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第149話
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鉱山に近づくにつれて、段々と店や宿屋は無くなっていく。
「今晩はあそこの宿屋に泊まります。あれが鉱山に1番近い宿屋です。ここまでなら30分ぐらいで戻って来れますから」
と通り過ぎる1つの建物を指差して言うギルバートに、
「鉱山に宿泊施設はないの?」
と尋ねる。
初めて来る領地だとは言え、不勉強で申し訳ない。
「鉱夫達の寮として使っている建物はあります。後は……鉱夫の中には家族が居る者もおりますので、彼らの自宅がポツポツとあるぐらいでして」
「鉱夫の方々は若い方が多いのね。……そのテリーという人物は?」
「彼は独身です。寮で暮らしていますね」
「そう……。他に仲良くしている者は居るかしら?何となくなんだけど、どうも彼1人で横領をしているとは思えないの。
売った伝票は買い取り側のサインもあるから……売った後のお金を横領したなら、その買い取り業者が共犯の可能性があると思うんだけど」
「買い取り業者はこのオーネット公爵家と代々取引がありますから、それは考えにくいかと」
と言うギルバートに、
「なら……売る前の鉄鉱石を何処かへ横流ししているのかしらね」
と私は考え込む。
……ならば尚の事、協力者が居るのではないか?他の者に見つからない様に鉄鉱石を運び出すのだ……受け取っている者がいなければ、テリーが度々外出をしている……という事になる筈だ。
とにかく、私が鉱山へ抜き打ちの視察をする事で、テリーの尻尾を掴む事が出来れば良いのだが。そう考えていると、
「もう少ししたら鉱夫達の寮が見えて来ます。どうします?彼らはまだ帰って来ていません。……部屋を探ってみますか?」
とギルバートが私を伺う。
留守中に家探しとは……なんとも後ろめたいが、折角ここまで来たのだ。何としても証拠を掴みたい。
「……やむを得ないわね……」
と私は了承するしかなかった。
……が、しかし。
「おや?ギルバートさんじゃないですか?
………まさか、一緒にいらっしゃるのは……オーネット公爵夫人で?
こんな遠方まで足を伸ばして下さるなんて!前もって言って下されば、それなりに出迎えの準備をいたしましたのに。
まだ、皆は鉱山から戻っていないんですよ。
あ、申し遅れました、僕はテリーと申します。ここで鉱夫兼、ビルさん……管理者の補佐、のような役目を仰せつかっています。以後お見知りおきを」
と、私達を寮で偶然出迎えたのは渦中の人であるテリーに他ならなかった。
「今晩はあそこの宿屋に泊まります。あれが鉱山に1番近い宿屋です。ここまでなら30分ぐらいで戻って来れますから」
と通り過ぎる1つの建物を指差して言うギルバートに、
「鉱山に宿泊施設はないの?」
と尋ねる。
初めて来る領地だとは言え、不勉強で申し訳ない。
「鉱夫達の寮として使っている建物はあります。後は……鉱夫の中には家族が居る者もおりますので、彼らの自宅がポツポツとあるぐらいでして」
「鉱夫の方々は若い方が多いのね。……そのテリーという人物は?」
「彼は独身です。寮で暮らしていますね」
「そう……。他に仲良くしている者は居るかしら?何となくなんだけど、どうも彼1人で横領をしているとは思えないの。
売った伝票は買い取り側のサインもあるから……売った後のお金を横領したなら、その買い取り業者が共犯の可能性があると思うんだけど」
「買い取り業者はこのオーネット公爵家と代々取引がありますから、それは考えにくいかと」
と言うギルバートに、
「なら……売る前の鉄鉱石を何処かへ横流ししているのかしらね」
と私は考え込む。
……ならば尚の事、協力者が居るのではないか?他の者に見つからない様に鉄鉱石を運び出すのだ……受け取っている者がいなければ、テリーが度々外出をしている……という事になる筈だ。
とにかく、私が鉱山へ抜き打ちの視察をする事で、テリーの尻尾を掴む事が出来れば良いのだが。そう考えていると、
「もう少ししたら鉱夫達の寮が見えて来ます。どうします?彼らはまだ帰って来ていません。……部屋を探ってみますか?」
とギルバートが私を伺う。
留守中に家探しとは……なんとも後ろめたいが、折角ここまで来たのだ。何としても証拠を掴みたい。
「……やむを得ないわね……」
と私は了承するしかなかった。
……が、しかし。
「おや?ギルバートさんじゃないですか?
………まさか、一緒にいらっしゃるのは……オーネット公爵夫人で?
こんな遠方まで足を伸ばして下さるなんて!前もって言って下されば、それなりに出迎えの準備をいたしましたのに。
まだ、皆は鉱山から戻っていないんですよ。
あ、申し遅れました、僕はテリーと申します。ここで鉱夫兼、ビルさん……管理者の補佐、のような役目を仰せつかっています。以後お見知りおきを」
と、私達を寮で偶然出迎えたのは渦中の人であるテリーに他ならなかった。
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