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第182話
しおりを挟む亡くなった人と離縁する事は可能だ。離縁をすればその家と関係を断つことが出来る。
テオは私にこのオーネット公爵家と縁を切れと……そう言っているのだ。そうか……。
私は1つ頷いて、
「わかったわ。いつ……私はいつ出て行けば良いのかしら?手続きは明日にでも……」
「へ??あ、すみません!!違います!違います!あの……あ、順番を間違えたかな……」
とテオは頭を搔く。すると急に、
「あ!!そうだ、私、ちょっと用事を思い出しました!すっかり忘れていたなぁー」
とアーロンは立ち上がった。
何故、そんな棒読みのセリフみたいな言い回しなのだろう……。
アーロンは部屋に居たムスカに、
「ちょっと力を借りたいんだ。一緒に行こう!な!ほら、早く!」
と腕を掴んで、
「奥様、ちょっとムスカを借りますね!失礼します!」
と困惑するムスカを引っ張って部屋を出て行った。
突然、私とテオは2人きりになる。
「何だか慌ただしかったわね、2人とも」
「……多分、私に気を使ってくれたんだと思います」
テオはそう言うと椅子から立ち上がり、私の前へ周って来た。
「?テオどうかしたの?」
神妙な顔をしたテオに私は首を傾げる。
すると徐ろにテオは私の前に跪き、私の両手を挟み込む様に自分の両手で握った。
「ステラ様。前に私に『家族になろう』と仰って下さった事、覚えていますか?」
「もちろんよ。よく覚えているわ」
「……私と本当の家族になってくれませんか?」
「…??私と養子縁組をするの?でも私が離縁してしまったら、オーネット公爵家と関係なくなっちゃうわ」
私は困惑していた。今更、養子縁組?
すると、テオは握った手に少し力を込めた。ちょっとだけ震えているようだ。
そして、少し見上げる様に私の顔を真っ直ぐに見ると、
「すみません。先程は順番を間違えてしまいました。公爵様……いや、父と離縁して………私と結婚して下さい」
と言った。
……?今、テオは何て?
私の頭が働かない。結婚……結婚……誰と誰が?
私が何も言えないでいると、
「ステラ様?聞いてます?」
とテオが少し心配そうに、そう私に声をかけた。
「え?あ、ええ。一応聞こえたのよ?聞こえたんだけど、結婚って誰が?」
「私とステラ様が、です」
「何故?」
「何故って……私がステラ様を愛しているからです」
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