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サミュエルお兄様
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翌日
「サミュエル・コッカス伯爵令息様より、先触れがございました。今日の午後、こちらにおみえになるそうです」
とフェルナンデスから報告を受けた。
「毎日、毎日、私の兄弟がご迷惑おかけします」
「奥様がお気になさる必要はございませんよ。色々と楽しませて頂いております」
「……楽しんでいただけて何よりです…」
昨日の事を思い出しても、頭が痛い。
まさかお兄様が王都に住むなんて言い出すとは思いもしなかった。
「フェルナンデス。これ、お父様にお手紙を出して欲しいのだけど」
「はい。畏まりました」
そう言って、フェルナンデスは下がっていく。
とりあえず、お父様にお兄様を説得してもらいたい旨を認めたのだが…お兄様の暴走を止められるのは、もうお父様しかいないのだけど。そのお父様が匙を投げたらどうしよう…
午後になりサミュエルお兄様がやって来た。
「レベッカ。結婚おめでとう。
お前がこちらに来てすぐに祝いを持ってくる予定だったのだが、2人がゆっくりしているのに邪魔するのも悪いと思って。
これ、受け取ってくれ」
そう言ってサミュエルお兄様が結婚祝いをプレゼントしてくれた。ペアのカップだ。
「ありがとうございます。今日はゆっくり出来ますの?」
「いや、ゆっくりしたいのは山々なんだけど、論文を書く作業がまだ残っててね」
「でも、お茶を飲むぐらいのお時間はあるのでしょう?」
「ああもちろん。良かったら久しぶりにレベッカのお茶が飲みたいな」
「ウフフ。では私が淹れますね。アンナ、用意だけお願いして良いかしら?」
私は自らお茶を淹れて、お兄様にお出しした。
「やっぱり、レベッカのお茶は旨いな。
…ところで…兄上の件だが…」
「サミュエルお兄様は、どう思っていらっしゃるの?お兄様が王都に住む事」
「一昨日、レベッカと話して帰って来たと思ったら、すぐに何処かへ出掛けて行った。
場所は教えて貰えなかったが。
その後、私に、『ベッキーを連れて領地に帰れない場合はこちらに住むからそのつもりで』と言われたよ」
「で、サミュエルお兄様は何と?」
「もちろん、反対したさ。
さすがに仕事を放り出す事は間違いだと言ったよ。
そしたら、『お前は、ベッキーが結婚する事を知ってて私に隠していたんだろ?
例え隣国に居ても、手紙で知らせるべきだった。そんな裏切り者には何も言われたくない』と言われたよ。
私は裏切ったつもりはないけどね。
兄上にはみすみすレベッカを結婚させた裏切り者だと思われてるようだ。
まぁ、婚姻を結ぶ前に兄上が知っていたら、何としてでも阻止しただろうからね」
「アレックスお兄様の執念が恐ろしいですわ」
「私もだよ。でもあの状態の兄上を止める事は誰にも出来ないさ」
2人で溜め息をつく。
「私、お父様にお手紙を書きました。なんとかお兄様を思い止まらせて欲しくて」
「そういえば、今日は朝から兄上は出掛けてるよ。
そして、明日は領地へ1度帰るそうだ。
自分の仕事にキリを着けてくるとは言っていたが、父上がなんとか説得してくれるといいんだが」
「そう祈っていますわ」
私達は、その後はお互いの近況を話して別れの時間になった。
「私も、お前が結婚すると言い出した時は反対だったし、心配もしたけど…今日、レベッカの顔を見て安心したよ。
…幸せそうだ」
「はい。幸せです。
義理の両親も優しいですし、ランバードの使用人達にも良くしてもらってます。
何よりレオ様に大切にして頂いていますので」
「そうか。私のお姫様が結婚したのは、正直寂しいが、私はお前が幸せならそれで良い。
ランバード伯爵夫妻にも可愛がっていただくんだぞ。まぁ、レベッカなら大丈夫だ」
「ウフフ。お兄様もお勉強頑張って下さいね。
お兄様のお医者様姿、楽しみにしてますから」
最後にサミュエルお兄様は私を抱き締めて、額に口づけをする。
「私も頑張るよ。せっかく王都にいるんだから、レベッカも遊びにおいで。
…まぁ、その時はレオナルド殿も一緒でも良いからね」
「…お兄様…ありがとうございます」
私もお兄様の背中に腕を回し抱き締める。
お兄様はいつもの優しい笑顔で帰って行った。
サミュエルお兄様にこの結婚を祝福してもらえた事が、とても嬉しかった。
私はいつの間にか、レオ様との結婚が、まるで普通の結婚のように感じるようになっていた。
「サミュエル・コッカス伯爵令息様より、先触れがございました。今日の午後、こちらにおみえになるそうです」
とフェルナンデスから報告を受けた。
「毎日、毎日、私の兄弟がご迷惑おかけします」
「奥様がお気になさる必要はございませんよ。色々と楽しませて頂いております」
「……楽しんでいただけて何よりです…」
昨日の事を思い出しても、頭が痛い。
まさかお兄様が王都に住むなんて言い出すとは思いもしなかった。
「フェルナンデス。これ、お父様にお手紙を出して欲しいのだけど」
「はい。畏まりました」
そう言って、フェルナンデスは下がっていく。
とりあえず、お父様にお兄様を説得してもらいたい旨を認めたのだが…お兄様の暴走を止められるのは、もうお父様しかいないのだけど。そのお父様が匙を投げたらどうしよう…
午後になりサミュエルお兄様がやって来た。
「レベッカ。結婚おめでとう。
お前がこちらに来てすぐに祝いを持ってくる予定だったのだが、2人がゆっくりしているのに邪魔するのも悪いと思って。
これ、受け取ってくれ」
そう言ってサミュエルお兄様が結婚祝いをプレゼントしてくれた。ペアのカップだ。
「ありがとうございます。今日はゆっくり出来ますの?」
「いや、ゆっくりしたいのは山々なんだけど、論文を書く作業がまだ残っててね」
「でも、お茶を飲むぐらいのお時間はあるのでしょう?」
「ああもちろん。良かったら久しぶりにレベッカのお茶が飲みたいな」
「ウフフ。では私が淹れますね。アンナ、用意だけお願いして良いかしら?」
私は自らお茶を淹れて、お兄様にお出しした。
「やっぱり、レベッカのお茶は旨いな。
…ところで…兄上の件だが…」
「サミュエルお兄様は、どう思っていらっしゃるの?お兄様が王都に住む事」
「一昨日、レベッカと話して帰って来たと思ったら、すぐに何処かへ出掛けて行った。
場所は教えて貰えなかったが。
その後、私に、『ベッキーを連れて領地に帰れない場合はこちらに住むからそのつもりで』と言われたよ」
「で、サミュエルお兄様は何と?」
「もちろん、反対したさ。
さすがに仕事を放り出す事は間違いだと言ったよ。
そしたら、『お前は、ベッキーが結婚する事を知ってて私に隠していたんだろ?
例え隣国に居ても、手紙で知らせるべきだった。そんな裏切り者には何も言われたくない』と言われたよ。
私は裏切ったつもりはないけどね。
兄上にはみすみすレベッカを結婚させた裏切り者だと思われてるようだ。
まぁ、婚姻を結ぶ前に兄上が知っていたら、何としてでも阻止しただろうからね」
「アレックスお兄様の執念が恐ろしいですわ」
「私もだよ。でもあの状態の兄上を止める事は誰にも出来ないさ」
2人で溜め息をつく。
「私、お父様にお手紙を書きました。なんとかお兄様を思い止まらせて欲しくて」
「そういえば、今日は朝から兄上は出掛けてるよ。
そして、明日は領地へ1度帰るそうだ。
自分の仕事にキリを着けてくるとは言っていたが、父上がなんとか説得してくれるといいんだが」
「そう祈っていますわ」
私達は、その後はお互いの近況を話して別れの時間になった。
「私も、お前が結婚すると言い出した時は反対だったし、心配もしたけど…今日、レベッカの顔を見て安心したよ。
…幸せそうだ」
「はい。幸せです。
義理の両親も優しいですし、ランバードの使用人達にも良くしてもらってます。
何よりレオ様に大切にして頂いていますので」
「そうか。私のお姫様が結婚したのは、正直寂しいが、私はお前が幸せならそれで良い。
ランバード伯爵夫妻にも可愛がっていただくんだぞ。まぁ、レベッカなら大丈夫だ」
「ウフフ。お兄様もお勉強頑張って下さいね。
お兄様のお医者様姿、楽しみにしてますから」
最後にサミュエルお兄様は私を抱き締めて、額に口づけをする。
「私も頑張るよ。せっかく王都にいるんだから、レベッカも遊びにおいで。
…まぁ、その時はレオナルド殿も一緒でも良いからね」
「…お兄様…ありがとうございます」
私もお兄様の背中に腕を回し抱き締める。
お兄様はいつもの優しい笑顔で帰って行った。
サミュエルお兄様にこの結婚を祝福してもらえた事が、とても嬉しかった。
私はいつの間にか、レオ様との結婚が、まるで普通の結婚のように感じるようになっていた。
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