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事後処理
しおりを挟む毎日、レオ様は忙しく働いている。
エリアル帝国への同行は諦めてくれたが、まだまだ事後処理で東奔西走する生活だ。
体調は悪くないようなので、あまり口煩くは言いたくないが、無理はしないで欲しいと何度かお願いはしていた。
今回の事件がアスガルド王国の王太子殿下が主犯であると発表されたのはつい先日の事。
そして、すでに亡くなっているテイラー侯爵を始め、ルーベンのスミス伯爵、それに連なる貴族の面々の罪状も発表になり、密輸、違法薬物の売買に関与した貴族達も続々と逮捕されている。
あまりにも関係者が多く、はっきり言って全ての処理を終えるにはかなりの時間を要するのではないかというのが、レオ様の予想だ。
少なくともテイラー侯爵、スミス伯爵はお家とり潰しが決定しており、末端の貴族への処罰が決定する頃には、貴族の勢力図はすっかり変わっている事だろう。
「お兄様も今はルーベンへ行ってるから、お顔を見る事が出来ないし…私に出来る事なんて1つもないのが悔しいわ」
そう私がアンナに愚痴ると、
「奥様が出来る事は元気な赤ちゃんを産む事です。それが、私達、皆の願いなのですから。
さぁ、そろそろアップルパイが焼き上がります。休憩にいたしましょう」
私は見ていた書類を机の上に置き、お茶の用意されたソファーへ向かう。
今、私はフェルナンデスにお願いして、レオ様の仕事を少しだけ手伝わせて貰っている。
これは、レオ様が視察で留守の間、全てをフェルナンデスに押し付けるのを申し訳なく思って始めた事なのだが、今も、レオ様は王宮での仕事が忙しく、領地の仕事が全く出来ていない為、そのまま私が手伝いを願い出たのだ。
といっても、お義父様もフェルナンデスも居るので、私のやっている仕事なんて、微々たる物だ。
それでも何もせず、のほほんと暮らしているよりは、よっぽど自分の気持ちが落ち着く為、アンナには渋い顔をされたが、なんとか続けさせて貰っている。
こうやって、度々、休憩はさせられるが。
「奥様。明日、コッカス伯爵夫人が此方にお見えになると先触れがございました」
フェルナンデスがお茶を飲んでいる私の元へやってきた。
「え?お母様が?」
お母様とは、結婚して手紙のやり取りはしていたが、そんな事は一言も書いていなかった。
結婚する時、お母様の気持ちを初めて知る事が出来た私は、離れてからの方が、素直に甘える事が出来ていた。
なので、正直、お母様に会えるのは嬉しかった。
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