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変化
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アレックスお兄様は領地へ帰ったらしい。
いつこちらに出てくるのかはわからないが、その前にお父様には是非とも説得していただきたい。
最近、何故かレオ様の帰りが遅くなった。
まだ、この前お話していた事後処理が残っているのかもしれない。
ここ数日は、夕食も一緒にとることが出来ないでいた。
「今日もレオ様は遅くなるのかしら?」
「そのようでございます。
今日も奥様は先に休まれているように、との事でした」
「お身体は大丈夫なのかしら?
何か疲労回復に良いお料理はある?レオ様は騎士だもの、体が資本だから…」
「奥様、レオナルド様が心配ですか?」
「当たり前じゃない!お仕事が忙しいのは仕方ないけど…やっぱり心配だわ」
そう私が言うと、何故かフェルナンデスは満足そうに頷いた。
「今日は何かスタミナのつくようなお食事を料理長に用意させましょう。
でも、レオナルド様には、どんな料理より、奥様のそのお気持ちが喜ばれると思いますけどね」
「私も何か、レオ様に出来る事があると良いんだけど…」
「でも、今、レオナルド様の為にハンカチに刺繍をされてると聞きましたよ?」
「アンナに聞いたの?でも、レオ様には内緒にしてね。
…ハンカチなんかじゃ何の役にも立たないけど…」
お仕事で疲れてるレオ様の為に他に出来る事があればいいのに…
「…レオナルド様に聞かせてあげたい…」
フェルナンデスの呟きは私の耳には届かなかった。
数日後、夕食を終え、湯浴みの後にベッドで本を読んでいると、レオ様がそっと寝室に入ってきた。
「レオ様!おかえりなさいませ。
申し訳ありません。お出迎えもせずに」
私はベッドを降りて、レオ様に駆け寄った。
「レベッカ、まだ起きていたのかい?もう寝てると思って、フェルナンデスには伝えないように言っておいたんだ。
着替える前に、少しレベッカの寝顔でも見ておこうと思ったんだが、起きていてびっくりしたよ」
「久しぶりにレオ様にお会いした気がします」
レオ様は私が起きるより早く出て、眠った後に帰ってきていたので、こうやって顔を見てお話するのは数日振りだった。
「じゃあ、ちょっと着替えて、食事をしてくるよ。もし眠かったら、先に寝ていいから」
「いえ。せっかく会えたんですもの、起きて待ってます。
あ、でも慌てなくて大丈夫です。ちょうどこの本が面白い所なので」
「そうかい?じゃあ、少し待っていて」
そう言ってレオ様は寝室を出ていった。
久しぶりにレオ様に会えて、私は思いの外嬉しかった。
私の周りにはいつもアンナやフェルナンデスが居てくれるから、そんなに寂しいと感じてないと思ってたけど…本当は寂しかったんだと気がついて、そんな自分にびっくりしていた。
そんな自分の変化に戸惑いながらも、このソワソワした気持ちは意外にも心地よい物だった。
レオ様が食事と湯浴みを終えて寝室にやって来た。
「レベッカごめんね。随分待っただろう?」
「いえ。今日は何故か眠くないので」
…本当は嘘だ。実はもう眠い。
「…本当かい?少し目が赤いようだけど…流石にもうこんな時間だ、さあ、一緒に寝よう」
「…はい。レオ様、今日もお仕事お疲れ様でした」
そう言って、隣に並んで横になったレオ様の胸に顔を寄せる
「レベッカ?どうかした?」
「いえ。久しぶりなので、少しレオ様を堪能しようかと思いまして…ダメですか?」
「そんな可愛い事を言うと、寝かしてあげられないよ?俺をどうするつもり?」
「レオ様がお疲れじゃなければ…私は…良いですよ」
…ちょっとはしたなかったかしら?でも久しぶりだし…
「クッ!可愛いすぎる。俺はもちろん大丈夫だよ。本当に良いの?」
「…はい。よろしくお願いします…」
恥ずかしくなって、私はますますレオ様にしがみついた。
レオ様は私に優しく口づけを落とす。私達の夜はまだまだ長くなりそうだった。
いつこちらに出てくるのかはわからないが、その前にお父様には是非とも説得していただきたい。
最近、何故かレオ様の帰りが遅くなった。
まだ、この前お話していた事後処理が残っているのかもしれない。
ここ数日は、夕食も一緒にとることが出来ないでいた。
「今日もレオ様は遅くなるのかしら?」
「そのようでございます。
今日も奥様は先に休まれているように、との事でした」
「お身体は大丈夫なのかしら?
何か疲労回復に良いお料理はある?レオ様は騎士だもの、体が資本だから…」
「奥様、レオナルド様が心配ですか?」
「当たり前じゃない!お仕事が忙しいのは仕方ないけど…やっぱり心配だわ」
そう私が言うと、何故かフェルナンデスは満足そうに頷いた。
「今日は何かスタミナのつくようなお食事を料理長に用意させましょう。
でも、レオナルド様には、どんな料理より、奥様のそのお気持ちが喜ばれると思いますけどね」
「私も何か、レオ様に出来る事があると良いんだけど…」
「でも、今、レオナルド様の為にハンカチに刺繍をされてると聞きましたよ?」
「アンナに聞いたの?でも、レオ様には内緒にしてね。
…ハンカチなんかじゃ何の役にも立たないけど…」
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「…レオナルド様に聞かせてあげたい…」
フェルナンデスの呟きは私の耳には届かなかった。
数日後、夕食を終え、湯浴みの後にベッドで本を読んでいると、レオ様がそっと寝室に入ってきた。
「レオ様!おかえりなさいませ。
申し訳ありません。お出迎えもせずに」
私はベッドを降りて、レオ様に駆け寄った。
「レベッカ、まだ起きていたのかい?もう寝てると思って、フェルナンデスには伝えないように言っておいたんだ。
着替える前に、少しレベッカの寝顔でも見ておこうと思ったんだが、起きていてびっくりしたよ」
「久しぶりにレオ様にお会いした気がします」
レオ様は私が起きるより早く出て、眠った後に帰ってきていたので、こうやって顔を見てお話するのは数日振りだった。
「じゃあ、ちょっと着替えて、食事をしてくるよ。もし眠かったら、先に寝ていいから」
「いえ。せっかく会えたんですもの、起きて待ってます。
あ、でも慌てなくて大丈夫です。ちょうどこの本が面白い所なので」
「そうかい?じゃあ、少し待っていて」
そう言ってレオ様は寝室を出ていった。
久しぶりにレオ様に会えて、私は思いの外嬉しかった。
私の周りにはいつもアンナやフェルナンデスが居てくれるから、そんなに寂しいと感じてないと思ってたけど…本当は寂しかったんだと気がついて、そんな自分にびっくりしていた。
そんな自分の変化に戸惑いながらも、このソワソワした気持ちは意外にも心地よい物だった。
レオ様が食事と湯浴みを終えて寝室にやって来た。
「レベッカごめんね。随分待っただろう?」
「いえ。今日は何故か眠くないので」
…本当は嘘だ。実はもう眠い。
「…本当かい?少し目が赤いようだけど…流石にもうこんな時間だ、さあ、一緒に寝よう」
「…はい。レオ様、今日もお仕事お疲れ様でした」
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…ちょっとはしたなかったかしら?でも久しぶりだし…
「クッ!可愛いすぎる。俺はもちろん大丈夫だよ。本当に良いの?」
「…はい。よろしくお願いします…」
恥ずかしくなって、私はますますレオ様にしがみついた。
レオ様は私に優しく口づけを落とす。私達の夜はまだまだ長くなりそうだった。
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