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予感

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2人で馬車に乗り込む。
レオ様は心配そうに、私を頭から爪先まで確認する。

「レベッカ、大丈夫だった?
何もされてない?」

「私はなんともありませんよ?大丈夫です。
私がソフィア様を怒らせてしまったようですわ」

「どういうこと?」

「まぁ、とにかく、私を馬鹿にしたかったようですけど…あれぐらいの事は、言われたところで何も気になりませんし。
私が言い返した事が気に入らなかったのでしょうね」

…煽った自覚はあるけどね。

「酷い事を言われたのか?」
…レオ様そんな怒らなくて大丈夫ですよ?

「大したことありませんでしたよ?
田舎者だと言われただけですし、それは事実なので。
それに、私にとって『田舎者』は誇れる事で、言われても、なんとも思いません」

「レベッカはあの女にも負けないんだな」

「知らない人ですし、こういう人っているよな~って思った程度です。
でも、暴力は嫌ですよ?叩かれたら痛いと思いますので」

「…レベッカは強いな」

「いえ。多分、鈍感なんだと思います。
それに、本来、侯爵令嬢に言い返すなんて、あってはならない事だと承知しているのですが…この方がレオ様やお義兄様を傷つけていたのだと思ったら、つい。
…申し訳ありませんでした」

そう頭を下げた。

「俺たちの為に言い返してくれたんだな。ありがとう」

「いえ、それだけではなく、自分がムカついたからです。
私はそんな立派な人間じゃありませんもの」

「でも、守ってあげられなくてごめん。
これからは、ちゃんと側に居るから」

「フフッ。近衛騎士に守って貰えるなんて、王族になった気分です。
…そういえば、王太子殿下とのお話はお済みになったのですか?」

「ああ、その事だが、ちょっと、ゴタゴタしてて。
明日から仕事に出なくてはならなくなったんだ。
もう少しレベッカと一緒に居たかったんだが」

「まぁ、そうだったのですね?
明日からお仕事頑張ってください。
私も少しずつ、伯爵夫人としてのお勉強を始めますね」

「レベッカのペースでいいよ。無理はしないようにね」

「はい。ありがとうございます。
…そのゴタゴタというのは、危険は御座いませんの?」

「ああ、大丈夫だ。
俺の休みの間に粗方終わってる。
後は事後処理だけど、今まで頑張ってくれた奴を休ませてやらないとな。
そこで俺と交代ってわけ」

「そうでしたの。でも、お気をつけ下さいね」

「ああ、ありがとう。
レベッカが邸で待っていてくれると思うと、仕事も頑張れるよ」

「うふふ。それだけでも、結婚して良かったですわね?」

「それだけじゃないけどね」

「ん?なにか仰いました?」

レオ様の呟きは、小さすぎて聞こえなかった。

「いや、なんでもないよ。
俺もレベッカに『結婚して良かった』って言って貰えるように頑張らなきゃな」

「はい。でも、あまりご無理はなさらないで下さいね」



そうやって話していると、ランバードの邸に到着した。

邸へ入ると、家令のフェルナンデスから、手紙を渡された。

「ご実家のコッカス伯爵家からです」

「ありがとう。何かしら?」

私は自室に戻り、着替えた後に、実家からの手紙を開けた。




「レオ様!」

私は、急いでレオ様の元へ向かう。

「レベッカ、どうした?何かあったの?」

慌てている私を見て、レオ様は戸惑っている

「……アレックスお兄様が、帰国したそうです。
近いうちにこちらへ来るとの事です」


嵐の予感がします…。
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