旦那様は転生者!

初瀬 叶

文字の大きさ
上 下
28 / 75

28話

しおりを挟む

ハヤトとの距離感に悩み始めた私。

周りから見れば『どうしちゃったの?王太子夫妻!?』という感じだろう。

急激な息子の変貌に、事実確認をしたくなったのか、私はマチルダ王妃…所謂、義母にお茶会と称して呼び出されていた。

「最近…フェルナンドと仲良くしているようね?」
と言う妃陛下に私は、

「夫婦ですから。これまでのお互いの振る舞いを省みた結果です」

…本当は違うけど、最近はこう答える事を定石としていた。ハヤトは確か…『テンプレ』とか言っていたかしら?


「そう。まぁ…当たり前よね。今までのフェルナンドの振る舞いの方が疑問だったぐらいですもの。
初恋を拗らせると、あぁなるのかと、ずっと不思議だったのよ」
と言う妃陛下の言葉。
ん?…ちょっと意味がわからない言葉が混じっていたような…。

私は肯定も否定も出来ず、キョトンとしてしまう。

そんな私に気づいているのか、いないのかわからないが、妃陛下は続けて、

「貴方だって不思議だったでしょう?あんなにフェルナンドから望まれて婚約したのに、邪険に扱われて。
私も何度か注意したのよ?でも、あの子ったら聞く耳を持たなくて…」
と言うと妃陛下はカップを持ち上げ、紅茶を一口飲んだ。

『あんなにフェルナンドから望まれて』?ん?それってどういう意味?

「あの…、私が婚約者として選ばれたのは、たまたまあの時に釣り合いのとれる令嬢が私しか居なかったからでは?」
と私が訊ねると、

「は?そんな訳ないじゃない。他にも候補は居たわよ?
フェルナンドは少し…頼りないでしょう?
だから、歳上でも良いんじゃないかと、私も陛下も考えた事があったの。
でもフェルナンドが『絶対にマイラが良い』と。それならば大切になさいと何度か言ったんだけど。
貴女のご両親だって、何度か婚約の解消を申し出ていたし。あの子が何を考えているのか…本当に不思議だったわ。結局、エレーヌを直ぐに側妃にまでしちゃうし…」
と妃陛下は首を傾げながら言う。

「まぁ、でもやっとフェルナンドも貴女を大切にする気になったのね。安心したわ」
と笑顔で続けて言う妃陛下。

ちょっと待って欲しい。あまりに衝撃的過ぎる事実に私は軽くパニックになる。

え?殿下って……まさか私の事が好きだったとか?
いや…まさか…そんな…嘘でしょう?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

お幸せに、婚約者様。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

【完結】王子に魅了をかけたらキャー♡と言って逃げられた

堀 和三盆
恋愛
 私、アイノー・ザルゲージは国にただ一人の王国認定魔女。先日亡くなった先代の魔女である祖母から王国認定魔女の地位と魔法書を譲られたばかり。  魔法書を完全に理解するためにはどれか一つでいいから魔法を発動させてみなくてはならない。しかし、代々王国の盾となり、剣となり、国防を担ってきた魔女の魔法書には、とんでもない破壊力を秘めた魔法ばかりがずらりと並ぶ。  その中でただ一つ。害のなさそうな魔法があった。 『好き好き魔法♡初級編』  うん。これは魅了魔法系だね。これなら酷い事にはならないかな。そう思った私は第二王子に魅了魔法をかけることにした。胡散臭いほど身綺麗で常に正しく、教科書通りの行動しかとらない王子の中の王子と呼ばれた彼ならば、魔法を試す試金石としても向いていると思ったからだ。  彼ならば変化は一目で分かるだろう。すぐに解除すれば問題ない――そんな風に軽く考えていた。  魅了魔法をかけた後。 「キャ――――――♡」  と言いながら両手で顔を覆い全速力で私の目の前から逃げ出す第二王子殿下を見るまでは。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

私、自立します! 聖女様とお幸せに ―薄倖の沈黙娘は悪魔辺境伯に溺愛される―

望月 或
恋愛
赤字続きのデッセルバ商会を営むゴーンが声を掛けたのは、訳ありの美しい女だった。 「この子を預かって貰えますか? お礼に、この子に紳士様の経営が上手くいくおまじないを掛けましょう」 その言葉通りグングンと経営が上手くいったが、ゴーンは女から預かった、声の出せない器量の悪い娘――フレイシルを無視し、デッセルバ夫人や使用人達は彼女を苛め虐待した。 そんな中、息子のボラードだけはフレイシルに優しく、「好きだよ」の言葉に、彼女は彼に“特別な感情”を抱いていった。 しかし、彼が『聖女』と密会している場面を目撃し、彼の“本音”を聞いたフレイシルはショックを受け屋敷を飛び出す。 自立の為、仕事紹介所で紹介された仕事は、魔物を身体に宿した辺境伯がいる屋敷のメイドだった。 早速その屋敷へと向かったフレイシルを待っていたものは―― 一方その頃、フレイシルがいなくなってデッセルバ商会の経営が一気に怪しくなり、ゴーン達は必死になって彼女を捜索するが――? ※作者独自の世界観で、ゆるめ設定です。おかしいと思っても、ツッコミはお手柔らかに心の中でお願いします……。

【完結】好きな人に身代わりとして抱かれています

黄昏睡
恋愛
彼が、別の誰かを想いながら私を抱いていることには気づいていた。 けれど私は、それでも構わなかった…。

処理中です...