私は思わずそんなハヤトに抱きついた。

「それって、ハヤトは私の事を好きだって事？」
嬉しくてニヤニヤしてしまう。出来ればきちんとハヤトの口から聞きたい。

「ああ！そうだよ！俺はマイラが好きなんだ！何か文句ある？！」
とハヤトは投げやりにそう言った。……照れ隠しよね？

私はハヤトに抱きついたまま、首を横に振った。

「文句なんてありません！……だって私もハヤトが好きだから」

こんなに素直に自分の気持ちを言えるようになったのは、こちらの世界で暮らしたお陰だ。
前は自分の感情を圧し殺してばかりだったから。

「…ほんと？ってか……わかってた。だって俺の為に自分の命を掛けてくれるのってマイラだけだよ。正直、めちゃくちゃ後悔したんだ。自分の気持ちをマイラに伝えないまま……離れてしまった事。だから…もしもう１度会えたら、絶対にちゃんと『好き』って言おうって決めてた。でも実際顔見ると、照れちゃって。ごめん」
と言いながらハヤトは私を抱き締めた。

ハヤトの温もりを感じる。彼が生きている事を実感できて、胸が一杯になった。

ハヤトは私を抱き締めたまま、

「俺にとってはとてつもなく長い時間だったんだ……」
と声を絞り出すようにそう言った。

私にとっては１年ちょっと。でもハヤトにとっては４０年近い時間が流れていた筈だ。

その長い時間、私を想っていてくれたのだと思うと、胸が苦しくなる。
きっと私が想像するよりもずっと苦しくて寂しい時間だったに違いない。

「不思議ね。私とハヤトが一緒に居れた時間って、そう思うとほんの僅かな時間だったのに」

「人を好きになるのに、時間は関係ないって事だろ」
とハヤトは私を抱き締めた腕を緩めて私の顔を見つめると、お互いのおでこをコツンと合わせて、

「これからはずっと一緒にいよう。これから何十年も。おじいちゃんとおばあちゃんになっても一緒にいよう」
と言って私にそっとキスをした。