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退院
しおりを挟むレオ様が目を覚まし、義理の両親も病院へやって来た。
お義母様は顔色は悪かったものの、目覚めたレオ様を見て、安堵の涙を流していた。
あまり疲れさせるのも良くないと、私達は1度邸へ帰る事となった。
「お義父様もお義母様も、もう少しゆっくりなさって下さい」
「レオナルドの無事も確認出来たし、今日はもう失礼しようと思う。
レオナルドの事、よろしく頼むよ」
「レベッカちゃんも、あんまり無理はしないでね。また顔を出すわ」
と言って2人はすぐに、領地へ帰って行った。
その後、私は疲れが出た為、昼食まで少し休む。
その日の午後のお茶の時間、サミュエルお兄様が訪ねてきた。
「レベッカ。今回はレオナルド殿が大変だったね。
今日兄上に聞いたところだ。」
「アレックスお兄様は、お戻りになったの?」
「いや、少し帰って来たがすぐにまた、王宮へ出向いたよ。
忙しいようで、今日はもう戻らないと言ってた」
「そう…。アレックスお兄様も殆んどお休みになってないの。
体を壊さなければ良いんだけれど」
「とりあえず、今何か大きな案件を抱えているようだから、それにケリがつくまでは、仕方ないだろうな。
私も気をつけて兄上の様子はみておくよ。
それよりレベッカ、赤ちゃんが出来たんだって?おめでとう。体調はどうだい?」
「悪阻はあまり。食欲はなかなか戻りませんが…。
でも口当たりの良い物を料理長が用意してくれていますし、みんなから大事にされてます。大丈夫ですよ」
「そうか。あまり無理をするなよ。
じゃあ、私は帰るね」
「え?もうお帰りになるのですか?」
「ああ。レベッカが心配で少し顔を見に来ただけだから。
学校の休憩時間に抜けて来たんだ」
「お兄様も、もうすぐお医者様になる為の試験があるのでしょう?頑張って下さいね」
「ありがとう。じゃあ、レベッカも気をつけて」
サミュエルお兄様は、本当に私の顔を見に来てくれただけなのだろう。
慌ただしく帰って行った。
こうやって皆が私を、レオ様を心配して励まして、支えてくれている。
私達は、皆のこの気持ちにこれから精一杯恩返しをしていかなければと、改めて決意を新たにした。
その後、今回の視察について、そしてレオ様が怪我をする切っ掛けとなった、襲撃事件。…そしてテイラー侯爵の起こしたフィリップ殿下暗殺未遂事件、その裏にあった本当の目的が暴かれていく事になる。
「え?!ララベル様が?」
「はい。国家反逆罪で捕らえられたと…」
私はフェルナンデスからの報告に目を丸くした。
今日はレオ様がこの邸に帰ってくる。
あの日から1週間が経ち、やっと退院の許可がおりたのだ。
何度かお見舞いへ行く度に、
「退屈だ。早く体を動かしたい」
とぼやくぐらいに、レオ様は回復していた。
レオ様が目を覚まし、私達が邸に帰った後、カルロス団長や、アレックスお兄様から怪我をした時の状況の聞き取りがあったと聞いた。
まだ詳しい事は言えないと、私達には詳細は知らされていなかったが、とても大変な事になるだろうとレオ様は言っていた。
その調査に自分が加われない事を歯痒く思っているのは私もわかっていたが、体を動かせない今は、他の団員に任せてしっかり休む事が大事だと繰り返し説得した。
そして一昨日、王太子殿下がルーベンから戻って来たとの話しがあったばかりだ。
そこに、ララベル様の捕縛…。
早速、レオ様の言っていた『大変な事』が起こり始めたのだと私は思った。
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